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戻った平穏(?)と観客としての劇団オルビド


そんな波乱万丈だったパーティーを終え、私の生活は大きく変わった。


劇団オルビドの座長と知り合いであることが学園全体に知られ、顔も名前も知らない人から声をかけられることが増えた。

大体は適当にかわしているのだが、声をかけられる回数が尋常じゃないため面倒極まりない。

そう思った矢先、ちょうどいい番犬が身近にいてくれるようになった。


それは、


「おい、シャルに何の用だ」

「レ、レオルド様…」


後ろから抱きつかれた感覚に顔を上げると、そこには容赦なく相手を睨むレオルドさんがいた。

あーあー、怯えて可哀想に。


「レオルドさん、あまり怒らないであげてください」

「…シャルが言うなら」


レオルドさんは渋々睨むのをやめると、話しかけてきた人はそそくさと去っていった。


「今までと変わりすぎではありませんか?」

「反動で愛おしさを抑えきれなくなった」

「そんなことを言ったって、今日の業後の予定は変えませんからね」


そういうと、レオルドさんは子犬のようにシュンとしてしまった。


「本当に行くのか…?」

「ソフィ姉から観劇チケットを貰いましたし、私個人としても興味があるので行きますよ」

「……」

「レオルドさんはジル兄とソフィ姉に会うのが気まずいのでしょう?今までも1人で街に行っていましたし、大丈夫ですよ」

「…チケットも1枚だったもんな。シャル専用の関係者用チケット」

「それはごめんなさい。2人にも言っておきますから」



パーティーから3日後、寮の私に部屋には1つの大きな箱と1通の手紙が届いた。


『シャルへ

パーティーではジルノが無礼を働いてしまってごめんなさい。

直接でなくて申し訳ないけれど、青色のドレスを返送させてもらいます。

あとお詫びとして劇団の観劇チケットを同封させてもらったわ。

忙しいとは思うけれど、公演中はいつでも使えるようにしたから時間があったらぜひ観に来てちょうだい。

待っているわ。

ソフィアより』


封筒には簡潔な手紙とチケットが入っていた。

大きな箱には例の青色のドレスが綺麗な状態で収まっていた。


貰ったチケットを無駄にするのは申し訳ないし、元々観に行く予定ではあったため勿論行くことにした。

青色のドレスをレオルドさんに返すついでに観劇に行く話をしたのだが、それ以降この調子で何とかして引き留めようとしてきていた。



「ほら、今日はお家の予定があるのでしょう?遅れてはいけませんよ」

「…分かってる」

「私ももう行きますから。ほら」


そう急かすと、レオルドさんは渋々ながらも実家の馬車が止まっているであろう場所に向かっていった。

そんな彼を見送ってから私も一度寮に戻り、準備をしてから街に出た。








「えーっと、チケットによるとこの辺りだね」


チケットの裏面に書いてある地図を見ながら歩いていると、ちょうど劇団オルビドの看板を見つけた。

どうやら方向は合っているようだ。

そのまま看板に従って歩くと、大きな建物の前で綺麗な衣装を着た女性が立っているのが見えた。


「劇団オルビドの観劇チケットをお持ちの方はこちらで受付をしております!!」

「こんにちは。受付をお願いできますか?」

「勿論です!チケットを拝見いたします」


チケットを渡すと、受付の女性は驚いたような顔をした。


「あの、失礼ですが、もしかしてシャル様ですか?」

「はい、そうですが…」

「しょ、少々お待ちください!!」


女性はチケットを持ったまま慌てて走って行ってしまった。

呼び止める隙も無く、私はその場に取り残される。


少しすると、女性は息を切らしながら戻って来た。


「シャル様、大変お待たせしました!」

「いえ、大丈夫ですが…」

「こちらへどうぞ!」


女性に案内されたのはチケットに書いてある通り、関係者席だった。

他のお客さんよりも少し高い位置に椅子が用意されており、舞台がとてもよく見える。


「本日はご来場いただき誠にありがとうございます!こちらの席は当劇団の関係者席となっております。何か必要な物があれば持ってきますが、いかがですか?」

「大丈夫です、ありがとうございます」

「分かりました!では、また何かあればお声がけください」


そう言うと女性は一礼し、この場を去って行った。

程なくして開園のブザーが鳴り、ゆっくりと幕が上がった。



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