邂逅
パーティーまで残り2週間を切った。
今日からパーティー当日までは短縮授業となるため、学園内はすっかり浮足立っている。
「ねぇねぇ聞いた?今度のパーティーでは【劇団オルビド】の皆さんが来てくれるそうよ!」
「劇団オルビドって世界でも有名な劇団じゃない!楽器の演奏から手品、演劇にダンスショーまで幅広く公演している劇団よね?」
「そうよ!今から楽しみで仕方がないわ」
「何をやってくださるのかしら」
この学園では、パーティーを盛り上げるために様々な団体が外部から招待される。
今回は世界的にも有名な劇団が呼ばれるようだ。
(そういえば、街でも公演の宣伝をしていたような気がする)
もしかしたら学園のパーティが終わった後に、街でも公演をやるのかもしれない。
それだったらチケットを取って観に行くのも面白いかも。
(今日も街に行くし、折角なら確認してみようかな)
結局、パーティーで着るドレスを自分の意思で決めることは出来なかった。
例の騒動の3日後、寮に出来上がったドレスが届いた。
体のシルエットがよく分かる、細身な青色のドレス。
青といえば、レオルドさんの瞳の色だ。
(たしかに私が自分でドレスを用意してしまうと、『パーティーで着るドレスを婚約者に贈れない人』としてレオルドさんが周囲に誤解されてしまう可能性もあったもんなぁ)
だとしても、青色のドレスは嫌だな。
青が嫌なわけではないのだが、私に似合わなすぎるのだ。
私は明るい茶髪に黄色の目をしている。
どこをどう取っても青色との相性が悪い。
(あと細身なドレスも……痩せないといけなくなった)
心の中でため息を吐く。
これはしばらく買い食いを控えないといけない。
「劇団オルビドが来るって本当!?」
「本当よ!ほら、広場でも宣伝していたじゃない!」
街を歩いていると、話題は劇団オルビドのことで持ち切りだった。
どこを歩いても、誰とすれ違っても聞こえてくるのは劇団オルビドの話。
(へぇー、そんなにすごい劇団なんだ)
申し訳ないが、劇団の知名度に関してはそんなに造詣が深くない。
でもそんな私でも名前は聞いたことはある。
あれ? どこで聞いたんだっけ?
「シャル…?」
そんなことを考えていると、たった今すれ違った人に名前を呼ばれた。
普段は決して振り返らないのだが、考え事をしていたからか反射で振り返ってしまう。
しかしこの時ばかりは振り返って良かった。
「もしかして、、、ジル兄!?!?」
「シャル!やっぱりシャルだよな!!!」
私の名前を呼んだのは、幼い頃、私を本当の妹のように可愛がってくれていたジル兄だった。
血の繋がりこそ無いものの、ほとんど兄弟と言っても過言ではないほど仲がいい。
まさか祖国ではなく、こんなにも遠い国で偶然会うなんて・・・!!!
「ジル兄!!!」
思わず抱きつくも、安定して受け止めてくれる。
最後に会ったのは今から6、7年も前になる。
顔立ちや体格も変わっているが、それでも確かに面影がある。
「シャル~!大きくなったな」
「よく分かったね!」
「俺がシャルのことを分からないはずないだろ?」
ニカッと太陽のように笑うジル兄。
久しぶりの再会に泣きそうになってしまう。
「折角だし、カフェでも入って話さないか?」
「うん!」
ジル兄の言葉に頷き、私たちはカフェへ向かった。




