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舞台に立つのは本当に楽しい。

長かったはずの公演もあっという間に過ぎていき、今日で最終日となった。


「今日で終わりか~」

「シャルさんの演技がもう見れなくなるなんて寂しいです」


ドロシーが隣で呟いた。

この数週間でドロシーとは本当に仲良くなった。

最初こそ代役で出るという意味もあり、若干気まずかったのだが彼女は本心から私のことを好いてくれていた。


「またそんな上手いこと言って~。演技ならジル兄やソフィ姉の方が上手いでしょ?」

「何言っているんですか!勿論お二人もお上手ですが、そんなお二人がシャルさんの演技を絶賛しているんですよ!!私も実際に拝見して、『噂は本当だったんだ!』と思いましたもん!」


劇団オルビド内では、何故か私の噂が当然のように流れていた。

というか、ジル兄とソフィ姉が流していた、という方が正しいか。


「もう、そんなに持ち上げないでよ。恥ずかしいじゃない」

「シャルさんは謙虚すぎです!」


頬を膨らませたドロシーに苦笑いしてしまう。

褒めてくれるのは嬉しいのだが、どうにも直接的に伝えられることに慣れていないから恥ずかしさが勝ってしまう。


「シャル~、そろそろ時間だから準備してね」

「はーい」


公演時間が近づいてきたため、そろそろ準備をしないといけない。

呼びに来てくれたソフィ姉は、私とドロシーを見てきょとんとした後に嬉しそうに笑う。


「あらあら、すっかり仲良くなったのね」

「ソフィアさん!」

「ドロシー、足の調子はどう?」

「大分良くなってきました!本当にご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした」

「気にしないでちょうだい。回復に向かっているならそれでいいのよ」


ソフィ姉とドロシーの会話を聞きながら支度を進める。

『ジル兄』や『ソフィ姉』って呼んでいるけれど、こういう場面を見るとちゃんと上の立場に立っているんだなと実感する。


「じゃあ、行ってくるね」

「いってらっしゃい」

「お気をつけて!」


2人に見送られて私は舞台袖に向かった。





最終日の公演は、それはそれは大盛況だった。

いつも通り全力で演じ、カーテンコールも無事に終わった。


(終わったー…)


ほっとしたのと同時に達成感を感じる。

そして若干の寂しさも感じた。

最後の公演が終わるといつも寂しくなる。


気を紛らわせるかのように終演後の片付けを済ませて楽屋に戻ると、大体の人がすでに談笑していた。

私の存在に気が付いたのか、話していた人もコップを置いて近づいてくる。


「シャルさん!お疲れさまでした!」

「シャルさんの公演を生で見れるとは思っていませんでした!」

「一緒の舞台に立てて幸せでした!」


思ってもみなかった言葉に自然と笑顔になる。

何とか全ての言葉を拾って返していると、部屋に控えめなノック音が響いた。


誰かが扉を開けてくれた。

そこに立っていたのは、レオルドさんだった。


「シャル」

「レオルドさん!」


皆に断りをいれてから駆け寄る。

彼の手には差し入れらしき紙袋が3つ握られていた。


「観に来てくださったんですね。ありがとうございます」

「ああ。ものすごく感動したよ。本当にお疲れ様」


レオルドさんは優しく笑うと、紙袋を差し出した。


「差し入れだ。ぜひ皆さんで食べてくれ」

「ありがとうございます」


いつの間にか近くに居たジル兄とソフィ姉に、レオルドさんから差し入れを頂いたことを伝える。

2人だけでなく、話を聞いていた近くの劇団員もレオルドさんに元気よくお礼を伝えた。


「今更ですが、長期的に休むことを直接お伝えできず申し訳ありませんでした」

「そんなことはいいさ。こうしてシャルが楽しそうにしているなら、それで、、、」

「……レオルドさん?」


私の頬を撫でて目を伏せてしまったレオルドさん。

何となく彼に感じる違和感を問おうと口を開きかけた時、ジル兄とソフィ姉が近づいてきた。


「シャル、今いい?」

「あ、うん。どうしたの?」


ソフィ姉はいつも通り笑うが、ジル兄からはどこか緊張を感じる。

空気が張っているからか、自然と楽屋は静かになった。

ちら、とレオルドさんを見たソフィ姉はゆっくりと私を見た。




「シャル、私たちと一緒に来ない?あなたをもう一度、改めてスカウトしたい」




今日は複数回投稿します!

だいぶ終盤にもなってきましたので、皆様ブックマークや評価で応援していただけますと幸いです!

よろしくお願いいたします

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