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18、八つの秘宝 2



 一同は注意して隠し扉の向こうへ足を踏み入れた。


 見たかぎり横道もなさそうな細い一本道だ。




 しばらく行くと、天井近くの高い所に横長の穴が見えてきた。


「あんなん、ハシゴとかなかったら入られへんやん!高すぎ!」


「横穴じゃなくて、通気孔だと思うよ。人間の通り道にしちゃ位置も大きさも変だよ」



 おかしな横穴は無視し、どんどん奥へと進んでゆくと、その先は鉄格子にふさがれていた。


「あれっ?開かないヨ!」


 鍵がかかっているようで行き止まってしまった。


 鉄格子の扉の向こうには同じ鉄格子が幾重にも閉じられているのが見えている。一本道だからどうしようもない。


「ダメだ!やっぱり開かないヨ」

 ボンは残念そうに鉄格子を両手で叩く。


「八つの呪いって、もしかして八つの扉かよ!?」


 八つあるかどうかは見たかぎりでは見通しが悪くて確認できないが、たしかに八つくらいはありそうだ。


「ってことは、やっぱり、あの水晶の鍵、持ってこなアカンねや!」


「どうやってだよ?鍵を皿から取ったら壁が閉じちまったじゃんか」


「とりあえず、天秤のある部屋まで戻ろうよ」

 ジェンスの言葉に二人はうなずいた。




 仕方なく天秤の部屋まで引き返してきた。


「ね~、さっき言うてた詩の、ムとムが何やらとかいう部分、もういっぺん読んでみてよ」


「うん、イイよ。えーと…『八つの戒め/八つの呪い/解き放ちし術/無に無と悟れ』、だよ」


「無か。何もないってことだよナ?」


「そんなこと、どーでもエエねん。要は天秤を釣り合わすんやろ?」


 そう言ってアルはニヤリと笑い、八つの鍵を皿から次々と取り出した。もちろん、壁は閉じてしまった。


「オイ!何してんだよ」


「まぁ、見とき。んーでな、これを…」と言いながら水晶の大きな塊を皿から持ち上げた。するとどうだ、壁は音を立てて開いた。


「な。これは発想の転換やで。これで無に無やろ?…せやけど、これ、最初っから水晶の鍵、載せんでエエんちゃうのん?この大きいのんだけ、どけたら済んどったんやん」


 そういうことを考えるのも、この理不尽な島では御法度だ。



「ついでやからコレ、もろといてもエエかな…?」


 さりげなくアルは、退けた大きな水晶を自分の鞄に入れてしまった。まったく、図々しい奴だ。




 今度は八つの水晶の鍵を持ち、開かない扉を目指す。さっき通った細い一本道を奥へと歩き、例の通気孔の下を通り過ぎた。



 …と、その時、変な気配が。


 気配というより、カサコソという音と言ったほうが正確か。嫌な予感がして視線を上げる。


 まさかとは思っていたが…そこには、にわかに信じられない奴がいた。


 薄暗い中でもハッキリと見える茶色い枝のような物が二本、通気孔らしき横穴からゆっくりと伸びてきた。



 そして、その枝と枝の間には同じ色の塊が見えてきた。



 じらすように現れたのは、八本の足を持つアノ生き物…




「蜘蛛ダ~ッ!!」


 通気孔の一番近くにいたボンがソレに飛びかかられそうになり、すばやく横へと飛び退いた。


 しかも、ほとんど通路いっぱいの大きさを持つソレは、とんでもないことに出口への路の間に立ちふさがった。ランプの灯りに八つ足の影が大きく伸び上がっている。


 盛んにうごめく触肢、そして、その間で虚無に赤く光る複数の目がこちらを窺っている。間違いなく今日から毎夜うなされることだろう。


 ボンは適当に選んだ鍵をあせりながら差し込もうとする。


「なぁ!鍵、合わないじゃん!八つもありゃ、どれがどれだか判んないヨ!」


 当たり前だ。ぜんぶ違う形の鍵なんだから、どれでも鍵穴に合うってわけじゃないだろ。



 もたもたしている間に、どんどん八つ足は迫ってくる。おぞましいっっ!



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