暴君様×撲滅には制裁をⅡ/雫に映る物語
ちょっと残酷ですw
でも、大丈夫!
蒼き終わりが町を包みだす。
漆黒の闇が終わりを始める。
矛盾の先にまた矛盾が待っているなら、それは真実。
何かが喰い違ってもそれが出来てしまう悪夢。
それは儚い夢物語。
雫の下には、少女の記憶の集まり。
「・・。残酷な紅い涙。赤よりも鮮やかな紅。混ざってもわからないのに味が違うのわ不思議。何でだろう?何でだろう?
それは、それぞれ人間の言う個性というものかしら・・?
それなのに・・・
同じ事を考えるものがいる。
私欲のために争いたい者たちがいる。
だから、アルは巻き込まれた。
アルは人間に殺された。でも、アルは誰かを守って死んでいたわ。
アルはいいこ。
お前等は悪いこなんだよーーーーーーーー!」
<ブッシュ・・>
残酷で生々しい音が聞こえる。
彼女は・・・またもや人間をコロシていた。
満たされないのだろう。
こんな日がもう3日も続いていた。
日に日に彼女は顔がやつれていった。
しかし、解除システムが外れた以上彼女は昼間は行動しなかった。
出来なかったのだ。
そして日が沈んだ頃に動き始める。
血を味見するかのように。
「あれ?」
いつの間にか彼女はアルの屋敷に来ていた。
「おかしいわ・・。アルの屋敷の反対方向に歩いていたはずなのに・・。」
彼女はいつの間にかいつの間にか・・。
満月の夜。
今宵は満月である。
湖に写った満月の中に取り込まれていた。
その瞬間写った満月は大きくなり、黄金色に湖が染められていく。
湖の水が雫になった舞い上がる。
「誰!」
『私は月環の湖の巫女。・・。その心臓をもつ者よ。なぜ血を求める。吸血鬼にせよ、貴女は命を請われ過ぎるのではないか?』
「・・。足りないの・・。
足りないっつってんだよ!!
愛もぬくもりも・・満たすものが無いの!幸せが無いの!なんでこんな心臓があるの!?この心臓のせいで・・・
私たちが死んでも、死んでも、死んでも、死んでも、死んでも、死んでも、死んでも、死んでも、死んでも、死んでも、死んでも、死んでも、死んでも、死んでも、死んでも、死んでも、死んでも、死んでも、死んでも、死んでも、死んでも、死んでも、苦しんできた。こんなもののためにこんなに私たちは・・・
『囚われたまま死んだんだ!』
だから、もう・・失くしたい・・・・。こんなもの。」
声は彼女そのものだというのに何人ものの意志が感じ取れた。
気迫。
『じゃぁ、その心臓を無くせば満たされるのでしょう。その欲求は。』
その言葉と共に光が彼女を包み込む。
優しい温かい光が行うことは、とても残酷なことだった。
『その心臓の呪いは私には解けない。しかし、いい事を貴女に授けよう。“自分で歩むから辛いのだ。自分で知りたいと思うから辛くなるのだ。何も知らなければいい。世界など知らなければいい。”・・。
貴女には歩む足は要らない。広い大地も要らぬだろう。』
『貴女は家に帰りなさい。家に入ったらその家の敷地以外をまたぐことは出来ません。また、その足も要らないでしょう。足は小さな希望ですぐ前に出てしまうことがあるでしょう。足とは進むことが出来、手とは止める動作が出来、頭とは冷静に考えることが出来る。進む足は要らないのです。足の神経もなくしておきましょう。』
足が湖に沈んでいく。
彼女は唖然とし、その光景を見つめるだけだった。
巫女の言葉どおり足は動かなくなった。
『貴女の家の主にはこのことを伝えておきましょう。あなた方が幸せになるために。
さぁ、少し眠りなさい。その間に迎えを呼んであげましょう。
そうそう、アルあの子の愛を無駄にしないようにしてください。
それと、この湖はアルから貴女に受け継がれます。では・・。』
淡々と巫女の話が進む。
抵抗することを彼女はしなかった。
なぜなのだろう。
彼女はわかっていたからだ。
彼女は人殺しなんで好きではないのだろうから。
ただ、愛を知ったばかりに、ぬくもりを知ったばかりに・・起こしてしまった晩餐だった。
次は過去からもどるよ!