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いつもとは違うパーティー


目が覚めた。

いつもとは違う、でも見たことある天井に朝一でため息を吐いた。

ここはレオルドさんの屋敷だ。


(そうだ、今日は学内パーティー当日だ)


レオルドさんは毎回、パーティーの前日に私のことを寮まで迎えに来る。

しかしレオルドさんの屋敷に着くなり、そのまま客室に突っ込まれて、あとは放置。


当日の朝には沢山のメイドが私の化粧から髪のセットまでやってくれるため、連れてくる分の時間を短縮をしたいのだろうけれど、


(あの時間気まずいんだよね~…)


これから起こるであろう準備時間にすでにゲンナリしてしまう。

でもやらないといけない。


(始まれば終わるんだし、頑張ろう)


気合を入れて起き上がれば、ちょうどタイミングを計ったかのようにメイドたちが挨拶と共に部屋に入って来た。






ガラガラと馬車が走る音に、車窓を流れる夜の街。

パーティーの会場に向かっているというのに、馬車の中はあり得ないほど静かだった。


(この調子なら、レオルドさんが私の婚約者だって分からないはず)


景色を見ているフリをしながら、私は淡々と作戦を練っていた。


ジル兄は劇団オルビドの座長でもあるし、絶対にパーティーの会場に来る。

そして、私のことを見つけるまでは確定事項だ。


ここからが勝負で、レオルドさんが私の婚約者だということだけはバレてはならない。

なぜなら、レオルドさんがジル兄に殺されかねないからである。

今までのパーティーなら、レオルドさんは私のことをパーティー中も放っておいてくれた。

でも最近、変に関わってこようとする姿勢がみられる。


(私もレオルドさんのことを避けるつもりではあるけれど、色々と限度はあるし…)


「はぁ…」


つい、ため息を吐いてしまった。

しまった、と思った時にはレオルドさんは私のことを凝視していた。


「…疲れてるのか?」

「いえ、お気になさらず。まだパーティーに慣れず、緊張しているだけですので」


それらしい理由を付ける。

そう、緊張しているだけですので全く気にしないでください。


「そうか。でも、一緒に楽しもうな」

「…はい?」


一緒に?

今、一緒に、って言いました?


唖然とする私を気にせず、レオルドさんは続けた。


「ほら、もう着くぞ」

「ぇあ、はい」


レオルドさんの言葉に嫌な予感を残しつつも、馬車は学園内に入っていく。

そしてゆっくりと停車した。


「シャル、行こう」

「あ、ありがとうございます」


流れるようにエスコートされ、いつの間にか腕を組んでしまう。

早速計画が狂ったが、まあいい。

とりあえず会場まで入ろう。

入ってからさっさと離れればいい。


「ドレス、俺が用意したのを着てくれたんだな」

「……せっかく用意していただいたドレスですから」


ドレスに罪はないもんね。

うん、だから似合わなくても着ますよ。

朝、化粧をしてもらっている時に何度(似合ってないな)と思ったことか。



会場に入ると、大半の人は集まっていた。

まだパーティーが始まっていないが、すでに楽しそうな笑い声が各所から聞こえる。


「あら、レオルド様!」

「お待ちしておりましたわ!」

「今日も格好いいですわ~!」


レオルドさんが会場に入るなり、わっと令嬢が集まってくる。

婚約者がいない令嬢にとって、パーティーとは出会いの場とほぼ同義だ。

・・・まあ、婚約者持ちに話しかけるのはどうかと思うが。


居心地が悪くなったため、スルッと腕を離そうとした瞬間、レオルドさんがぐっと私を引き寄せた。


「シャル、どこへ行こうとしているんだ?」

「の、飲み物をもらって来ようかと思いまして」

「なら俺も行く」


いやいやいやいや!!!!

いいです!来ないでください!

本っ当に求めていません!!!

正直そこまで喉は乾いていませんし!!

あなたと離れたいだけなんですよ!!!

察して!!お願いだから察してください!!


なんて言えるわけもなく、腕を組んだまま飲み物がおいてある場所まで移動してしまった。

レオルドさんに寄って来た令嬢たちは見事に絶句していた。


「シャルはどれがいいんだ?」

「じゃあお水で」

「水でいいのか?」

「はい」


不思議な顔をしているレオルドさんから水の入ったグラスを受け取る。

少し手が震えているが、そんなのを気にしたら負けだ。

すでに精神的にすり減っているのは十分に自覚していた。


「パーティーも久しぶりだな」

「そうですね」


今度こそ、さりげなく腕を離す。

パッとこちらを見られたが、両手でグラスを持っていれば何も言われない。


「今日来る劇団オルビドって、昔シャルがいた劇団だよな」

「……よく覚えていますね」

「忘れるはずないさ」


レオルドさんはそう言うと、懐かしそうに笑った。


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