⸻ 第5話 アレルギーショックの危機と救出劇
大学の春も深まり、キャンパスは新緑と笑い声に包まれていた。そんなある日、結衣はサークルの遠足に誘われた。緊張しながらも、友人たちとの交流を楽しみたいという気持ちが勝り、参加を決めた。
しかし、結衣の体は予期せぬ反応を起こし始める。遠足の昼食に出された料理に、微量のアレルゲンが混入していたのだ。最初は軽いかゆみと咳だけだったが、次第に呼吸が苦しくなり、目の前がかすみ始めた。
「結衣!大丈夫か?」声の主は藍坂緋人だった。緊急連絡を受けて駆けつけた彼は、すぐに彼女の側に寄り添い、冷静に対処した。
周囲の学生も慌てて救急車を呼び、緋人はアドレナリン注射器を取り出して結衣に注射を打った。徐々に呼吸は落ち着き、顔色も戻ってきたが、その時の緊迫感は二人の心に深い影を落とした。
病院のベッドで、結衣は涙ながらに言った。
「もう、こんな思いはしたくない……。でも、緋人がいてくれてよかった。」
緋人はしっかりと彼女の手を握り、決意を新たにした。
「これからはもっと君を守る。どんな時も、絶対に離れない。」
この出来事は結衣にとって大きな試練だったが、それはまた二人の絆を強く結びつける契機となった。




