表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
WBW 〜World Beetlemen's Wrestling〜  作者: ナシゴレン
序章 〜日本から世界へ〜
4/4

〜Elegants Soul 高貴なる魂〜

先程アスラ・コーカサスが残虐ファイトを繰り広げたリングは、いつの間にやら片付いていた。

「では、続きまして1回戦第2試合、インド出身、インド甲人界の皇帝、マハラジャ・ウエストウッド対、中国出身、中国四千年の拳闘士、呂方平の試合を行います。その前に両選手へのインタビューを行いたいと思います。あれ?両選手控室にいません。どうしてしまったんでしょうか⁉︎」

実況はたじろいであたりを探し回る、すると黒いリムジンが実況の前で止まり、中から立派な長いツノをこしらえインド王族の衣装を纏った男と太くがっしりとしたツノをこしらえカンフー服を纏った男が仲良さげに現れた。

「あーっと、両選手が現れました‼︎しかしとても仲よさそうです。普段はとても仲良しと言う噂も本当だったそうですが試合はどうなるんでしょうか⁉︎では早速ウエストウッド選手からインタービューに取り掛かりたいと思います。」

そう言うと実況はさっそくウエストウッド選手に張り付いた。

「あの、ウエストウッド選手、本試合への意気込みは?」


「方平選手とは親友同士だが、リングに立ったからには手加減はしない。」

とウエストウッド選手は答えた。

「では方平選手、本試合への意気込みは?」


「私も同じく、親友同士といえど、リングに立ったからには本気を出させてもらう。これが私なりのリング上の礼節だ。」

そう言うと両選手は着ている民族衣装をセコンドへ預けリングへ向かった。


「赤コーナー、インド出身、インド甲人界の皇帝、マハラジャ・ウエストウッド‼︎」

インド音楽と共にウエストウッド選手が現れた。

「青コーナー、中国出身、中国四千年の拳闘士、呂方平‼︎」

音楽が切り替わり中国音楽とともに方平選手が現れた。

両選手がリングに上がったと同時に、

「レディー、ファイト‼︎」

「カーン‼︎‼︎」

レフェリーの掛け声とゴングの音と共に試合が始まった。

先に仕掛けたのが方平が中国拳法で先手を取るもののウエストウッドはしなやかにかわしつつ反撃をかけたがこれもしなやかにかわされる。

「さぁ、序盤からお互い一歩も引かない熱い戦いだ!」

実況はそう言うと、

「ほう、やるな方平、だが甘い!」

そう言うとウエストウッドは自慢の長く美しく立派なツノで方平をがっしり挟み込んだ、

「喰らえ、脱出不可能の大技、ヒマラヤン・バイス!」

そう言うとなんと頭とツノの力だけで挟み込んだ方平を持ち上げギリギリと締め上げる。

「あーっと、ウエストウッド選手、自慢のツノで方平選手を持ち上げそのままギリギリと締め上げる!これは方平選手苦しい!」

とその矢先

「私にだってツノはあるんだ!」

そう言ってなんと挟まれながらも太いツノで逆にウエストウッドの首元を強烈に挟み込む。

「喰らえ、中国四千年究極の技、桂林の偃月!」

それと同時に血だるまに成りつつもウエストウッドのヒマラヤン・バイスから抜け出して体重を利用してウエストウッドを頭からマットに叩きつけた。

マットに倒れたウエストウッドはもうグロッキーだった。

そこでレフェリーが10カウントに入る。

「1・2・3・4・5・シッ…」

「おぉっと、ウエストウッド選手、グロッキーな体制からなんと勝利への執念で立ち上がった!」

「まだだ、ここで負けたらお前への冒涜だ!」

そう言ってウエストウッドは立ち上がり再び攻撃態勢に入ると同時にまた方平を長いツノで捕らえる。

「これが俺、いや、インド武術の究極だ、喰らえ、アルナーチャル・プラバータム!」


それと同時に方平を空中に放り投げウエストウッドも高くジャンプし、再び空中で捕らえ大きく縦回転しながら落下した。


「何と、ウエストウッド選手、不思議で華麗な技を繰り出しました!ところで髪切さん、アルナーチャル・プラバータムとはどういう意味でしょう?」


「はい、直訳するとアルナーチャルはインド東部のアルナーチャル・プラデーシュ州、彼の生まれ故郷で、プラバータムは古代インドで使われたサンスクリット語で夜明けという意味です。すなわちアルナーチャルの夜明けという技名ですね。」

「なるほど、そういうことですね。ひとつ勉強になりました。」

実況と解説を後目にウエストウッドは仕上げにかかった。

「これでとどめだ!」

そう言うとなんとウエストウッドは空中から方平を投げ捨てマットに激突させた。

これは完全に勝負あった。

「カーンカーンカーン‼︎‼︎‼︎」

「試合の結果、マハラジャ・ウエストウッド選手のアルナーチャル・プラバータムでのKO勝ち‼︎」

「ワーッ!ワーッ‼︎ピーッ‼︎」

観客席、特にインド応援団からの黄色い声援が場を賑わせた。

しかしその後

「何が中国四千年の拳闘士だ、これはインドと中国の代理戦争なんだぞこの国辱格闘家め!」「お前なんて国外追放だ!」「そもそも敵国のインドの選手なんかと仲良くしやがって!」

などと中国応援団から敗れた方平に対しバッシングや物を投げる嵐。

そこでどうした事がウエストウッド選手、レフェリーから急にマイクを取り上げ

「静まれ!!」

ウエストウッドが吼え、会場は静まり返り再び話す。

「俺はそもそも、この試合をインドと中国の代理戦争なんて馬鹿げたことなんて考えてない!格闘家の道に下らぬ政治のことなど持ち込むな!俺は幾ら罵られても構わない、だが、この呂方平という中国大陸最高の誇り高き戦士を侮辱するのは許さん!奴は俺と精一杯戦った、格闘家にインドも中国もアメリカも関係ない!格闘家は格闘家だ‼︎お前らの政治や戦争の道具じゃない‼︎」

なんと敗北を理由に自国の選手をバッシングする中国応援団に一喝を入れたウエストウッド。

そこで失神していた呂方平が目を覚ました。

そう言うと目が覚めたばかりの方平を優しく肩を貸して一緒にウエストウッドはリングを去った。

「行くぞ、私の人生最大の親友よ。今中国側の控え室に戻るのは危険だ。しばらくインド側の控え室で休むといい。チャイとソーンパプディくらいなら用意する。」

「す、すまないなぁ…ァハハっ、謝謝。」


ヤマトの眼からは何やら熱いものが流れていた。そう、インドと中国、国際関係を超えた格闘家としての友情に触れ涙したのであった。

「ウエストウッド、方平、あんたらは最高の漢だ!」





ちなみに後半で出てきたチャイとソーンパプディとは


チャイ=多分これはわかる人は多いと思うけどインド式の紅茶、基本ミルクティーが大半。


ソーンパプディ=インドでよく食べられているギー(インドのバター)、カルダモン、砂糖、ヒヨコマメの粉を使ったとても甘いお菓子のこと、コーヒーやチャイによく合う。うp主の大好物でもあるw

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ