プロローグ
○○県仙道市仙道。
主人公こと本宮 衛示が日々を過ごしている町であり、物語の舞台。
春には桜が咲き乱れ、道の隅では猫がじゃれあう。
夏には蝉が騒がしい合唱会を開き、澄んだ夜風は心地良さを人に与える。
秋には紅葉に彩られ、裕なにおいが鼻孔をくすぐる。
冬には星座の大三角形が夜空を占め、雪が町を白銀の世界に染めあげる。
そんな四季を繰り返す“見た目は”普通の町。
そんな町の裏側には世間の知らない闇がいくつもある。
程よく開発された商店街を一本二本と奥に進めば、小さな小競り合いから始まる血生臭い喧騒。
世界には表と裏があり、商店街の夜は一層裏社会という物を際立たせる。
表に隠れた裏の顔、其処には人ならざる物の影も潜む。
影は稀に現われ、気分に沿って悪事を働き、再び姿を闇に変える。
人もただただ、やられるわけではなく。
裏社会に見合った人間がそれらを駆逐する。
この世界は
普通とは違った人間が少しだけいて…
普通ではありえないことが起こる…
魔法や魔術を行使する人間が少しだけいて…
人でない“何か”も暗躍する…。
それが日常となっている世界。
多くの人間は…その真実を知らない…
その日。
その日も本宮 衛示は当然のように自分の日常に暮らしていた。
高校一年の冬休みを控えた十二月末。
受験や将来について深刻ぶる時期は、遥か未来にある。
といっても、一年後には考えなくてはならないとも思っている。
家庭は既に存在しない。
父と母は家業のミスで行方不明。
今は、学校から十五分ほどのアパートで一人暮らし。
費用は親戚一同が“概ね”負担しているという形をとっているが、実際は金をむしり取られた上で放り出された。
寝床があるのでホームレスにはなっていないが、年頃に見合ったものなんて何もない六畳一間。
いや、学校に通っているので教科書などは転がっている。
友人に借りた雑誌も転がっている。
ただ、自分で買う余裕はない。
生活は苦しいが生きていける。
水もあるし、ガスもある。
肝心の食費は体をはって稼いでいる。
捨てられていると嘆く暇などない。そんな暇があるなら体を動かし金を作る。
成績は中学の頃から中の上から上の中を行ったり来たり。
自分を磨く気なんてさらさらないが、根が真面目なので適度に勉学に励む。
といっても、バイトの合い間にこなす程度ではあるが…。
そんな彼にはもちろん彼女はいない。
顔立ちも整っているし、性格も悪くない。
背は高くなく小柄だが、最低限の存在感はある。
しかし、お金がない。
今現在の悩みは年を越すための費用作り。
三学期が始まるまでに貯金を増やしておきたいからだ。
その日の夜に、学校を含めた住宅地の対岸、車の行き交う大橋で結ばれた商店街に足を向けたのも、バイトをした帰りだったからだ。
すべては生活資金の為。
働かざる者生活できず…だ!!
その日、
そのときまで、
衛示はそんな日常に追いかけられる毎日が永遠に続くと思っていた。
いや、そこまでの自覚さえ持たず、当然のように、無根拠な確信の中にいた。
しかし…その日、そのとき…深さの増す闇夜の中で、彼の日常は確信と共に、あまりに呆気なく終わりを告げた。
あとがきという名の言い訳の友達
「気分が乗ったから一個作品を書こう…」
と、気合を入れたらこんな出来になりました
なんというか………orz
ちなみに、これは「執事ネタですからね…長い目で見て下さいな…ではでは。