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遭遇

一日目の終わりです。

魔力を志津香にあげたあと、疲れを癒そうと自分が泊まる宿について聞こうと思い、白門は志津香と別れ、もう一度、校舎に足を運んだ。

すでにあたりは暗く、時刻は七時三十分。校舎の中は電気もついてなく、外同様に暗い。

「職員室どこだったかな?」

この学校に入って一日目だった白門はまだ、学校の地理について把握できてなかった。

「おかしいな。 てか、この学校広すぎだろ」

廊下に白門の歩く音だけがこだましていたなか、突然もうひとつの歩く音が響いてきた。

「誰かいるのか?」

暗闇から出てきたのは、男子生徒だった。だが、昼間にあった人とは違う人で、妙に威圧的な印象だった。

「誰だ?」

男子生徒から発せられた言葉は、ひどく冷たく、肌寒い夜の温度をさらに下げたように感じた。

「あ、あの、職員室の場所を教えて欲しいんですけど……」

「誰だ?」

男子生徒の質問は変わらない。

「……俺は、一年の、高宮白門です」

「……! お前が、白の……」

暗くて表情は見えないが、驚いているんだと思う。

「…………職員室はまっすぐ行って三本目を左だ」

彼はそれだけ言うと、暗闇の中に消えていった。

ほうけていた白門は只々その姿を見送っていたが、ピクっと体を震わせ、我に返って。

「…………三本目を左ね」

彼の行った方に一礼して、暗い道を駆けていった。



「白門、お前は志津香と相部屋な。場所は……」

「ちょ、ちょっと待ってください!」

おいおい、昼間のあれはマジだったんだ。軽くスルーしてしまったじゃないか。

「待つも何も、これは決定事項なんだ。ただでさえ、転校生なんて異例なのに、部屋まですぐ用意できるか」

「…………はぁ」

困るのは俺じゃなくて志津香の方なんだと思うんだが……。

「不満か? もっと可愛い子がいいのか? 例えば……羅姫とか」

「い、いえっ! 志津香のことは好きなんで、俺的にはいいんですが、志津香が、その、嫌じゃないかと」

「なら、問題なしだな! さっさと行ってこい、志津香が待ってるぞ。それとも何か? エロいことしてしまいそうで不安か?」

おい、教師。ニヤニヤしながら言うな。こっちは必死なんだよ。抑えるのに。

「志津香もキスくらいならいつでも歓迎状態だろ」

「……マジすか?」

努めて、静かに感情を抑え、欲望も抑え、白門は聞いた。

「んなのは、行ってみりゃわかるだろ。さ、私に惚気(のろけ話をするな。場所は、寮の三階で一番右端だ」

いいながら、俺を押していき、職員室の外に出したあと、ピシャッとドアを閉めてしまった。

「……はぁ……行くか」



「おかえりなさい、白門。さっきぶりね」

そこには、パジャマ姿の志津香と、黒服男がいた。なるほど、だから一緒の部屋でいいわけだ。

少しばかり残念な気持ちになったが、これで間違いを犯さずにすんでよかった。

「就寝になりますか? お嬢様」

そういえば、この黒服の人、朝、俺を殴った人に似ている。

そう思うと、腹の下からふつふつと怒りが込みあがってきて……。

「お前! 朝はよくも腹パンくれたな(正確にはみぞおち)! うおぉぉ――」

「白門止まりなさい」

「――!?」

志津香に言われたら止まるしかない白門は、一旦、怒れる気持ちと動きを沈めた。

「なんだよ? 朝のやつ、結構痛かったんだぞ?」

「あなたは殴る対象を間違えてる。そこの人は……あなたを殴った人の弟よ」

「――っ! ……弟?」

あぶねぇ。知らない人殴っちゃうところだった。

「朝は、兄が失礼しました」

ぺこりと腰を折り、白門にお辞儀してきた。

「へ? あ、べ、別にいいよ。過ぎたことだしね。いや~、君みたいな弟さんを持てて、お兄さんは幸せ者だね」

上機嫌になった白門は、すっかり朝のことも水に流してしまった。

「まぁいいわ。 そろそろ寝るから出て行っていいわよ」

「かしこまりました」

え!? えっ!?

「ちょいまち。なんで出て行かせるの?」

黒服さんは志津香の指示通り、部屋を出ていこうとする。

「いたら邪魔でしょ?」

何の邪魔なんだ!? 

白門は慌てて部屋の中を見渡した。そして気づいてしまう……ベットが一つしかないことに。

「志津香、聞いてもいいか?」

「えぇ。なんでも聞いて。ちなみに私は処――」

「だぁぁぁぁあっ! 何も聞いてない聞こえない!!」

「で? 聞きたいことってなぁに?」

「いぃぃぃ! へ? あ、ベットはなんで一つなんだ?」

急に戻られるとこっちが恥ずかしくなるからやめてくれと言いたいところだが、こっちの意見は子供の頃から聞いてくれない節があるので脳内でスルーした。

「ベット? そう言えば一つしかないわね。まぁいいじゃない、一緒に寝れば」

な、なんて大胆な!

とても……とても魅力的な相談だったが、白門にそんな度胸はなく……。

「俺、ドアの近くでねるよ……」

ハハ……と小さく漏らし、その日は玄関で座りながら寝た。



そろそろ夏休みに入りますので、頑張って書いてこうと思います。

皆さん、頑張りましょうb

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