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仲間集めⅢ

「あれ?」

門の近くに見慣れた金髪少女が立っていた。

「何してんだこんなところで?」

「べっ、別になんだっていいでしょ」

「まあ、別にいいけどな」

普段通りツンツンしている関目が、俺と天見を交互に鋭い視線を送ってくる。

「あ、あんたこそ何してたのよ」

「別になんだっていいだろ」

「なっ!」

関目の顔が赤くなる。いつも思うけど何を考えているんだろうな。

「部活をしていたんです」

このままだと空気が悪くなると察したのか天見が初対面である関目に声をかける。

「ぶかつぅ??」

ものすごく不思議そうにこちらに視線を向けてくる。

「なんだよ?」

「べっつに~」

イラッ

中学から知り合いなだけあって俺が部活動に全くもって興味がないことがばれているようだ。

「あ、そ、それで、ですね、あの」

天見が少し緊張しているように関目に向かって話しかけようとしている。でもなんて言えばいいかわからなくて戸惑っているようだ。

「(あ、そりゃそうだ)」

まだお互い名前知らないんだよな。

「こいつは関目だ、俺とは中学から同じ学校のクラスメイト」

「クラスメイトって…」

何か関目がつぶやいたようだが、話が進まなくなるのでそのまま自己紹介を続ける。

「それでこっちが天見、そんで今声劇部を復活させようと部員を集めているところだ」

「よろしくお願いします、関目さん!!」

「こ、こちらこそよろしく。」

何か腑に落ちないような表情を関目は見せているが。天見が話を続けようとする。

「そ、それでですね!関目さん、声劇部に興味はありませんか!?」

「声劇??」

少し困惑している様子でこちらを見てくる。

「去年廃部した部活なんだけどさ、再建するにはどうしても人数が足らないんだ、上級生に一人部員が居たから後2人必要なんだよ、入る気ねーか?」

「部を再建するのに必要な人数は5人だったわよね。」

ぼそぼそと言いながら俺と天見を数を数えるように見てくる。そして何かを決心したかのように

「いいわよ!」

「本当ですか!?」

天見が関目の手をつかんで満面の笑みで関目を見ている。

「え、ええ」

関目は少し照れているような雰囲気だった。まあほぼ初対面でこんな接し方をされたらむりもないよな

「で、では改めましてよろしくです!関目さん!!」

「こ、こちらこそ、よろしく」



これで部員は天見、千林、関目、菜ノ花さんの四人となったわけだ。あと一人で部を再建することができる。


「あ、」

関目が門の外を指さしている、その方向には千林が居た。


(僕はこう見えても結構忙しいんだぞ?だから遠慮するよ)

などとほざいていた千林が何をしているのか気になっても居たため行動に起こすことにした。

「なあ、ちょっと付けてみないか?」

「「え?」」

二人が首を傾げている。

「さっきあいつさ「僕が君たちみたいに忙しくないんだ」とかドヤ顔でいってきやがったからはらたってよ」

「確かにそれは腹立つわね、千林の癖に」

「だろ?だから何してるか突き止めてやろうぜ」

関目はだいたいこんな感じで言っておけば釣られるはずだ。

「いいわよ、何をしているのか突き止めてやろうじゃない!!」

ほらきた。

あとは天見だ、どうやって説得するか。

「わ、私も行きます!!」

お!説得する前に行く気になった。こーいう尾行みたいなことこいつはダメだって言いうだと思ってたんだけどな。

まあいっか。

ということで千林を尾行することにした。

「ん~んん~」

そんなことをされているとも気づかずに鼻歌交じりで寮とは真逆の方に歩いて行く。

そのまま帰るわけではないようだ、どうやら用事とやらは本当に存在したらしい。にしても..

「あいつの鼻歌うるさすぎるだろ..」

ある程度の距離を保って尾行しているにもかかわらず鼻歌が聞こえてくる、しかも千林は元々音痴だ、もう原曲が何かわからない鼻歌で騒音でしかなかった。

しばらく尾行し続けると千林は最近オープンしたばかりのゲームセンターに入っていく。

「行くぞ」

ばれないように俺たちも後ろからついて行く。

千林がはじめにたどり着いた場所はコインゲームだ、だが千林は財布を出す仕草を見せず、ただひたすら下を向き歩き回っていた。

「あった」

声と同時にかがみ何かを拾ったように見える。それはコインだった。こいつ、高校生にもなって落ちてるコイン必死に探してコインゲームやろうとしてんのか?

俺もたまに時間つぶし等でゲーセンに来ることがあるのだが、こんなことをしているのは大抵小学生中学生の連中だぞ、しかも一つしか見つからないから一回で失敗してそのまま次のコインを探しての繰り返しだ。

案の定千林も拾った一つのコインを消費しきった所だった。少しムッっとした様子を見せたがそのまま違うところへ向かっていった。

次についたのは音ゲーだ。こいつ音ゲーなんてしたことないだろ。もう千林が何しにここに来ているのかも謎になってきた。

次はちゃんと財布からお金を取り出すようだ。そしてお金を入れると鞄から軍手をとりだした。

そういえば音ゲーマは真剣にゲームに取り組むとき軍手を使用すると風の噂できいたことがる。

「あ、あの、なんで軍手をとりだしているんでしょうか?」

病弱だった天見にとってはゲームセンターというものは未知の空間だったらしくコインゲームのときからおどおどし続けていた。軍手を付けている理由か噂をそのまま教えてもいいけどあんな奴と一緒にされた音ゲーマーがかわいそうだ、どう説明しようか。

「バカだからよ」

関目がさらっと答えた、いや確かにそうなんだけどさ、その回答は少し適当じゃないかと思うい控えたってのに。

「な、なるほど..」

まあ天見がぼそっと何かを言いながら頷いていたからよしとするか。

さて、千林の方に視線を向けるとゲストプレイでは一番高難易度のHARDを選択した所だった。なぜあんなに誇らしげなんだろうか。

とりあえず千林がゲームを終えるまで無言で見守ることにする。

このゲームは一度のプレイで三曲遊ぶことができるのだが千林は一曲目の時点で全くついていけていなかったにも関わらず、2曲目、3曲目をHARDを選択して撃沈していた。本当に何がしたかったんだ。

音ゲーが終わりこの後もクレーンゲーム、レースゲームなどこの店にあるゲームを片っ端から挑んでは撃沈を繰り返していた。

7時を回り、もう完全に日が沈んだ頃に千林はゲームセンターからでて、寮に戻っていった。

「さて、どうしようか」

「いや、この話いらないでしょ」

関目が何かメタ発言したように聞こえたがスルーする。

「天見は家どの辺なんだ?」

「前に、狭山君と会った公園からすぐ近くですよ。」

「そっか、なら俺と関目も一緒の方向だな」

と、まあ別々に帰るのも変だし、三人で帰ることになった。

「関目さんは中学時代バスケ部だったんですか!?」

「え、ええ、一応ね?」

「すごいです。わ、私昔から体が弱くて、体育の授業でもろくにスポーツをしたことなくて、だ、だから関目さんみたいに運動のできる人がすごく羨ましいんです。」

「そ、そうありがと」

関目はもともと人見知りもあるため今日合ったばかりの人にべた褒めされるのは流石に照るようだ。

「狭山君は何か部活をしてたんですか?」

こちらにも質問が飛んできた。

「あ、ああ野球部に入ってたよ、二年でやめたけどな」

「え、ど、どうしてですか!?」

「先輩と喧嘩したからよ」

少し説明しにくそうにしている俺をフォローするかのように関目が話をする。

「け、喧嘩ですか?」

「そりゃもうすごかったわよ、バットもって三年の教室に殴り込みに行くんだもの」

「さ、狭山君がですか?」

「あ、ああ」

少し触れられたくない過去だが、天見も以前合ったばかりの俺に自分の話をしてくれたし、まあいいとするか。

「でもさ、狭山はそんなに中学時代喧嘩するようなやつじゃなくてさ、もう学校中大騒ぎよ、三年を思いっきり手で殴り、バットを振り下ろす寸前で周りに止められてどうにか収まったんだけど、いやほんとあのときはすごかった。」

「さ、狭山君がそんなことをしたなんて、なにがあったんですか?」

「私も知りたいは、結局あのときもごまかされてきいてなかったし」

二人が不思議そうにこちらの顔を見てくる。


(お前のせいで、この部活は、)

(消えろよ、疫病神が)

(お前なんか居なければよかったんだ!!)



「狭山君?」

気がつけば立ち止まって少し冷や汗をかいていた。昔のことを思い出したらいつもこんな状態になってしまう。俺にとってはまだ軽く話できるような問題じゃないんだなと再認識して心の中にしまうことにする、今はまだ、

「い、いいだろ、そんな暗い話をしなくてもさ、それより関目の家ってこっちだろ」

「えっええ、」

そんなに長く立ち止まって居たのだろうか関目が少し心配そうな目でこちらを見ながら、家の方に向かおうとする。

「じゃ、じゃあまた明日」

軽く挨拶を交わして関目は自分の家の方を向いて歩いて行った。

「あ、あの狭山君?」

「わりぃな、まだその中学の時の事ってちゃんと整理仕切れてないんだ、今話す気にもなれなくてさ」

「い、いえ、こちらこそ何も考えずにきいてしまって申し訳ないです」

このままだと空気が重くなってしまいそうだったから話をそらすことにした。

どうでもいいけど話題を変えたいときに限ってしょうもないことしか思いつかず結局重い空気もままってパターンは結構あるあるだよな。

少しどうでもいい事を考えながらも今の俺にはしっかり話す話題もあったわけで、そちらの方に話を持って行くことにする

「それにしてもさ、まさか1日目でこんな簡単に入部するひとが見つかるなんてな」

「そうですね、関目さんも千林さんもいい人そうでこれからが楽しみです」

部活についての話を二人でしていると天見の家に着いたようで天見が足を止める。

「ここがお前の家か?」

「はい」

それは特に新しくも古くもないようなアパートだった。

「一人暮らしなのか?」

「はい」

いろいろ疑問に思うとこがあったが、さっきの俺みたいに答えたくない事があるのかもしれないから、何も言わないことにした。

「じゃあ、おれはここで」

「あ、あの、狭山君?」

「ん?なんだ?」

振り向くとなぜか天見が顔を赤くしていた

「め、メールアドレスおしえてくれませんか?」

あ、確かに交換していなかったな。

「いいよ」

まだあってそんなに日にちはたっていないけど、断る理由もなく携帯を取り出し、赤外線でお互いのアドレスを交換する

「あ、ありがとうございます」

「こちらこそ」

「あ、そ、それでですね、狭山君の下の名前ってなんていうんですか?」

「悠樹、狭山悠樹だ」

「ゆうき君っと」

なにかぼそっとつぶやきながら携帯をさわり えへへ とごまかすように笑う。

「そーいえば俺も天見の下の名前知らないわ」

「紗綾です、天見紗綾」

「天見紗綾っと」

おれも携帯をいじり名前を登録した。

「じゃあ、あらためてまた明日」

「はい、おやすみです」



こうして俺たちの部員集めの初日が終わった。




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