表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/20

最終話「永遠に、あなたの傍に」



――視点:リゼリア・ローゼンブルク



 朝日が昇りきった今も、私の身体には彼の熱が残っていた。


 シーツの中、ぬくもりに包まれたその腕に抱かれながら、私は彼の鼓動を聞いていた。

 ――昨夜、何度も、何度も、私を呼び、私に堕ちた男の心音を。


 


 「リゼリア様……まだ、眠くない?」


 「あなた、もう何度目かわかってるの?」


 「うん。でも……まだ、欲しいんだ。リゼリア様の全部が、もっと」


 


 淫らな願いを、何の躊躇もなく口にするようになった彼は、もう“ただの従者”ではない。

 私の身体を知り、魔力を呑み込み、心も支配してくる――まるで、魔に魅入られた精霊のよう。


 


 「……じゃあ、もう一度、誓いなさい」



 私は彼の頬に手を添え、艶のある声で囁く。



 「あなたのすべては、わたくしのもの。わたくしの呪いと、悦びの檻に囚われて生きると」


 


 彼の瞳が、獣のように潤んで光った。



 「僕の命も心も、躯も、欲も、快楽も……全部、リゼリア様に捧げる。永遠に。絶対に」


 


 その言葉に、私はたまらなくなった。


 唇を塞ぎ、舌を絡め、指で彼の肌をなぞる。

 シーツの奥で交わる熱は、魔術のそれよりも淫靡で、現実よりも甘やかだった。


 


 「ほら……また、熱くなってる」


 「リゼリア様が……そんな声で触れるから……」


 「ふふ、かわいい。じゃあ、その熱――わたくしの魔力で、また溶かしてあげる」


 


 唇を胸元に落とし、舌で円を描く。

 彼の震える声が、甘くベッドの中で響いた。


 まるで、呪文のよう。愛撫のたびに身体が跳ね、魔力が熱と快楽に溶ける音が、耳をくすぐる。


 


 快楽に飲まれる彼の姿を見るたび、私の中の支配欲と愛情が共鳴する。


 もっと与えたい。もっと堕として、悦びに泣かせたい。


 ――それこそが、魔女としての“愛”。


 


 「リゼリア様、また、僕……でちゃっ...っ」


 「ええ、いいわ。何度だって、何度でも――私の中に堕ちてきなさい」


 


 最後の吐息が交わり、身体と心がとけ合ってゆく。


 契約でも、呪術でもない、ただ淫らで、愛おしく、永遠を誓うような交わり。


 私はこの男を選んだ。


 従者であり、愛人であり、私の“悦びの器”となる唯一の存在――ルカを。


 


 「……あなたは、永遠に、私の傍にいなさい」


 「はい……リゼリア様。僕は、もうどこにも行けません」


 


 夜も昼も、夢も現も、すべてこの魔女の腕の中。

 淫靡に、甘やかに、永遠に――


 彼は、わたくしのものとなった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ