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⸻ 成人式の日 〜高校編特別篇〜
冬の冷たい空気の中、結衣は振袖に身を包み、鏡の前で自分の姿をじっと見つめていた。華やかな着物の色は彼女の明るさを引き立てるけれど、心の奥には、あの日々の苦労と戦いが今も深く刻まれていた。
「結衣、準備できた?みんな待ってるよ」美咲の声が優しく響く。
「うん、ありがとう。行こう。」
成人式の会場は、久しぶりに集まった高校の友人たちで賑わっていた。誰もが新しい門出を祝福し、未来への希望を胸に輝いていた。
結衣は人混みの中で、幼馴染の緋人を見つけた。彼もスーツ姿で凛々しく、彼女の元へ駆け寄った。
「結衣、成人おめでとう。これからも一緒に歩んでいこう」
その言葉に結衣は涙をこらえきれず、笑顔で答えた。
「ありがとう、緋人。私、これからもずっと強く生きていくよ。」
アレルギーと共にあった高校生活は決して楽なものではなかったが、仲間たちと緋人の支えがあったからこそ、今日の輝きがあった。
成人式は、彼女にとって新たなスタートを意味していた。
そして、未来へ続く道を、希望に満ちた瞳で見つめる結衣の姿がそこにあった。




