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魔法開発。


基礎実習は外で行われた。

やはり実践を想定してやるには外の方が訓練になるとのこと。主に風や足場など。

「それにしても、まだ肌寒いな。四月なのに」

「そうね、でも仕方ないわよ。五月くらいになれば結構あったかくなるからそれまで我慢ね」

俺の言葉に志津香が同調する。

「さて、それじゃあ、みんな集合しろ」

外に出た俺たちは先生の元へ走る。

「じゃあ、集まったところで軽くグラウンドを走ってもらおうかな?」

優樹菜先生はグラウンドを走れと言っているが、ここのグラウンドはとても広い。それはそうだ。戦闘のために使う施設は狭くちゃ大人数での戦闘ができない。

「さぁ、入ってこい!」

先生が指示を出すとみんなは走り出した。それも結構なペースで。

「あいかわらず、ここの生徒はおかしいな。多分、俺もおかしくなっているんだろうが」

「そうね、普通の陸上選手のダッシュより普通に早いと思うわ。そのせいで私たちはオリンピックとか出れないし」

「確かに今の俺たちが出たらオリンピックが混乱の渦に巻き込まれるだろうな」

笑って俺達もみんなのあとに続いて走り出す。結構なペースで。

「こんなに速く走っても全然疲れない。今の俺、普通に一〇〇メートル走ってるより早いと思うんだが」

「今の白門は魔法使いよ。魔法使いの身体能力は限界を勝手に超えるの、あの薬を飲んだ瞬間からね」

「ほんと、あの薬は怖いと思うよ。飲んだ瞬間から妙に体が軽くなって、能力が上がるんだから」

あんなのが一般人に供給されたら……。

そう心の中で思った白門の疑問には志津香が答えてくれた。

「あの薬を一般人に飲ませたら、死ぬ可能性が出てくるわ。だから選抜してここに魔法使いになれる人をこの学校に入れるの」

「……そうなのか……待って。俺は一般人だったんだけど?」

「あなたは、元から、あの薬には耐性があるのよ。家で食べていた料理にはごくごく少量の粉末状の薬が入っていたんだもの」

「それ初耳だわ。なに? 俺はそういう環境で育ったから結局は魔法使いになっていたのね。というか志津香はなんでそんなことを知ってんだ?」

「先生に聞いたから。あれを白門の両親に渡していたのは先生よ?」

「あの先輩!」

なんか腹の下から怒り的なものが湧いてきた。

「でも、あの薬を少量飲んでいただけでは魔法使いになるのはあと三年後くらいかしら? つまり自分で進んでこなかったら、あなたは高校くらいはまともにいけてたの」

俺は志津香の言葉を聞いた瞬間、ハッとした。

先輩は俺を普通の高校に行かせる気だったのかもしれない。

そう考えたら疑問が浮かんできた。

「普通の高校に行かせる気だったら、なんで薬を渡していたんだ?」

「先生は才能ある子を欲しがっていたそうよ。白門の才能を見抜いて欲しくなったんじゃないの?」

ふふ、と志津香は笑い声を出した。

そして、

「才能のある子が欲しいのは多分、勝てるようにね、他国に」

「んん? それどう言う意味だ」

ピピーッ!! 

俺の質問は5周走ったところでなった笛の音によって遮られた。



「それじゃあ、魔法訓練に入る。各自、ペアを組んで実戦形式の訓練を始めろ」

再び集まった俺たちは魔法訓練に入った。ちなみに俺と志津香は先生を相手にやることになった。俺的には非常にありがたい。

「さて、今日からは問題児も一緒にやってもらう。志津香、お前は普通の属性魔法にかけてはピカイチだ。あとは身体能力強化系の魔法をやれ。後輩、お前は光魔法をやれ」

志津香は無言で頷いた。思うところがあったのだろうか?

でも俺の方はさっぱりわからん。光魔法ってなんだ?

「光魔法ですか。私の闇魔法の逆の」

「そうだ。コイツに刀を渡した時、白くなっただろ。あれは光魔法の影響だ。ちなみにいってなかったが闇のお前が作り出した武器が黒くなるのもその影響だ」

「知らなかったわ。これが影響していたなんて」

言いながら、レイピアをだす志津香。

その色はやっぱり黒く、深い。

「白と黒は属性魔法の派生系にあたる。この二つの魔法は対魔法値が高く、同程度魔力を込めた魔法であ


れば確実に勝ち、相手にダメージを与えることができる魔法だ」

あの。

「さらに言えば、この魔法は使えるものがかなり少ない」

あの~。

「私はそんな魔法を使えるのね。これってかなり有利じゃないかしら、ねぇ白門!」

「あの~。さっきから全く会話についていけてないんですけど」

「えっとね。つまりはほかの人よりすごい魔法を使えるということなのよ」

なるほど。俺と志津香は白と黒で、光魔法と闇魔法が使えて、ほかの人よりいいものを持っているというわけか。

なるほどなるほど、と俺は頷いておもむろに右手を前へ翳して後ろを向いた。

なんとなく新しい魔法ができそうな気がした。

「えっと、イメージして……」

手から、ババーッと光の光線が……。

「光魔法『シャイニング・ブレス』」

魔法は……発動した。

手のひら出た光は、まっすぐ下に・・

俺の左手から注がれた光は地面を抉りった。

「…………なんで右手かざしてたのに……」

「白門。すごい才能だわ! 一回目で魔法を成功させるなんて!!」

志津香はそう言ってるが俺としては格好悪すぎて顔を上げられない。

なんで右手から出てこないんだよッッ!! 俺の左手バカヤロー!

「驚いたな。私たちの意表をついて左手から出すとは……ククッ」

笑ってる。先生笑ってますよね。俺の魔法すごかったですよね? 方向は変でしたけど。

「プク…………あはははははははははははははははは!」

先生の笑い声がグラウンドに響いた。



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