13、『高神麗華のスライム』
下にいる分裂体達が、一斉に俺達に飛び掛かろうと足に力を入れる。
「あははは! さあ! やっておしまい」
高笑いを上げて高神麗華が俺に対してぴっと指差す。
一瞬、その仕草とテンションの変わりように違和感を覚えたが、ってそんな場合じゃないだろうが! 迎え撃つぞオウキ!
そう思うと同時に、オウキが俺に警告してきた。
ただし、警告されたのは下ではなく上!?
慌てて副眼カメラで頭上を確認。
上からランドセルを背負ったフリルスカートを着た女の子が、スカートを抑えながら降って来ていた。
全てが真っ赤なので、分裂体の一体なのは間違いないが、なんで上空に!?
予期せぬ出現だったので、疑問に対する思考より早く、反射的に避けようとしてしまう。
その瞬間、女の子の姿が掻き消える。
テレポーターか!?
女の子の武霊の正体を見破っても、気付くのが一歩遅かった。
俺が対応するより早く、女の子が目の前に現れ、顔面に抱き付かれてしまう。
うお! なんか冷たい! スライムだからか!?
分裂体の体温に驚いた刹那、血の転送と同じふわっとした重力の消失を一瞬だけ感じた。
転送された!? っく! どこにだ!?
大慌てで周囲を副眼カメラで確認すると、飛び立つ前の場所・グラウンド中央に戻されているようだった。
つまり、大量の分裂体達のど真ん中。
くそ! ウィングブースターブーストオフ! PSサーバント最大硬化!
集中砲火を浴びることを覚悟し、ウィングブースターの出力を切って着地すると共に、PSサーバントを硬化させたのだが……何故か攻撃がこない。
それどころか、副眼カメラで確認した周囲の光景には、何故かつんのめっている分裂体が何体かいた。
それ以外の分裂体は、転送されずに上空に残っているオウキに対して飛び掛かったり、攻撃をしている。
だが、つんのめった連中はどういうことなのだろうか?
そんな疑問を抱きつつ、右腰の簡易格納ホルダーに左手を当てる。
「セレクト! 『震騎刀』!」
命令と共にホルダーから柄が飛び出し、一気に引き抜くと、漆黒の刀身が現れる。
震騎刀は、オウキが使う近距離系武器震王シリーズのPSサーバント版。
見た目は鍔のないシンプルな刀でしかなく、震王シリーズも同じ形状をしている。
大きさ以外に震騎は白ベース、震王は黒ベースの配色の違いしかなく、機能的には両シリーズともほぼ同じ。
そして、この刀には、シリーズの基礎機能としてついている高周波振動発生装置が刀身にあるため、鉄すら紙のように切り裂くことができる。
のだが、全身が赤いとはいえ、見た目が小学生ぐらいの女の子に向けるのはちょっと――
俺が取り出した震騎刀をテレポーターの女の子に突き刺すのを躊躇った瞬間、晒される攻撃をシールドリングで防ぎながらオウキが急降下してきた。
着地と同時にシールドを解除したオウキは、右手に既に出していた白銀の刀『震王刀』を、俺が制止の言葉を発するより早く振るってしまう。
震王刀に切り裂かれたテレポーターの分裂体は、俺の目の前で散って消えてしまった。
これ以上俺ごとテレポートさせないためには仕方ないことだが、お前な……
オウキは俺と背中合わせで震王刀を構えつつ、謝罪の感情を送ってきた。
が、本気で思っている感じではないのはありありとわかる。
魂が繋がっているのだからしかないが……まあ、いい、オウキがやらなきゃ俺がやっていたことだし、どっちがやろうと気分がいいものじゃない。
なんともいいようがない気分のまま、俺はクイックアップ機能を起動!
テレポーターの分裂体を倒したとはいえ、本体を含めて残り二十体。
その上、空中戦ならなんとか逃げ続けることも可能だっただろうが、地上戦に移行してしまった以上、戦闘は避けられない。
かといって、今飛び上がると下からの攻撃も警戒しないといけなくなる。
下手に攻撃される方向を増やすのは得策じゃない。
考えろ俺、一対二十であるのなら、ちゃんと対策を立てないと、瞬く間に殺されてしまう。
クイックアップ中じゃなかったら、心臓がバクバクと痛いぐらい波打ちかねない状況だ。
とはいえ、昨日ほど最悪な状況でもなさそうだった。
何故なら、短い戦闘の中で分裂体の欠点を確認することができたからだ。
テレポートされた時、他の分裂体達がそれに対応できていなかった。
俺とオウキのように魂で繋がっているのなら、連携され、集中砲火を受けて終わっていたはずだ。
なのに無事だった。
それはつまり、分裂体達は各個の繋がりはなく、勝手に動いているということになる。
彼らが武霊使いから殺して奪われた武霊ということは、つまり、武霊の本体を奪っているということなんじゃないだろうか?
そう仮定するのなら、武霊ごとの意思で動かすことも可能だろうし、一辺に何体もの武霊に対して指示をし続けるというのは、俺が今しているようにクイックアップ機能みたいな系統の能力がないとまず無理だろう。
だとすると、分裂体は半はぐれ状態といえるのではないだろうか?
なら、高神麗華ができることは、狙う対象を限定することぐらいなのかもしれない。
もしかしたら、本体スライムから追加命令ができる可能性はある。
だが、仮にそれができたとしても、それには一つ間を挟んでいる分、どうしたって遅延が起きる。
だからこそ、瞬間移動に対応することができなかった。
通じ合っていない、間接的に通じ合っている、どちらであろうと、それは二対多数戦ではこっちの有利に働くはずだ。
副眼カメラで俺とオウキに迫る分裂体達を一体ずつ慎重に見た。
俺はそれなりに漫画やアニメ・ゲームに対する知識を持っている。
リアルタイムに見てなくても、興味を持ったらネットとかで調べたりもしているので、少なくとも同年代の子供達よりは知っているつもりだ。
そんな俺でも、七体以外の分裂体の姿には、何度見ても見覚えがない。
だとすれば、彼らはオリジナルタイプの武霊ということになる。
そうであるならば、武霊能力の完全な見極めは難しい。
見た目から安易に想像できなくもないだろうが、そう決め付け、それを基に動いてしまえば、予想外な能力を振るわれた時に咄嗟の対応ができなくなってしまう。
なら、下手な先入観を持たずに、クイックアップを連続使用して乗り切るだけだ!
行くぞオウキ!
オウキに気合の呼び掛けをするとともに、俺はクイックアップ機能を切った。
それまでゆっくりこっちに殺到していた分裂体達の速度が速まる。
多くはただ突撃してくるだけで、トラハラ波などの射撃系攻撃がされる気配はない。
俺が近くにいることで、オウキに対して強烈な攻撃ができなくなっているのだろう。
分裂体の目的は、あくまで俺を捕まえることなのだと、この行動で確信できた。
なら、それも利用させて貰う!
「セレクト! 『メデューサ』! ブリッドオーダー! 『通常弾』!」
クイックアップ中に次の行動に移る動作を確認していた俺は、オウキの右腕簡易格納庫から白銀の散弾銃を出させた。
同時にクイックアップ機能起動!
ただし、今度の加速は通常の思考加速の半分以下に抑え、周囲の動きがスローになる程度の低減モード。
注意しないとほとんど止まっているように見えた通常モードと違い、はっきりと緩慢な動きで周囲が動居るのが見える。
そんな光景になると共に、俺は思わずぎょっとしてしまった。
何故なら、オウキの前にはゆっくり流れる光景の中で、普通に走っているような速度で迫る志村剣人がいたからだ。
これって、とんでもない速さで接近中ってことだよな? ま、まあ、俺が注視すべきは彼ではない。
自分の目と副眼カメラらを駆使して、突撃してくる分裂体の中から、オウキを狙って遠距離系攻撃をしようとしている分裂体達を探す。
いた!
志村剣人の後ろに、西部劇に出てくるようなテンガロンハットをかぶったガンマンが、持っている十丁の回転式拳銃をお手玉のように回しながらオウキを狙っている。
その更に隣には、迷彩服の兵士ぽい男が、アサルトライフルをオウキに向けて構えていた。
ゆっくり流れる光景の中、二体の分裂体が銃のトリガーを引こうと――。
させるか! 今だオウキ!
オウキに合図を送ると共に、
セレクト! 『パイソン』! バレッドオーダー! 『爆裂弾 』! オートマチック機能起動!
命令を思考制御で行ってから、クイックアップ機能を切る。
オートマチック機能により勝手に動く俺の身体が、PSサーバントの簡易格納ホルダーから、漆黒の口径の大きい榴弾銃を取り出すと共に、間髪入れずに上空に向かって、全て射線を変えて乱射。
俺の行動に合わせて、オウキも志村剣人に対して散弾銃を撃つ。
だが、志村剣人はあっさりと横に飛んで避けてしまう。
志村剣人は、超人的な早さから繰り出される剣技の使い手。
ガトリングガンとか作中で避けていたので、そんな設定があるのなら散弾を避けるのなんてわけないだろう。
つまり、回避も織り込み済みということ。
志村剣人が避けた瞬間、その方向に俺とオウキは合わせて飛んだ。
当然、オウキに狙いを付け、今まさに撃とうとしていた銃を持つ二体の分裂体達は、慌ててオウキに照準を合わせ、トリガーを引いてしまう。
撃ち出された弾丸は、オウキの前にいた志村剣人に撃ち込まれ、霧散化させた。
同時に、俺が撃った爆裂弾が空から放射線状に降り注ぎ、同士討ちで固まっている二体の分裂体に直撃。
弾頭に込められている爆薬が、二体の分裂体を包み込むほどの爆発を生じさせる。
遅れて周囲にも爆裂弾が降り注ぎ、俺とオウキの周囲に爆発の壁を作り出す。
剣人ほど早くない他の分裂体達は、その爆発の壁に遮られ、飛び退きあるいは吹き飛ばされて近付くことができない。
この隙に飛ぶぞオウキ!
爆発によって生じた煙に紛れ、俺とオウキはウィングブースターで一気に上空へと上がる。
煙の中から抜けると同時に、間近から巨大な剣を握ったセーラー服の上にファンタジー風の肩当と胸当てを付けた少女が現れた。
咄嗟にクイックアップ機能低減モード再起動
巨大な剣の刀身には、ジェット機についているような推進力機関が付いており、それを使って剣に引っ張られる形で飛び、爆煙の中から出てきたようだった。
しかも、どういう原理か、飛んできた少女剣士は空中で止まり、巨剣を爆発的に噴射させながら振るってきた。
モードチェンジ!
狙われたオウキは、迎え撃つように震王刀を振るう。
風王!
俺の思考命令と共に、震王刀の刀身が刃の先端から縦に真っ二つに割れる。
僅かに空いた隙間により震王刀は二本の刀身になると同時に、柄の内部に組み込まれているシールド発生装置が起動。
二本の刀身の間に不可視力場の刃を形成された。
震王刀並びにその劣化版である震騎刀には、こうして刀身を開くことによりシールドの刃を形成することができる。
このまま使うのは『空王モード』だが、今回使うのは『風王モード』。
形成されたシールドの刃に、柄に内蔵されたもう一つの装置・現象発生装置から圧縮空気が込められる。
変形から形成と供給をスローモーションの世界でも辛うじて見える速度で終えた震王刀改め風王刀。
だが、振るわれる速度は、推進力機関が付いているためか、少女剣士の方が早い。
しかし、推進力機関が付いているのがそっちだけだと思うなよ!
風王刀、ブースト!
思考命令と共に、空王刀の峰からシールドの刃に溜められた圧縮空気が一気に解放される。
爆発的に加速した空王刀の斬撃が、少女剣士の巨剣とぶつかり合う。
二振りの激突は、一瞬の拮抗すら見せず、一方的に片方を切り裂いた。
勿論、切り裂いたのはオウキの空王刀。
スライムの武霊を高神麗華が出した時、俺にばれないようにか無言で具現化していた。
対する俺は具現化トリガーを使ってオウキを具現化している。
この差が、具現化率に影響を及ぼしているんじゃないかと予想していたが、どうやらその考えは見事に的中していたようだった。
巨剣を切り裂いた空王刀は、そのまま少女剣士を切り裂き、真っ二つにする。
ぞっとしてしまう光景だが、直ぐに形が崩れ、霧のように消えたため、それ以上ショックを受けることはなかった。
向こうが武霊だとわかってはいても、人間タイプと直接戦うのは精神的にダメージがデカいな……
そんなことを思いながら、クイックアップ機能を切る。
「セレクト! スナイパーサーバント八機!」
オウキの両肩簡易格納庫から巨大なスコープと耳のように付いた尖った突起アンテナを持った小型円盤・スナイパーサーバントを八機出させ、周囲を囲むように展開させる。
「ブリッドオーダー! 『光線弾』」
弾丸選択と共に、スナイパーサーバント達は円盤の下に長大な銃身を生成。
ほぼ同時に、下の方で再び光る魔法陣が発生する。
二度も同じ手が通用すると思っているのか?
俺はそう思いながら、手に持っている榴弾銃を魔法陣の中心に向け、連射。
連続した爆発音と共に、魔法陣も消える。
これで、爆煙が晴れることはしばらくない。
「セレクト! サーバント三機!」
俺はオウキから、拳大の小さな小型円盤を三機出させた。
このサーバントは、全てのサーバントシリーズの設計基礎となっている機体で、サイドから出すことができるアームや飛行機能以外はなんの機能もない。
だが、その分、サーバントの中で最も製造消費が少なく、早く作れる。
その三機に俺とオウキは震騎刀・風王刀・散弾銃を投げ渡す。
「セレクト! 『ミノタウロス』二丁! パイソン! ブリッドオーダー! 爆裂弾!」」
空手になった手に、俺は榴弾銃を一丁、オウキは榴弾銃を二丁追加。
計四丁となった榴弾銃を下へと向ける。
オウキとPSサーバントの探知機能は、熱源・音波などのあらゆるセンサーを搭載しているという設定なので、例え視界が煙で塞がれていようと、どこになにがいるかぐらい簡単に見分けることができる。
「一掃するぞオウキ!」
オウキの応えを感じると共に、四丁の榴弾銃を乱射。
次々と地上で爆発が起き、脳内ディスプレイに表示されている分裂体反応が次々と消える。
オウキの感覚からすると、分裂体は生身の人間である高神麗華とは全く違うように見えるらしく、その証拠に分裂体を赤い光点で、高神麗華を黄色い光点で表されていた。
ちゃんと区別していることに、俺はちょっとだけ安心する。
最初のテレポーターの分裂体のように、オウキは遠慮なしに攻撃するんじゃないか? と疑っていたからだ。
どうにもオウキは、俺を守ることを第一としているようだった。
武装が付いているとはいえ、守護霊と呼ばれているということは、つまりそういう行動原理で動いているということなんだろうが……
などと思っていると、立ち込め続ける爆煙の中から、ビャッコボールの孫悟地や鉄脚アドムのアドムなどの飛行能力を持った分裂体が飛び出す。
はい、待ってました。
どこから出てきてもいいように四方に銃口を向けさせていたスナイパーサーバントが、即座に照準を分裂体達に合わせる。
「撃て」
俺の命令に応え、スナイパーサーバント達が発砲。
込められているのは、光線弾。
弾丸の代わりに光線を発生させる特殊弾だ。
撃ち出された光線は一瞬で対象に到達し、爆煙から現れた孫悟地やアドム・鳥の人形に跨った爺・絵のような龍に乗った画家みたいな髭のおっさん・タヌえもんを次々と撃ち抜き、霧散化させた。
地上も地上で次々と爆発に巻き込まれ、分裂体の反応が消えている。
ツーピースのウキー・B・ルヴィ・鉄の錬金術師のイドワード・ブルリック・全身甲冑を着た男・宝石を全身に身に纏った少年・全身に穴が空いた鬼・刺繍がしてある白衣を着た医者? ・ねじり鉢巻をした道着姿の男。
地上に残っていたであろう分裂体の姿と数を思い出し、同じ数だけ反応が消えたのを確認すると共に、俺とオウキは銃撃を止めた。
オウキにイメージで指示し、サーバントから榴弾銃と風王刀を交換させる。
「風王刀、ブラストブースト!」
俺の指示と共にオウキが風王刀を振るう。
同時に圧縮空気が刀身全てから解放され、強烈な突風を眼下のグラウンドに叩き付けた。
風王刀の一撃により、視界を塞いでいた爆煙が一気に吹き飛ばされる。
露わになったグラウンドには、赤いスライムに包まれた高神麗華がおり、一瞬、美羽さんから聞いた話と重なり、どきっとなった。
ただ爆風から主を守っただけなんだろうが……
そんなことを思いながら、俺は彼女を観測。
武霊の本体が健在であるのなら、彼女がまだやる気であれば分裂体達を再具現化、というより再分裂か? をすることも可能だろう。
だが、赤いゼリーに包まれた彼女の様子は、酷く辛そうだった。
意志力不足か? まあ、あれだけ多種多様な武霊を、能力だとはいえ大量に出したんだ。当然といえば当然の状態だよな。
なんせオウキ一体でも結構な意志力消費を俺は感じているんだ。
とはいえ、個体個体個人個人によって、そこら辺にも差があるだろうが、それを差し引いても彼女の意志力は膨大だといえる。
奪った武霊を具現化しているのだから、通常より意志力消費が少なかったとしても、消費量は多くないと不自然だ。
なら、今の状態から新たな分裂体を作り出すのは難しいように見える。
例え作り出せても、この位置と状況なら、上空から分裂した直後に霧散化させることは簡単だろう。
簡単だろうが……だとすると、なんで自警団は彼女を捕まえられなかったんだろうか?
俺ごときに撃退できるほどの武霊なのにだ。
それともまだなにかがある?
その警戒心から、俺は直ぐに彼女に対してなにかをすることができなかった。
というより、下手な攻撃で赤いスライムを攻撃した場合、彼女にまで攻撃が及んでしまう可能性がある。
例え相手が殺人犯であろうと、同じ場所に立たなくちゃいけないなんてことはない。
こちらが有利な状況になっているならなおさらだ。
どうにかして赤いスライムのみを消滅させる方法は……
そう考え始めた時、不意に赤いスライムが動き出した。
足とかがないのに、その動きはとんでもなく早い。
「御機嫌よう、お馬鹿さん」
そんな言葉を残して、瞬く間に彼女は廃校舎の裏側へと行ってしまった。
あまりの素早さにあっけに取れてしまったというか……ん? なんだ? 今のにもなんか……って、逃げた!?
しまった! せめてシールドサーバントで捕まえておくんだった。
今から彼女を追っても武霊活動限界領域外へ出る方が早いだろうな……どうにも今日は失態を重ね過ぎている。
彼女のあのコロコロ変わる雰囲気にやられてしまったんだろうが、しっかりしろよ俺。
思わず深いため息を吐いてしまう俺に、隣のオウキが心配する感情を送ってきた。
大丈夫だ。とりあえず、美羽さんの所に戻ろう。きっと心配しているだろうしな。
そう思って、ウィングブースターの操作しようとした。
その時、俺とオウキの前に、不意に全身甲冑を着た男と全身に穴が空いた鬼の分裂体が現れた!?