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のめりこませられる

良くも悪くも最初はただの独り言だった

それをネットに映した瞬間それは意見になった

誰かが自分を見てくれる、話を聞いてくれる

こんな快楽と安息、一度味わったらもう抜け出せない


新聞に投書しても、ラジオに投稿しても

受け入れてくれるかどうかは“上”次第

だけどネットは全てをありのままに受け入れてくれる

それがいつの頃からか飲み込まれてしまったんだ


力があまりにも強すぎて自分でコントロールできない

ましてや他人が統制してくれるわけでもない

そうして増幅し続ける自我、自我、自我

みんなで“短文でどれだけ凄いことが言えるか大会”をやっている


個人的見解があっという間に総意になる

そしてそれが現実そのものを動かす力になる

ただ指先一つで世界を変えられる

のめり込まないわけがない


ただ書き込むだけで自分が世界に対してなにかを為した気になる

それが善意であれ悪意であれ

ありえないほどの歓喜、悦楽、達成感

それはまるで覚醒剤のよう


彼の悪意なんて誰もが持つ意地悪さに過ぎなかった

それを彼はネットという形あるものに移してしまった

そしてそれは呪符のように力を持ち多くの邪気を呼び寄せ

いつしか“普通”の人たちを次々に飲み込んでいった


熟慮の間もなく思いつくままに書き込んで

すると誰かがその意見を肯定してくれて

誰かに肯定してもらえるなんて凄まじい安心感で

そして内省を失っていく


日常生活で評価されることが極めて少ない

だからネットでいいね!を求める

世の中いろんな人がいるからこそ

半ば自動的にいいね!されるから


しかし当然誰かは自分を否定してくる

しかし、誰かは肯定してくれる

つまりいまは駄目かもしれないけど頑張ればきっと

だから一生懸命書き込みしよう


自分の性格が歪んでくるのがよくわかる

歪んだ人たちと一緒にいると

それをよくわかっていてももう離れられない

情報が手に入る快楽を知ってしまったから


情報処理能力、それが必要不可欠

でなければ飲み込まれる

そして現実を侵していく


そして身を滅ぼす

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