大型トラックドライバーから乗用車さんへ、『こんな運転はやめて』
大型トラックドライバーをやっております。
今日もお仕事です。
世間はもうお盆休みに入ってらっしゃったのですね。
すっかり忘れておりました……。
大型トラックドライバーはお盆休みなどにどこかへ遊びに行かれる乗用車さんのことを『レジャーども』と呼び、「仕事の邪魔だ!」とネットによく書き込みしたりしています。
「こっちは仕事で運転してんのに、遊びに行くやつらが邪魔して到着が遅くなる!」だの「トラック専用道路を作るべきだ!」だの言う同業者さんを、ネットでよく見かけます。
これに関して私は同意しません。
連休があったら遊びに行きたいのは当たり前ですし、車があればそれを使って行きたいのも当然でしょう。
日頃運転をされない方なども繰り出して来られますし、乗用車ドライバーの8割ぐらいは車の運転に興味のない方だと少なくとも私は認識しておりますので、そういう方々で道路が溢れたら、そりゃあっちこっちで渋滞したり事故したりするのも当然……なんですよね、これが。残念ながら。
道路はみんなで使うもの。
トラックドライバーだけのものではないからには、「こっちは仕事なんだぞ」と腹を立てたって仕方がありません。
むしろプロとしての自覚があるなら、素人さんに腹を立てるのではなく、素人さんを助け、導いてあげるぐらいであるべきだと思います。
はい。
ですが……
今日、いつもなら4時間ほどで着く道のりに、8時間近くかかりました。
早めに動いたので、なんとか延着は免れましたが……
ヘトヘトになりました。
そこで、これだけ言わせてもらってもよろしいですか?
『こんな運転はしないで』
『こんな運転をして』
みたいなことを──
難しいことは言いません。
これなら簡単だろうから、誰でもできるだろうみたいなことのみ、書かせていただきます。
すべては『渋滞をなるべく起こさないため』そして『事故を起こさないため』というテーマです。ではゴー!
1、右側車線やど真ん中に長蛇の列を作らないで
周囲を見て『自分より遅い車は比較的少ないな』と思ったら左車線を走ってください。
私は基本的に左車線しか走らないのですが、スイスイ走れすぎてかえって困りました。右側の行列を左から追い抜いてしまうので、下手すると「あのトラック、左からゴボウ抜きしてやがる!」とか通報されてしまうのです。
また、前方に障害物を発見して車線変更しようにも、右側に壁ができていたらできません。
日本では車は『キープレフト』です。守ってください。
平常時は大型トラックやトレーラーがキープセンターやキープライトをして渋滞の元凶になっていますが、お盆休みにはそんなバカトラックの真似をする乗用車さんが多すぎて、そりゃ渋滞するのが当たり前だみたいなことになっております。
2、『自分のペースより少しゆっくり』を守って
これに関しては少し難しい話になりそうなので、要点だけ──
左車線を走らない理由を『だって左車線は合流してくる車とか障害物とかあるから』と仰る方がいらっしゃいます。確かに合流車が多かったり、路駐車がバンバンあったりする場合はそうだと思います。
ですが、そんなところでなくても、『基本的に』キープライトされる方が多いのが実情です。
合流車に合わせてゆっくり走ればいいだけのことです。
もちろんそれだけではいけないのでこれが難しいんですが……次!(←投げ出した)
3、トンネルではライトを点けて
昨夜、無灯火の乗用車さんが右後ろからビュンビュン追い越していかれるので恐怖でした。
ドアミラーにあなた映ってませんよ?
また、前のほうで左車線の車が急に車線変更して事故をされたらと気が気ではありませんでした。
ちなみに無灯火の大型トラックやトレーラーもとても多いです。
4、トンネル内は追い越し禁止ではありません
これを勘違いされてる方がとても多いように思います。
教習所では確かにそう習いましたよね? ですが、それは通行帯もセンターラインもないトンネルの話です。
特に高速道路にはそんなトンネルはありません。
通行帯の種類に従えばいいだけです。ちなみに通行帯とは車線を区切る線のことです。これを『センターライン』と間違えてらっしゃる方がいらっしゃいますが、センターラインは『進行方向を区切る線』のことですから、見た目は同じでも意味が違います。
通行帯が黄色の実線なら『はみ出し禁止』、
白の実線なら『追い越しのための車線変更禁止』、
白の破線ならトンネル内であっても『追い越し可』です。
ちなみに大型トラック乗りでもこれを知らないひとが多いです。
5、隣の車と並んで走らないで
これについては『並走にはデメリットしかない』とかいうタイトルで過去にエッセイを書きました。よろしければご覧ください。
ちなみに大型トラック同士で並走していることもよくあります。
6、合流等の時、先行車より先に車線変更しないで
これもどこかで書いた記憶があります。基本的には必ず前の車が車線変更するのを待ってください。
ちなみにこれをする大型トラックはとても多いですが、真似をしないでください。
7、前に詰めないで!
これも実際には複雑ですので書き方が難しいのですが……
『渋滞時にはゆっくり走ったほうが速く走れる』とよく言われてるのをご存知でしょうか?
たとえば100メートルぐらい前で信号が赤になっているとします。
そこまで80km/hで飛ばして行っても、停止したらスピードは0km/hになります。
ですが、40km/hぐらいで走行して、信号に辿り着くまでに青になれば、停止することなくそのまま加速して行けます。
渋滞時も、前につっかえていちいち停まるよりも、ゆっくり走ったほうが速く走れるのです。
そしてみんながそんなふうにゆっくり走って、結果速く走れるなら、渋滞の緩和に非常に役立つのです。
速く走ろうとして前につっかえて停まってしまう車がなんといっても渋滞の一番の元凶なのです。とはいえ──
8、ゆっくり走りすぎないで!
『渋滞時にはゆっくり走ったほうが速く走れる』というのは、厳密にいうと『先頭の車と同じ程度のゆっくりペース』という意味だったりします。
前の車列よりも極端に遅く走ると、これはまたとんでもない渋滞の元凶となります。
1台だけ特別に遅いその車は、多くの車に追い越しをかけられます。いわば障害物のようなものです。
その車の後ろに行列ができたりすると、これがまた最悪な渋滞の元凶になってしまいます。
適度に車間距離をとって、少なくとも200メートルは遠くの前を見て、なるべく前の車と同じペースを後ろにも伝えてあげてください。
9、速度変化は緩やかに
渋滞を引き起こす原因となるものの一番は『速度変化』です。
車間距離をとって、それをクッションとして使って、速度変化を緩やかにしてください。
速度変化をグラフにした時、良い運転は曲線がなだらかになります。
ノコギリみたいに尖った曲線になるような運転は渋滞や事故を引き起こします。
前の前の前の前の前まで見て運転すれば、ブレーキなんか一度も使わずに走れるはずです。
他にも色々ありますが、このへんで──
朝方3時からさっきまで走って、事故を3件見ました。
ひとつは大型トレーラーが大型トレーラーに突っ込んでる事故──これで1時間ちょっとロスしました。
ふたつめは大型トラックが乗用車に追突してグチャグチャにしてる事故──これで1時間半ぐらいロスしました。
みっつめは乗用車が単独で側壁に突っ込んで大破してる事故──これで1時間ぐらいロスしました。
はい。
日頃、事故を起こしてる車の大半は大型トラックやトレーラー、渋滞の元凶となってる車の大半はそれらに加えて観光バスだったりします。
すみませんm(_ _)m
ああいうのの真似をお盆休みみたいな車の多い時にみんなでやると、当然事故や渋滞があっちこっちで起きることになります。
真似しないでください。