幼馴染の助言(レオルド視点)
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朝、始業を伝えるチャイムが鳴った。
(シャルが来ない)
いつもなら始業の20分前には来ているはずのシャルが一向に現れない。
風邪でも引いたのだろうか。
それとも昨日、街へ出た時に何かあったとか…?
いや、それなら婚約者である俺にも話が伝わるはずだ。
そんなことをぐるぐると考えていると、いよいよ先生が教室に入って来てしまった。
いつも通り1日の連絡事項が伝えられるが、特に変わったところはない。
「今日の連絡事項は以上です。では皆さん、今日も学業に励みましょう」
「「「はい」」」
「あと、レオルドさんはこのあと私の元に来てください」
「はい」
個別の呼び出しなんて初めてだ。
シャルのことに違いないと確信し、連絡の時間が終わってからすぐに先生の元へ行く。
「どうしましたか?」
「ああ、レオルドさん。実はシャルさんのことで伝言を預かっているので個別に伝えようかと思って呼ばせてもらいました」
「そうなんですか。シャルは今日欠席なんですか?」
「今日に限らず、月末まで特例でお休みすることになりました。昨日シャルさんのお姉様が直接いらっしゃって、お休みの申請をされたのです。レオルドさんにも伝えるようにお願いされました」
「月末までって…!病気とかですか!?」
「いえいえ、そういうことではありません。ただ、劇団オルビドのお手伝いをしてもらうことになったからご理解いただきたい、とお姉さまはおっしゃっていました」
「そうでしたか…」
とりあえず体調不良じゃなくて良かった。
安心しつつ、先生にお礼を言ってから授業の準備をする。
劇団の手伝いをするなんて聞いていないし、そもそも月末まで休むなら直接言ってくれれば良かったのに。
もしかして、、またシャルが話しにくいような距離感だったのだろうか。
あのパーティーをきっかけに意識的に関わり方を変えたのだが、また間違えたのだろうか。
考えても考えても答えが出ない。
こうなったら第三者に意見を貰おう。
「で、私たちが呼ばれたのね」
業後、俺はロアンナとルークをお茶会に誘った。
急な声掛けにも関わらず、2人はすぐに頷いてくれた。
お茶会とは名ばかりで相談会と言った方が正しいかもしれないが、まあいいだろう。
「もう難しすぎて頭痛ぇ…」
「レオルドは難しく考えすぎなのよ。変な読み合いなんてせずに真っ向から向き合えばいいのに」
「今度こそ失敗したくないんだよ」
「二度目のチャンスをくれたシャルさんへの感謝を忘れるなよ」
「分かってる」
「まあ、私たちから見た2人は大分いい関係になったとは思うわよ。一緒に居るところをよく見るようになったし、会話だってしやすくなったのでしょう?」
「あと、シャルさんとクラスメイトが会話をしている場面も見かけるようになったな」
「…関わり方が良くなった風に見えるなら良かったよ」
「今回レオルドに事前に連絡がいかなかった理由だって、もしかしたら急遽劇団の手伝いをすることが決まったからかもしれないでしょう?」
「先生からレオルド宛に伝言を預かっていたらしいし、伝達が無かったことについて悪意はなかったと思うぞ」
紅茶を飲むロアンナとクッキーを齧るルーク。
そんな2人の仲良さそうな雰囲気に深くため息を吐いた。
「お前ら本当に仲いいよな」
「おかげさまで喧嘩もほとんどなくやらせてもらってる」
「俺への当てつけか??」
ロアンナはルークと言い合う俺を見て静かに口を開いた。
「にしても、本当に人が変わったようにシャルを溺愛し始めたわね」
「……元々こうしたかったんだけど、全体的に罪悪感の方が大きかったんだよ。今は愛おしさが爆発した」
「レオルドとシャルさんが婚約した経緯はこの前聞いたけれど、少なくともシャルさんだって同意したんだろ?なのに、なんでそんなに罪悪感を感じるんだよ」
「シャルは何にでもなれるんだよ。舞台の上であの人に勝る人はいない。そんな天才を自分の横に縛り付けておいて罪悪感がないわけないだろ」
そういうと2人は顔を見合わせた。
そして同時に首を傾げる。
「「なんで?」」
「……は?いや、だって、俺よりいい人なんて沢山いるだろ。シャルなら選び放題だ。別に俺じゃなくてもシャルは幸せになれる」
「そうかしら?」
「そう思うのか?」
2人はさも不思議そうにこちらを見た。
その反応が信じられなくて黙っていると、ロアンナはさらに首を傾げた。
「例えシャルが天才だとしても、レオルドから婚約を申し込んだのだとしても、最終的にそれを受け入れたのはシャルじゃない。シャルがレオルドを選んだのはタイミングの問題だったかもしれない。でもそんなものは『運命』で片付けてしまえばいいのよ」
「ロアンナの言う通りだ。レオルドはシャルさんの才能に惚れたのか?」
「違う」
「なら『舞台で天才』とか気にしなければいいだろ」
言われていることは分かる。
分かるんだが、それでも上手く消化できない。
「・・・・・・・」
「そんなに悩むなら会いに行けばいいじゃない」
もうすでに飽きた様子でロアンナはそう言った。
「シャルは劇団オルビドにいるんでしょ?なら会いに行ったり、劇を観に行ったりすればいいじゃない。何か分かるかもしれないわよ」
「…たしかに」
「ちなみに観劇チケットは数日先まで完売しているらしいから早めに買いに行った方がいいぞ」
「何でそんなに詳しいんだよ」
「昨日チケットを買いに行った時に教えてもらったんだ。ちなみに俺たちは1週間後に観に行く予定だ」
「おい!!なんでだよ!誘ってくれよ!!」
「何で私たちのデートにレオルドを誘わないといけないのよ。ほら、早く行って来なさい」
そんな風に急かされたら行かないわけにはいかない。
結局、悩みながらもチケット売り場まで行き、なんとかチケットを購入したのだった。




