噂な彼ら
今回は短いです。ていうかいつも短いか(笑)
「ねえねえ? 聞いた? あの噂」
「聞いた聞いた! なんでも転入生が『毒の花』ちゃんを倒しちゃったって」
「それ、私も知ってる~。しかも、あの『黒い姫』と契約してるらしいよ?」
「それまだ続きがあるんだよ! 黒姫ちゃんが作って渡した黒い武器が白く染まったんだって。その白く染まった武器を使って黒姫ちゃんを守ることから『白い騎士』ってゆわれてるんだって~!」
「黒姫ちゃんいいな――!」
(フフフ。順調ですわね……。序列も荒れそうですわね)
私の計画通り、噂がどんどん広まっていきますの。楽しみですわ。
生徒たちが噂をするのを聞きながら、華山羅姫は不敵に笑っていた。
白門達が教室に戻る、そこは噂で溢れていた。
「うわぁ~。なにこれ? いつもこんな感じ?」
俺が聞くと、二人はそろって首を横に振った。
志津香の方は、呆れ顔で首を振り、和花奈――あとで知ったんだが、苗字は牧島と言うらしい――は、話しかけられて嬉しいのか、笑顔でブンブン首を振っている。おい、和花奈。そのままだと首もげるぞ?
二人とも、知らないようだったので近くの人に聞こうとしたが、
「お! 主役が帰ってきたぞ~」
その一言で、クラスの視線が俺たちに向く。次の瞬間、宝物を見つけたかのような目を全員が全員して、こちらに走ってきた。
「ねぇねぇ! あのあとどうなったの?」「毒の花ちゃん倒したの?」「キャーキャー!」「黒姫ちゃんはどうなの!?」「やだー! 私も契約したい!」「「「「私もだよー」」」
とりあえず、なんかいいな。えへへへ……。女子に囲まれるのっていいな。
――だが! 俺には、志津香がいる……。ごめん、まだ片思いだった。
「そうよ。私と白門が、そこの和花奈に買ったのよ」
フフンと鼻を鳴らして優越感に浸ってる志津香に和花奈はキレた。
「あんたたち、二対一だったじゃん! ずるいじゃん! 第一、一対一ならあたし勝ってたもん!」
もっともだ。俺が来なければ、志津香は麻痺していて何もできなかっただろう。
「う、うるさいわね。そんなに言うなら、今度の乱闘試合で試してみればいじゃない!」
乱闘試合? そんなものまであるのか。
「いいね! それじゃあ――」
「ただし、私の白門とね」
そうそう、私の白門とね……え!?
「私の白門!?」
「……は! ち、違う。こ、言葉の綾よ!」
「え……」
ちょっと期待したのに……。そうだよな。好きなわけないよな。
「ちょ、そんなに残念そうにしなくても……」
そう言うと、白門の耳に顔を近づけて小声で言った。
「大丈夫よ。私も同じ気持ちだから」
うぉぉぉぉおおおおぉぉおお! やる気MAX!
「その勝負受けよう!」
決まった。その前は落ち込んでいたけど決まった!
「ずるい! あたしだって、『あたしの白門』っていいたい!」
え? そっち?
「悪いな。俺は、志津香の白門だ」
きっぱり言い放つと、和花奈は目の端に涙を浮かべていた。
「そんな、はっきり言わなくても……。わかった、あたしが勝ったら、白門と契約させて!」
「そんなのだめに――」
「いいわ。その条件、飲むわ」
え!? 飲んじゃうの!?
「大丈夫よ。わ、た、し、の白門だもの」
見せつけるように言う彼女は、子供っぽくて可愛かった。
「うぅぅぅぅぅうぅううぅぅぅぅ!」
和花奈も犬みたいで可愛かったぞ?
「はいは~い。授業はじめるぞ~」
え~。転校初日に授業あんのかよ。……あれ? え!?
そこに立っていたのは、白門がさっき倒した優樹菜先生だった。
「……さっきはよくもやってくれたな」
俺と志津香にだけわかるように小声で言ってきた。
うわっ! すごい怖い。
「あ、あれはですね」
「あぁ? ……っフフ! 冗談だよ」
先生は、柔らかな笑顔をしていて、ちょっと安心した。
「さぁ、さっさと席に付け~」
「魔法とは体にある魔力を糧とし使うものだ。だから、当然自分の体にある魔力が切れたら不発に終わる。さらには、相手の魔法により、自分が使うときに普段よりも多くの魔力を使わせられることもある。魔力量には十分注意すること」
カツカツカツ……。
みんな真剣だ。それだけ置いてかれぬように必死なんだろう。けど、たまに視線を感じる。噂のことが気になっているのか? 集中しろ集中!
「これ、回して」
俺の左隣の席、えっと、立岡さん? が手紙を回してきた。回すってどこに回せば……あ。右隣の和佐山さん? が手を出している。
そっと手紙を渡してあげると
「あ、あたっちゃった。えへ」
なんだこの可愛い生物は。ていうか、真面目だと思っていたんだが、案外みんな不真面目だな。
「そこは、こそこそ何をしてるん――だッ!」
ヒュ――ン……ガンッ!
うぉおお! 机にチョーク刺さったぞ! て、俺の机じゃんかッ!
「何するんですか!」
「あぁ? もう一発、体にブッ刺してやろうか?」
こええぇぇぇ!
「い、いいいらないです」
直立姿勢状態で断る。人間って、本気で怒られてるって思ったとき、姿勢良くなるんじゃね?
「……なら、さっさと座れ」
「は、はい」
そのあと、授業は、シャーペン (または鉛筆)の音がカツカツとなっていた。
短かったですよね。次回は、白門を鍛えますよ!
見てくださった皆様! ありがとうございました(^O^)