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あたしだけの暴君様!  作者: 白木院 初
Round 1:救世主
8/30

暴君様×天変地異/上弦の月夜

熟成パーティーから読むと過去編を読めます!

しかし、なぜ過去を振り返ってんの?って方は最初から読んでください!

暴君様は恐るべし冷酷で冷血の我が主兼吸血鬼の純血鬼である。

暴君様は時には優しさの原点へ返られる。

そして、単なる人間に成り代わった。

いや、身だけがそうなった。立場や性格的に考えれば並外れたものである。

しかし、時に深く考えるとその暴君様は優し過ぎるのかもしれない。

ガラスのように簡単に壊れてしまうから、そうならないように気をつけているだけなのかもしれない。

その行動が、暴君野郎を生み出している。








信じろ。

そう言われても、神秘的で現実味のないものあるいは自分自身絶対的に信用できないものは怪しいものである。

現実を知ると言うことは真実の場合、覚悟と時間が慣れさせてくれる。

しかし、嘘の場合その嘘を見抜く図太さが必要だ。

時間なんてない。

その時に判断しなければならない。

このときの私は図太さが大きかった。

人を信頼する。

そんなことをしていては護衛とかの仕事は勤まらない。

そう、習ってきた。

だからなのだろう。

心は否定しても体が真実を隠せていなかった。

無性にのどが渇く。

なぜか心臓がドクドクと動き出す。

そして、いい香りがする。

これが体の真実。

しかし、精神的に今までにこんなことがなかったからか否定している自分。

まさに1つの存在でありながら2つの意見を持つ。

矛盾したそんざい



「いぃあ゛ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッあ゛ッあ゛あ゛あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ----・・・。」





私は、ベットのシーツに包まった。

体の震えが止まらず、泣き続けた。

真実を聞こうとせず、なぜこうなっているのかを聞く前に反射的に身を隠している。

案外、危ないと言うことを知っているからの行動なのかもしれない。

ただ、忘れてはならない。

この空間には彼もいたことを。

我が主暴君は私の暴れ狂う姿をただ見ていた。

それはもう冷血に冷酷に冷静を保ちながら。

ただ、漆黒に漆黒に・・・

そして、私は泣く目を開くとあることに気づいた。

集中して顔の下のシーツを見るとなぜか網目状のようなものと埃が大きく見える。

いや、それどころではない。

見ようと意識するともっともっと大きく見える。

自分の手のひら・・いや奥の血の流れまでもが頭の中で映像化される。

視力がよくなっている。

その時だろう、事態を飲み込んだのは。

私は、すぐさまシーツから出た。

部屋の大きい鏡を見つけると私はその前に立った。

そして、私は絶望を知る。


髪の色は変わってはいないが艶やかになっている。

血が通っていないような肌。

長い爪。

鋭い牙。

赤い紅い瞳。

血の流れを感じた。

喉の鳴る音。

筋肉の柔軟性。

何でも見えそうな視力。


「な・・・にこれ・・!?」


「・・・純血な吸血鬼だよ。波瑠。君は・・・吸血鬼になったんだ。」


彼は私に背を向けベランダへと歩きながら言った。

そして、私は吸血鬼と知る。


そうではないかとうすうす気づいてはいたのかもしれない。

ただ、恐かったからだけかもしれない。

この恐怖は・・・

いや、まて。

私が吸血鬼なら彼は?!

暴君野郎はもしや特別な血になっているのだろうか?

どの道、知らなくてはならない。

彼がなにをしたのか・・。

いや、どうして血を変えたのかを。

その動機を知りたい。

彼のいる、ベランダへと歩みよった。


静かな晩餐に聞こえるのは歩み寄る裸足になっている私の足音。

深く深く吐きあう2つの呼吸。

ベランダから見える湖は器を飲んだあの場所。

そして、ここの屋敷は、パーティーを行った町の山の上。

町の光がイルミネーションのように綺麗だ。

あの月と星が見えるくらいには光はそこまで眩しくない。

彼は冷酷に月を見つめていた。

嵐の前のお話を私たちははじめた。


「・・柊聖様。これはどういうことなのですか?どうして・・私たちはこのように入れ替わったのでしょうか。」


「・・・お前は、あの純血の吸血鬼たちを見たな?あれは・・・


彼は息を潜めるように真実なのかわからない【何かを隠した】話を言う。


 死にたいためだけに集められた集団なんだ。そして、20年前の争いは、お前の母の血を求め争われた。これも、知っているな?」


私は全ての問いにうなづいた。

その話は祖父との話で彼等の話で聞いたことだった。


「そして、お前の母が苦し紛れに行った行動が、俺が先ほど行った・・・お前との血の交換だ。特別な血は幼いお前の精力と共に弱まった。20年間狙われなかったのはそれが原因だ。しかし、20年がたち、血は熟成する。満月の夜・・・その血は完成される。だが、お前は少し遅かったようで・・・熟成するための薬を開発し飲まされた。体が熱くなったのはそれが原因だ。」



現実を冷静に受け止める。

「・・お母さんが・・そんなこと・・」


「・・・そうやって先代も乗り越えてきたことだ。しかし、彼等はもう待てなかったようだ・・お前の代で終わらせようとしたんだろう。熟成のための薬もだから生まれたんだ。」


「柊聖様もその仲間に加わっていたんじゃないんですか?」


彼は酷くしわを寄せた。

禁句だったようだ。


「・・・あぁ。昔は、な。しかし、お前等の公家二使家の主分だった一条家は脱線した。お前の家と一条家は血を悪用されぬよう固く契約した。」



「じゃあ・・なぜ・・血を交換したのですか?」


「・・・・・・・・・。一つの理由は、吸血鬼の体はその血の効力を制御、つまり監禁みたいな役割を果たせる。だから、他の奴等に気づかれにくい。」


・・・?

「だったら、昔の代でやればよかったのでは・・・」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
















       ・・・お前は痛いところをつくな・・そういうのは知らなくていい。」


彼は闇に微笑んだ。

彼は悲しくも笑う。

なぜ笑うのかと問うと無言で夜空を見上げる。




「・・・結局、情けをかけてもそれは自分に返ってくる。どの道自分の利益になっているのだな・・。」


「え・・・?」




彼はなにに対して悲しく笑っているのだろう。

なにに情けをかけてしまっているのだろう。

なにを望んでいるのだろう。

私はいまだにわかっていない。

彼の悲しさも優しさも何一つわかってはいなかった。



私も満月を見る。


瞳孔が開く。

立ち昇る闇。


<ドクンッッ--------->



まだ、慣れていない体。

受け入れられない血。

立場の変わった私たち。

悲しみや憎しみに狩られ我を忘れた。

無碍にも彼は気づいては下さらない。


一人で事を起こしている。

一人で事を起こしている。

一人で事を起こしている。







世界の終わり。


私はこの言葉が浮かぶ。

事は漆黒に静かに行われた。

人の眠りし刻に。




「柊・・聖・・・様・・・・」


彼は静かに振り向いた。

しかし、それは・・・









------遅かった。


上弦の月夜と下弦の月夜は1話分です!

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