毒の少女は志津香のライバル!
サブタイトルって必要かな?
白門たちは保健室に優樹菜先生を届けてグラウンドに戻ろうとした。
その前に……
「……で? 幼馴染ってどういうこと?」
確かに俺には、幼馴染がいたけど、小学校に入った後すぐにその子は転校してしまって、その後は会っていない。
「言葉のまんまよ。ハクくん。」
そう言って、俺の顔を覗いてくる。
か、かわいい……。
「た、確かにいたけど、それって志津香のことなのか? 確か、しずかちゃんって呼んでたから、合ってるには合ってるんだが」
なんか、可愛くなりすぎだよな。
白門の知っている『しずかちゃん』と目の前にいる『志津香』はだいぶ違う。もっと……
「ぷっくりしてたような?」
それに比べ、今の彼女のそれは、もはやグラビアアイドルを越すほどの体型だった。出るとこ出てて、女子から羨ましがられる体型。
「そうね。幼稚園の頃はちょっと太ってたかもね?」
九年くらい会ってないと、こんなにも変わる程なのか。
「なんか、すげー可愛くなったよな」
口が滑った。恥ずかしい……。
「か、可愛いなんて、言うんじゃないわよ」
顔をぷいっと背けてしまう。
その仕草がまた可愛い。……だめだ、だめだ。
「そういや、あの頃はずっと砂場で遊んでたな~」
「そうね」
懐かしいな。まさかこんな日が来るとは思わなかった。……あれ?
「お前、あの頃、魔法使ってなかったか?」
俺の記憶だと、砂の城の高さがその当時の志津香の身長の五倍くらいの高さまでなってような。そんなこと、魔法でも使わなきゃ出来んだろ。
「えぇ、使ってたわ」
「そんな事に使っていいんだ……。さっきも、たかが錠剤を飲むためだけに水龍出してたな」
呆れたふうに言う白門をよそに志津香は――
「便利でしょ?」
楽しそうに微笑んだ。
グラウンドに戻ると、一人の少女が目に留まった。
彼女以外で立っているものは、初めの三分の一にも満たない。
「さっきと違って、結構数が減ったな」
「毒でもまいたのでしょ……」
「そんなまさか、毒を出す人なんていないだろ?」
「……」
その沈黙はナンデスカ?
グラウンドに視線を戻す。
ばた……ばたばた…………
一人、また一人と残っていた者たちが倒れていく。
「え? マジですか? コレはなんですか?」
志津香の方を向いたが彼女はいなかった。
「たく、どこ行ったんだよ………あ、いた」
彼女は、少女と対峙していた。
「和花奈! あなた、しっかり戦いなさいよ」
「戦ってるじゃん! 毒だって、立派な戦術だよ!」
「どこがよっ!」
「毒出すのだって、結構魔力使うんだから!」
このままでは、平行線のようだ。
「ちょっと、志津香。どうしたんだ?」
「和花奈がしっかり戦わないから」
この少女は和花奈というらしい。
「ちがうぅ! 志津香が、戦ってないって言うから」
とりあえず、両者譲る気はないと……。
「じゃあ、戦って決めればいいんじゃないの?」
「「……」」
いままで、この結論には至らなかったのか?
「そ、そうね。戦って決めましょうか!」
「そ、そうだね。いい提案だねっ!」
なるほど、両者ともに少しおバカさんのようだ。