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15、鼻の穴



《鼻の穴》



二つ

顔の真中

とのしろに





………………


 地図に印された小高い丘へ着いた。



「何だこりゃあ!入口が二つもあるぜ~」


 斜面の中ほどに少し出っ張った部分がある。その出っ張りに、入口らしき同じ大きさの穴が隣り合って二つ並んでいる。


「なぁ…なんかに似てへん?ぷぷッ」

 アルが口を押さえて笑いをこらえている。おかしな感性の奴は何を想像しているのだろうか。


「ぷッ。なんか、鼻の穴に似とらん?この辺の草と実ぃが、お土産つき鼻毛みたいで!やめてくれ~!めっちゃウケんねんけど!」


 アルが入口を指差しながら一人でゲラゲラと笑う。何だかイヤな表現をする奴だ。


「何だかな~。入んのがヤになんじゃん。まあ、とりあえず二手に分かれようぜ」


「じゃあ、超合理的にグーとパーで分けよ!せーので、グーかパーのどっちか出すねんで」


 ジェンスとボンはアルの言葉にうなずいた。安直でガキっぽい決め方だな。



「せーの!グーっパーで分かれましょ!」



 俺がグー、ボンとアルがパー、ジェンスがチョキを出した。




 くだんの分け方で、なぜか俺はジェンスと組まされた。


「待ってよ~。君は歩くのが速すぎるよ」

 お前が遅いんだろうが。俺は普通だ。


 中は天井も壁も床もきれいにレンガで舗装されている。灯りもなく、ゆく先々には、ただただ闇だけが待っていた。


 一本道を抜けると、垂直に交わる広い廊下へ出た。ちょうどT字路になっていた。突き当たりの壁にズラリと入口が並んでいるのが見える。入口の中は、さらに真っ暗だ。


「どれかなぁ。一二三…わぁ、十も並んでいるよ」

 ランプをかかげながら左右を見渡してジェンスが言った。


 たしかに入口は十も並んでいる。一つずつ見てゆくのか。しち面倒くさい話だ。それとも暗号を解きゃイイのか。


 考えていても進まない。俺は左端の入口を目指して歩を進めた。


 しかし、背後にはジェンスがついてきている気配が。非合理的な奴だ。



 俺は立ち止まって振り返る。


「お前は右端から調べろ」


「あ、そっかぁ~」

 ジェンスは満面の笑みで肩をすくめた。


 それからブツブツと何かを言いながら俺とは反対方向へ歩いていった。まったく、馬鹿王子は何を考えてやがんだ。



 左端の入口へランプをかかげて入る。中には壁以外、何もない。用途不明の狭い部屋だ。


 『顔の真中、とのしろに』。顔の真中か。たしかアルが鼻だとか言っていたな。鼻は顔の真ん中に違いないが。


 『とのしろに』は『十の四六二』とも『十の四六に』とも取れるな。まず、『』は入口の数と思えば説明がつく。


 数の順番からして六の次に二が来るとは思えない。だとすりゃ『十の四六に』か。普通に考えて数は左から数えるとして、入口の四番目と六番目を捜してみるか。


 俺は二番目と三番目の入口を飛ばして四番目を捜すことにした。



 案の定、床を照らしながら隈なく見てゆくと、部屋の隅に刺さるようにして鍵が見つかった。


 あと、六番目の部屋も同じように捜したが、鍵は見つからなかった。おそらくボンとアルが向こうの穴にあるはずの六番目の部屋で見つけているだろう。





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