全てが計画通りにならない!!!
「うわ!」
「シャル、大丈夫だから楽しめ」
ジル兄は心底楽しそうに踊る。
私も段々と楽しくなってきて、ジル兄のリードに身を任せた。
「ジル兄、ダンス上手いね」
「そうか?」
「うん、すごく踊りやすい。舞踏会とか出たことあるの?」
「数回だけな。あとは舞台で踊る場面があったから練習した」
「なるほどね」
コソコソ話しながら踊る。
確かに舞台のために練習をしたのなら、この上手さも納得だ。
「あ、そうだ。シャルに言わないといけないことあった」
何かを思い出したかのようにジル兄は話題を切り替えた。
「なに?」
「ソフィアが今日、この国に到着予定だ」
「えっっっ!?」
思わず足を止めかけるが、ジル兄のステップがそれを許さない。
半ば強制的にエスコートされる。
「待って待って待って!怒られるのは嫌だって!!」
「安心しろ、ソフィアはパーティーが嫌いだからこういう表舞台には滅多に出てこない」
「だとしても、後々怒られることが確定しているのは嫌だって!」
さすがに大声では騒げないが、精一杯の小声で猛抗議する。
しかしジル兄は楽しそうに笑うだけだ。
「ソフィ姉に謝らないことが沢山ありすぎる」
「1つ1つ丁寧に謝れば許してくれるんじゃないか?」
「………本当に?」
「あー、多分?」
「急に自信無くすじゃん」
「まあまあ、どうせ怒られることは確定しているんだし、このダンスを楽しんどけ」
ジル兄はそう言うと、より大きくステップを踏み込む。
私もそのステップについていくと、頬に当たる風が心地よかった。
そして、気づけば曲が終わっていた。
私たちが踊るのをやめると、周囲から自然と拍手が起こる。
ジル兄が慣れたようにお辞儀をしたため、つられて私もお辞儀をする。
「さあ、皆様も踊ってください。パーティーはまだまだ始まったばかりですよ」
ジル兄の言葉に、数組の男女が手を取り合って進み出てきた。
私とジル兄は邪魔にならないように端の方に移動する。
「じゃあ、シャルの婚約者に挨拶に行こうか」
なんて爽やかな笑顔。
でもねジル兄、あなたがそんな笑顔をする時は大抵ロクでもない時なのよ。
「い、いやぁ~…それはちょっと、」
「青色のドレスだった、っていうことは青色の物を身に付けているだろ?だとすると~・・・」
「ああああ!!!!会場を見渡さなくていいから!!ね!やめようよ!!」
ジル兄の目線を遮ろうとぴょんぴょん飛び跳ねるも、身長が高いジル兄には無駄な抵抗すぎるようだ。
どうにか、どうにかしてこの人を止めないと・・・
「シャル」
後ろからかけられた声に、ビシッと固まってしまう。
終わった。
たった今、全てが終わった。
振り向きたくないが、振り向かないといけない。
こうなったら、できるだけ最小限のダメージで終わらそう。
覚悟を決めて振り返る。
「レ、レオルドさん・・・」




