一節 砂の夢
1年が3600年。私は悠久の時を歩み始めていた。昔どこかの塔で見た、戦場は大昔で未来の話。
確かに見たことがあるのに未だ歴史にその戦いはない。もしかしたらこれからもないのかもしれない。
きっと、指の間からさらさらと抜け落ちるような可能性の夢だったのだろうか。
未だ囚われの我が身では分からないけれど。
薄い窓ガラスに指を添わせる。少しも窓の反対側には届かない。
冷たい床とは対照的に外の日差しは暖かそう。
「早く、出たいな。」
話す相手もいないのだからめったに声は出さない。喉に響く渇きがそれを証明している。
途方もない時間の差、私の1日は彼らの一生の何割だろうか。もしかしたら、数分かもしれないけれど。
「数え、たくない。見たく、ない。」
痛い、声を出すのはもうよそう。
冷たい壁に寄り添ってまた数時間の、数年の眠りにつく。
起きたら季節は何だろうか。
起きたら町は変わっているだろうか。
* * *
—そうやってまた、夢を見る。
赫い記憶、耳につく悲鳴、救済の懇願。
剣を携え、涙にくれた戦乙女。
「違う!こんなはずじゃない!ありえない!」
絶望を顕わにして、涙を流して
「嫌、違う!こんなはずじゃない!嫌!」
—どうか、もう一度。もう一度。剣を取らせて。