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100ものアレルギーを持つ女   作者: AQUARIUM【RIKUYA】
第1章:番外編⑴
16/33

番外編③「放課後の雨宿りと告白ごっこ」



梅雨の終わり。

放課後、突然のゲリラ豪雨に見舞われた二人は、校舎裏の小さな屋根の下で雨宿りしていた。


「雨……すごいね」


「今日は、折り畳み傘、忘れたんだよな」


制服の裾が濡れ、結衣の前髪が頬に張りついている。


「なんかさ、こういうときに“好きです”とか言われたら、漫画みたいだよね」


ふざけるように言った結衣に、緋人は真顔で応えた。


「じゃあ、やってみるか。告白ごっこ」


「……は?」


「俺が、おまえの“好きな人”役で、おまえが“勇気を出す女子”役な」


「……緋人くん、バカなの?」


「知ってる」


でも、どこか本気の瞳を見て、結衣もふとその気になった。


「……わ、私、あんたのこと……ちょっと前から、ずっと……す――」


「ありがとう。俺も、ずっとおまえのこと好きだった」


言い切る前に先回りされた返事に、結衣は黙り込む。


「練習だろ? これ」


「練習のくせに……本気みたいな顔するなよ」


「……じゃあ、練習じゃなかったら?」


「……殴る」


「できるもんならやってみろ」


そして、笑い合いながら雨が止むのを待った。


“告白ごっこ”のくせに、心臓が少しだけ、本気だった。

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