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100ものアレルギーを持つ女   作者: AQUARIUM【RIKUYA】
第1章:大学編
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⸻ 第1話 大学入学と秘密の決意


春の柔らかな陽光が桜並木を照らし、大学のキャンパスは新入生たちの期待に満ち溢れていた。真白結衣もその一人だった。合格通知を手に、胸の高鳴りと同時に、不安が押し寄せる。100以上ものアレルギーを持つ自分が、この自由で活気ある環境に馴染めるのだろうか──。


結衣の隣には、藍坂緋人がいた。幼い頃から彼女を見守り続けた緋人は、結衣の体調や不安を誰より理解している。二人は秘密の約束を交わしていた。大学生活が始まる前に密かに結婚し、誰にも言わず支え合いながら歩んでいくという決意だ。


「結衣、怖がらなくていい。俺が必ず君を守る」


緋人の言葉に、結衣は初めて心から安心できた。入学式の壇上から降りる校長の言葉も耳に入らず、彼女の視線は緋人だけを追っていた。


キャンパスに初めて足を踏み入れた結衣は、緋人と共に過ごす日々を胸に誓った。アレルギーに翻弄される日々は続くかもしれないが、彼とならば、どんな困難も乗り越えられる──。


しかし、大学の生活はそんなに甘くはなかった。緋人が注意深く用意した食事の中に、思いがけずアレルギー反応を引き起こすものが混ざっていたことに気づいたのは、その日の夕方だった。


「結衣、大丈夫?」


緋人の声が焦りに満ちている。結衣の顔はみるみるうちに赤く腫れ、呼吸が苦しそうだ。パニックになる間もなく、緋人は持ち歩いていた救急用アドレナリン注射器を取り出し、慎重に彼女の太ももに注射を打った。


その後の病院のベッドで、結衣は涙ながらに緋人の手を握り締めた。


「ありがとう……。あなたがいなかったら、私はここにいなかった」


緋人はそっと結衣の髪を撫でながら、優しく微笑んだ。


「これからもずっと、一緒だよ。どんなことがあっても」


大学生活は始まったばかり。だが、二人の秘密の結婚生活は、想像を超える試練の連続となる――。


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