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あたしだけの暴君様!  作者: 白木院 初
Round 1:救世主
10/30

暴君様×月環の湖

熟成パーティーからだと戦いシーンになっています!

どうして戦っているのって方は最初からがおすすめです!

暴君様はかけがえのない主である。

例え自分自身が傷ついてもなんでもやり遂げるお方。

それが優しさなのである。

しかし、他を思いすぎて傷つけているのもまた一理。

彼は特別な血を身に宿し、あらゆるものから守っている。

そして、私はどうだろうか?

闇に成りすました純血の吸血鬼である。











「・・・俺の波瑠を返してもらうぞ・・。」


低い声が聞こえた。

でも、また気を失った。

占領された体は私のものではない。

血を交換したときから吸血鬼の血を拒んでいる。

よくあることだ。

化粧品が肌に合わなかった。

つまり、何が言いたいのかというと吸血鬼の純血は私の体には合わなかったのだ。

制御が出来ない、この力を自分の物に出来ていない。

なんて不服な出来事なのだろう。

こんな血も立場もほしくはなかったというのに、私も神頼みしようか・・?



意識は飛んだ。飛んでいる。



「・・・波瑠。おいで。」


暴君は吸血鬼を誘った。

何をいっているのかわからない。

そんな顔をしている。

意識的に会話をしていない片方と意味ありげに話す片方で会話なんて成り立つはずなんてない。

彼女はいつもの彼女ではないからだ。

闇黒の冷血である吸血鬼が求めるものは血だけである。

何日も吸って来て、ドレスはもう元の色を保ってはいない。

紅く染まっただけ・・でもない。

血が固まって、血の塊が出来そうなくらいにドレスにくっついている。

髪の毛もがちがちに固まっていた。

その中ではっきりとした純白の肌や爪、牙がまぶしいくらいだ。

睨む瞳は赤く光っている。

誰が望んだ光景だろう。

誰が知っている光景だろう。

誰がこんなことをしたのだろう。


誰が化け物を生んだのだろう?

誰が化け物を生んだのだろう?

誰が化け物を生んだのだろう?

誰が・・・

誰が・・・










「・・・自分の生み出したことは・・自分で片付ける。」



----吸血鬼の中で自問自答が行われた。


「柊聖・・・お前かああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!・・・あたしをこんなッッこんな格好にしやがってぇぇぇえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!」




地響きが起こる。

彼女の精神が冒され闇に包まれていく。


「・・・俺様の波瑠は、そんな風にいわない・・全てお前の中にあったこの血のせいか・・」


柊聖は自分の胸を掴む。

前のように体力や力が今の彼には無い。

しかし、彼女を止めるなら・・・やはり、吸血衝動を止めるしかないのだろう。

それも、呪いの血で止めるしかないのだろう。

特別な血で止めるしかないのだろう。

何でも出来る。

最強で最高の今は自分の血を飲ませることが今の現状を止める唯一の方法だった。



彼は宙を駆けた。

最速で人間には不可能である行動を行った。

そして、吸血鬼も同じ事を成し遂げた。

彼が向かったのは・・・あの、湖である。

星も月も湖に映っている。

この神秘なるところで彼は止まった。

彼が静かに振り向く。

その姿は、神々しく神秘的で神聖で清らかで、なんともいえない美しい姿だった。

真正なる湖の精の力。

瞳の中には溢れ出す黄金の息吹が渦巻いている。


「・・・ここは俺のテリトリーなんでな。」


月の影が大きくなる。

なるはずもないのに、映った月が湖の大きさまで広がった。

下から光が浮かんでくる。

あたり一面、黄金こがね色に光出した。

吸血鬼はそれを見て、目を塞いだ。

少し、うろたえたようだ。

すると湖の水が龍に変化へんげし吸血鬼に巻きついた。

水なのに動けない。

まさに不思議な光景だった。


「あ゛ァァァあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


吸血鬼は精一杯解こうとする。

しかし、無駄であった。

無駄とわかった上で奴は彼を睨みつける。

そして、苦しみだした。


「っ・・・柊聖・・サマ・・くるし・・い・・・ッッです!」


「!・・・まさか、戻ったのか!?」


結びが解けた。【吸血鬼】は倒れて湖の中に沈んだ。

柊聖が奴に近づくと共に映っていた月の大きさは元に戻っていく。

彼の姿も元に戻っていた。

柊聖は彼女の元へ泳いでいき腕を取る。



・・・

「ぷはぁッッ」


同時に息をはいた。

吸血鬼は彼に寄りかかり肩から息をする。



<ガッッッ>


衝撃的な光景がそこには広がる。

信用していた人間だからこそ、自分の仲間だと思ってしまう。

そんなことは誰だってある。

しかし、裏切られた場合・・人間は避けるというよりも何か言うよりも・・・


先に硬直する。

先に硬直する。

先に硬直する。


それから現状を改めて感じるのだ。

彼の首には白い痛いげな穴の開いた皮膚とそこから溢れ出す生々しい血。

彼の首の横には純白の尖った生々しい血がついている牙。

そこで驚かれるのは吸血鬼の頭脳だ。

本物かと、戻ったのかと思われた。

暴れるだけでなにもないと思っていたが嘘をつけるほどの天才だった。

天才暴君を騙せるほどの演技だった。

精霊を騙せるほどの心の持ち主であった。

彼たちもそう思うだろう。

だって、やはり信用していた人物であったのだから。

心を許した関係だったから。







































しかし、それをさらに越えた者が唯一いたのだ。



「・・・ははッ・・血を、飲んだな・・。」


その血は最強の最高であり特別であり毒であり魔法でもある。

その血を今や一条家の当主『一条柊聖』、彼が所有しているのである。


「ッッッめまいが・・・   --------------------」


【彼女】は気を失い。

【吸血】衝動は消えた。




「・・・はぁ、コイツが起きる前に奴によってわれた町人を元に戻しておくか・・・」


『時間がかかりましたが・・一件落着です。人々のことよろしくお願いします。【柊聖様】』


彼は返事をし、月を眺めてから帰った。

自分の家へ歩き出した。




特別な血はその後人々の記憶を奪いつつ命を宿していった。体を作っていった。

生き返ってはいけないものを蘇らした。

特別な血は・・今は吸血鬼には気づかれにくい。

それは、吸血鬼の体であった器の中だから。

彼は今も微笑んでいる。


彼は、手の平の上で私たちを転がしていた。

しかし、人々をゆくゆくは世界を救っていただろう・・・救世主である。

救世主・・である。



後、もう一話で過去のお話は終わりです!

ラブラブ波乱な学園生活はもう少し!


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