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サナギ

作者: 馬場数馬

おはよう、下品ですみません。

 未成年はお酒を飲んではいけないことを知っていたが、知らなかったことにした。なぜなら、大学生といえば飲酒すなわち飲み会である。そこで酒の味を知り、また教え込まれ、いずれは指導者の立場になる。こんなことは常識であり、かなりのお堅いクソ真面目な人か、友達ができずに孤独なキャンパスライフを送った人でなければ、誰もが経験したことである。父さんや母さんもそうだったに違いない。私は、なんとなくで入ったサークルで初の飲酒を経験した。面白くもなんともない登山なんかに行くと、意外と紅葉が綺麗でちょっと心が清らかになったり、すっかり高くなってしまった秋刀魚を意地でも食べたくてたまらない季節、一年生の秋だった。「とりあえず生」って言ってみたくて、生ビールを飲んでみた。ゆっくりゆっくり飲んでみた。全然、美味しいとは思えなかった。こんなものを焼き鳥やらなんやらでグビッといくと、疲れた顔のサラリーマンも「くわぁぁぁぁ。」とたちまち笑顔になる。そんなシーンを映画やドラマなどでよく観ていたもんだから、拍子抜けした。所詮、フィクションかと。しかし、その後に飲んだハイボールは違った。レモンサワーみたいに甘いわけでもなくて、ビールみたいに苦いわけでもない。この独特な味の虜になり、ぐびぐび飲んじゃった。

その後もやっぱりビールは苦手で、ハイボールが大好きな18歳のままだった。こんな男でも、急性アルコール中毒にならないように細心の注意は払っていたし、飲み過ぎた時は「肝臓を水で洗いなさい。」という神のお告げをしっかり守っていた。しかし、私は体に潜んでいた怪物を呼び覚ましてしまった。


 飲んで帰ってうんこしたら血が出た。まず浮かんだのは母の顔。一人暮らしのアパートで助けを呼んでも返事はない。むしろ返事があったら怖いが。少しだけ股から肛門付近を確認すると、何かが腫れているようにも見える。うっすらとした記憶の中で小学生の時、同じように血が出て肛門科に連れて行かれたことを思い出した。ああ、まずいなこれ。トイレに座ったまま、あれこれ思考を巡らしても仕方ないので、翌朝近所の肛門科に行ってみることにした。


 「じゃあ、あのベッドに横になってください。」

言われた通りにすると、鼻が高くて目がぱっちりした綺麗な顔立ちの看護師さんが私のズボンを下ろし、ロイドメガネをクイクイさせる先生の方へ尻を向ける。まだろくな女性経験もないウブな18歳とはいえ、この奇妙なシチュエーションでは流石に興奮しなかった。そして先生は私の肛門に人差し指を突っ込み、第一関節のみを曲げるというブラックジャック並みの技術を駆使しながら「何時方向?何時方向?こっち?」と尋ねる。

どうやら腫れ物の確認しているようだが、そんなこと言われても分かるわけがない。呼吸が乱れて、だんだん息が苦しくなってきた。おかしいな。もともと私は肛門呼吸する生物だったのだろうか。


 そんなことを考えていたら、いつの間にか診察が終わった。この腫れ物は血栓性内痔核というらしい。まあいわゆる痔だ。肛門付近に血が集まった豆のようなものができて、それが傷つくと血が出るとのこと。先生は「あなたのやつは豆というより、サナギですけどね。アッハッハ!」と言っていたが、全く笑えなかった。そして先生は急に真顔になり「痔にはお酒が一番ダメだから。お酒は控えなさい。」と私の目を見て言った。先生は何も知らないけど、なんでもお見通しなのだろう。軟膏をもらって帰った。


 さて、この後帰り道で肛門から膿が滲み出るハプニングが起こるのだが、それを書くことはあまりにも残酷でこのバカ大学生に悪いので、これをもって作者はひとまずペンを置く。まだまだ書きたい事があったが、このテーマではこれ以上ないほど語り尽したようにも思われる。私は脚色を行わなかった。読者を騙していない。さらば通りすがりの読者よ。飲みすぎるな! 適度な量で元気にやろうぜ。では失敬。さよなら。

 

下品な駄文で申し訳ない。

皆さんも気をつけてください。

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