拒否と拒絶
第8話『乾いた風』
御剣『くっそー!!このぉ!!このぉ!!このぉ!!』
マリスは相変わらず僕の攻撃をすべて眼を瞑りながらかわしている。
マリス『待て。』
御剣『ん?』
マリス『私はお前に殺すつもりでかかってこいと言ったんだ!!お前には殺気がない』
御剣『僕には人なんて殺せないよ』
マリス『わかった。殺すつもりではなく殺せ。私を殺すぐらいの事でできなければこの世界では生きていけないぞ。わかったな!!』
御剣『…』
10分後
マリス(殺気どころか、闘気も無くなったか…重症だな。)
御剣『隙あり!!』
御剣『なんだよ。マリス。殺す気でかかったんだからかわせよ』
マリス(殺気の抑えかたなんて教えたつもりはないんだがな)
次の日
御剣『雨…か…まぁマリスの性格から考えて休みって事はないよな。でも、やんで欲しいな…』
10分後
マリス『行くぞ!!今日からは私も本気を出す!!殺す気でかからないとお前が死ぬぞ』
御剣『殺す気?へぇ随分と弱気になったもんだ。殺す気じゃなくて殺すからな。』
マリス(月滅剣を甘く見るなよ…お前はまだまだひよっこなんだよ)
御剣『行くぞ!!』
マリス(木刀を私に投げ続けてきた?)
御剣(これで終わりじゃないぞマリス)
後半へ続く
僕は一方的に叩きのめされた。でも、マリスは本気を出したんだ。胸をはって誇ってやろうぜ
マリス『今日はお前のムーンスロット2を開く。今日からは私もお前も真剣で勝負するからな』
御剣『わかった!!』
マリス『まてまて…お前はまだ月滅剣しか覚えていない。次は横凪の月滅翔、突きのそして月滅槍。これらを覚えてからだ』
次の日
マリス『今日お前に教えるのは月滅翔だ。月滅翔とは横凪に水平に月滅剣を打つ技だ。月滅翔の名前の由来は月滅翔を生み出したシゲンという少年の考え方から自分でつけたと言われている。シゲンという少年は体が弱く月滅剣だけでどうやって生き残れるかと悩んでいた。なにしろ相手も自分も殺す気で戦う訳だ。シゲンは相手が飛び上がった瞬間に隙が生まれる事から相手が飛び上がる瞬間に・・・』
御剣『斬ることを思いついた・・・』
マリス『お前・・・』
御剣『つまりはマリスは飛ぶことができない、しかし、相手は飛ぶことができる。だから、マリスはシゲンを手本にした・・・』
マリス『どうでもいいがどうして読心術なんてものができるんだ?そんなものは異世界にも・・・』
御剣『いないんだろ?でもお前の爺さんが知る限りの範囲でだ』
御剣『それにお前のように透き通った心なら・・・僕にもわかるよ』
マリス『月滅翔・・・私がもっとも得意とする技だ・・・だが、その前にお前に言うことがある・・・
技を自分で作るという事だ』
マリス『本来、月滅剣には特殊な技はない・・・それこそ・・・ムーンレーザーや瞬天敏のような才能に恵まれたものでしか使えない技だ例えば今あげた2つの技・・・ムーンレーザーはムーンスロット6以上でなければ放つことすらできない
ムーンレーザーは別名『卑怯者のする技』ともいうその他には星を潰す等の際に力自慢をするとき時ぐらいにしか使う技でしかない・・・つまりはだ・・・威力だけをいうのならムーンレーザーより強い技などない・・・ただし、月滅剣を持つ資格があるものつまりは呪われた血をひくものなら誰でもムーンバリアーは使えるんだ。ムーンバリアーはどんな攻撃であろうが遠距離の攻撃は必ず防ぐんだ、ムーンレーザーは遠距離からの攻撃。だからな意味がないんだよ。しかもだ。ムーンレーザー放ったとしても進むスピードが遅いんだ。相手が交わせないことを前提に考えないと意味がない技なんだよ。それこそ地球上でそんな技を使ってみろ。地球は完全に終わりだ』
マリス『次に瞬天敏。いいか、これについては十分有効な手なんだ必要なのはスピードとタイミングなんだ。これはムーンレーザー等より高度な技だ。私もバルジナ爺様も使うことすらできなかった』
それからのマリスは僕に稽古は一切つけず技の説明をただ単に話すだけになった
マリス『いいか月滅翔はつなぎの技としても使える。例え交わされようが防御されようが、月滅槍、つまりは月滅剣で放つ突きの一撃は必ず入れる』
マリス『月滅剣はムーンスロット1で使用できる。月滅翔と月滅槍は初めのうちはムーンスロット2で撃つのが定石であり、なれればムーンスロット1でも使用可能だ。ムーンスロットの意味の1つとして技の使用可能危険範囲というものがある』
御剣『もういい!!いいからもう耳にタコなんだよ!!高度な技は高いムーンスロットで放たなければ危険である。なにが危険なのかは話す気はないんだろ?それを教えてくれない意味がわからないんだよ』
マリス『わかった・・・今のお前にもっとも必要なのはムーンバリアーなんだ・・・なんでお前に使えないのかは私にはなんとなくわかる気がする。私も苦労したの、ムーンバリアーを使えるようになったのは・・・』
御剣『それも秘密にする気か?』
マリス『・・・拒否よ・・・拒絶と言ってもいい。何を拒否したのではなく生きること自体を拒否してるの。少なくても今の貴方はそうよ』
御剣『なんだよ!!急によそよそしくなっていまさら人間の常識にでも目覚めたのかよ!!着替えを見せないのはわかるとして・・・なんで化粧なんかするんだよ!!そんなものは必要ないんだよ・・・なにもしなくても・・・マリスは十分・・・』
マリス『十分・・・何?』
御剣本人はマリスのいう事が痛いほどにわかっていた。しかし、わかっていても口に出せない。
人に殴られても殴り返さなかった自分の人生とこれから始まる人生は違いすぎる・・・運命というのは僕にとってはちぐはぐであり遅すぎた初恋に戸惑っていた。
乾いた風終わり