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武装守護霊  作者: 改樹考果
間章その六『逆鬼ごっこ四日目』
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三、『……そろそろ決着を付けさせて貰おうか』

 ……ふむ。どうにも今日は上手く行かないな……主戦場として星波庭園を設定したのは失敗だったかな。

 などと思いながら、俺は両足のローラーフットで星波学園内を爆走していた。

 どうやら、ここ三日の俺の行動を調べられていたらしく、主戦場として定めた場所を昼休みに下調べしているのもばれているためか、俺が星波庭園に近付けないように武霊達が動き、武霊能力を使ってくる。

 降り掛かってくる槍やら矢やらをオートマチック機能が勝手に避けつつ、ため息一つ。

 まあ、下調べの動きがわかるように、わざとなんの小細工もせずに昼休みは動いていたわけだから、この展開は望んだ通りだといえばその通りなのだが……

 後頭部に付いた副眼カメラで、背後から追ってくる武霊達を確認する。

 人以上にデッカイゴールデンレトリバーやら、二つ頭のオルトロスみたいな奴やら、炎やら、氷やら、なんか普通じゃない物質でできた犬達やら、様々な犬型武霊が追ってきていた。

 どうやら追跡力に優れた武霊で班を作り、俺だけを追い回すようにしているようだった。

 そう、今の俺は単独で行動している。

 今回はオウキと一緒に出たのだが、その瞬間を狙われたのか、俺との間に爆発系の攻撃を叩き込まれ、離れ離れに吹き飛ばされてしまった。

 しかも、合流するための動きをするより早く、俺とオウキに別々の武霊達が襲撃して来て、更に引き離されてしまう。

 先行したサーバント達を使おうにも、星波庭園で準備を進めていた個体達は、何者かの武霊能力により光のドームで庭園ごと隔離されてしまい、こっちに呼び込むことができない。

 他のサーバント達も、空を飛ぶ武霊によって邪魔されたり、撃破されてしまったりしているので、思うようにこっちに来させることができなかった。

 うん。ものの見事に相手の作戦にハマってしまっているな~いや~ピンチだ。

 などとのんきに考えつつ、オウキ含め各サーバントに脳内ティスプレイで指示を行う。

 正直、場所以外は予定の範囲内なので、作戦の修正はそれほど必要ないのだが、どうせだったら細かく調整して、より効率よく乗り切ろうと試みているのだ。

 個人的な願望からいえば、これぐらいの窮地は初日に体験したかったものだが……まあ、武霊という特殊能力を持ってしまっているとはいえ、学生という域を出るのはなかなか難しいということなのだろう。今日いる委員会連合だって、こういう連携やら作戦やらを可能にしているのは、必要に迫られているからであり、普通の学生にそういう必要性が生じることなんてまずない。

 能力に目覚めて、いきなり強くなるだなんてのは、漫画やラノベやらアニメの世界だけの話だ。

 勿論、銃や剣のように、道具の性能である程度は補うことができるのが、武力なわけだから、一概に学生だからといって弱いとはいえないだろう。

 実際に、俺だって高性能なオウキのおかげで、いきなり襲い掛かってきた死の運命なんてものを退けることができたわけだからな。

 とはいえ、それだけではどうしたって限度がある。

 なら、今回はそれを突かせてもらおう。



 キーンコーンカーンコーンと逆鬼ごっこの終了のチャイムが鳴る。

 それと共に、学園各所に在るスピーカーから、早見さんの声が聞こえてきた。

 「「逆鬼ごっこしゅうりょ~。意外や意外、今回はあっさり黒樹君が捕まってしまいました」」

 その放送に騒然となる本日参加の子達。

 それはそうだ。なんせ、俺は捕まってもいない(・・・・・・・・)からだ。

 直前まで俺襲い掛かってきた武霊と武霊使い達は、唖然となって目の前にいる俺を見ている。

 オウキを封じ込めていた連中も同様で、その様子を離れた場所から見ていた青いジャージと野球帽を深々と被っている司令官もそうだった。

 今までの俺の行動パターンを考えれば、直ぐにチャイムも放送も偽物だとわかるだろう。

 だが、それで十分。既に準備は終わっているんだからな。

 俺の周りにいる子達が立ち直るより早く、俺は両足のマルチフットをローラーフットに変え、一気にその場から離れる。

 慌てた子達に、司令官から指示が飛び、他の場所で待機している連中と合流しようと追跡をいったん止め、俺が視認できる範囲からいなくなった。

 スカウトサーバントから送られてくる情報を確認しながら、俺は目的の場所へ意図的に寄り道しながら進む。

 今いる場所は、小中高大統合部活同好会棟群の隣にある大学研究所群。

 隣の棟群より統一された白い建物が乱立しているところで、まさに研究所って感じの場所だった。

 まあ、形が三角だったりドーム型だったりと、多少なりともカオスな感じがしなくもない。

 一応、航空写真などで確認済みの場所なのだが、実際に下見を行っていないためか、地理的有利は子側にあり、ものの見事にこっちに誘導されてしまった。

 まあ、過ぎたことは仕方がない。さあ、ここから逆転させて貰おうか!

 俺の指示を受け、サーバント達が動き出す。

 それと共に、子達が大学研究所群の周りに集まり、俺への包囲網が形成され始めた。

 オウキが今いる場所は、大学エリアのグラウンドで、ミサイル乱舞の激闘を繰り広げている。

 勿論、再具現化すれば、俺の下に直ぐに呼び戻すことは可能だが、それでは意志力を無駄に消費してしまう。

 極力、再具現化をしない戦い方を身に付けないと、いざという時にオウキを呼び戻せないなんてことにもなりかねないしな。

 なので、ギリギリまでオウキは呼び戻さない。

 とはいえ、心細さを禁じ得ないんだよな……

 円筒形の白い建物の壁を垂直に一気に駆け上り、その屋上で着地。

 周囲に空を飛ぶ武霊達の包囲網から抜け出したサーバントを配置しながら、ふーっと大きく息を吐く。

 さあ、ここからが本番だ。上手く行くといいんだが……

 目立つ位置に移動した俺に、野球帽の司令官が慎重に包囲するように指示する。

 その際に、より確実に俺を閉じ込めるために、武霊の数を増強させ、武霊使いの警護についている武霊も投入するように命令した。

 子達は、即座に司令官の言う通りに動き、三十近い小集団だったのが、五つにまとまり、警護に当たっていた武霊達が俺の所へと向い出す。

 うん。まあ、予めこうしようって作戦を決めていたんだろうな。なにをするかわからない俺を確実に捕まえるためには、まずは武霊で取り押さえ、無力化し、安全を確認してからの方が確実だし、そのために戦力の増減を考えるのは当然のことだ。

 だから、この動きは予想通りで、実は、うまく誘導できていた。

 そう、これで俺の勝ちは確定した! 機雷地雷(フェアリー)起動!

 俺の命令に、五カ所に集まっていた子達の足下から、白銀の楕円形球体が飛び出す。

 突如として取り囲むように大量に現れた機雷地雷(フェアリー)に、固まる子達。

 彼らを守るように命じられていた武霊が慌てて壁やら、バリアやらを出すが、固まっていた集団の中に五十近く出ているのだ。防げるはずも、止めれるはずもない。

 機雷地雷(フェアリー)が炸裂し、中から白い煙の睡眠ガスやら電撃が放出され、ばったばったと子達が倒れた。

 当然、俺を包囲しつつあった武霊も、オウキと戦っていた武霊も霧散化。

 とりあえず、これで委員会連合は倒すことができた。

 後は……

 「くっくっく。あっはははは、ごほ! ごほ!」

 どっかで高笑いを上げて、咳き込む声が聞こえる。

 咳き込むんだったら、しなきゃいいのに……

 などと思いながら、その声のした方に目を向けると、そこにはやっぱり黒丸君とルシフェルがいた。

 毎度おなじみの組体操ポーズで宙に浮きながら、咳き込んでいる姿は……まあ、カッコいいとは程遠いな……なんであれ、

 「……そろそろ決着を付けさせて貰おうか」

 俺のその言葉に、ぱーっと顔を輝かせる黒丸君。

 「流石は我が宿敵と書いて友! いざ、永久の輪舞曲(ロンド)の決着を」

 いや、そこまで戦ってないだろ? というか、まともに戦ったのは初日以外――

 黒丸君のセリフに呆れてため息を吐こうとした瞬間、唐突に黒丸君の前に大きなリボンでポニーテールを作っている青髪のメイドさんが現れ、

 「へ?」

 黒丸君が間抜けな声を上げた瞬間、ルシフェルが霧散化した。

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