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奏でる宙は、星空のアクアリウム

作者: 逢乃 雫

海鳥の背に


吹く風は涼やかに



朝焼けに染まる


海はラベンダーの色をして



いるか雲が浮かぶ


歌見月(うたみづき)の空に



軽やかに


舞いゆく夏茜の



羽は五線譜のように


奏でる夏の音色



詩うように


やわらかな波のように



夏をそよめく


デルフィニウムの青



波をかき分け


イルカたちが



向かう空は


また一つ青くなって




流るる風の色


頬にふれる、夏の色



風鈴草がゆれる


夕影の小径に



風の中に溶けていく


今日という音色と



優しくささやくような


樹々のさゆらぎ



染まりゆく夕闇に


浮かび上がる



いるか座の星は


季節を謳いながら




流るる風の色 


見上げる星は、夏の色



ベガが煌めく


星の竪琴(たてごと)に誘われて



やわらかな満月の


光を宿すように



ムジカの星は


月の海を泳ぎながら



やさしく寄り添う


アリオンの光とともに




ピアノの鍵盤と


同じ数だけ



夜空に描かれた


八十八の星座



星は瞬き


星は繋がり


響き合いながら



一つひとつが


巡る季節を奏でて



今日という日は


リハーサルのない舞台



今日は今日の


風が吹くように



明日はきっと


明日の風が吹いて



心の風鈴が


鳴らす音色に


耳を澄ませながら



懸命に鳴らす


一音の大切さも



即興で生まれる


一音の楽しみも



心に響く


一音のかけがえのなさも



 

海鳥の背に


吹く風は涼やかに



朝焼けに染まる


海はラベンダーの色をして



流るる風の音色


空はまた一つ青くなって



夢という星が


描く未来への譜面を



奏でる(そら)は、


星空のアクアリウム





















夏の星座の一つ、いるか座は、こと座の東にあり、月色の星・ムジカ(ラテン語で「音楽」)は、神話でイルカに助けられた吟遊詩人の名がつく星・アリオンとともに空に浮かびます。


デルフィニウム(ギリシャ語で「イルカ」)は、つぼみがイルカの形で、青い花が咲き、花言葉は「幸せをふりまく」です。風鈴草は、カンパニュラ(ラテン語で「小さな鐘」)とも呼ばれ、7月にかけて鐘の形の花が咲きます。


歌見月うたみづきは、7月です。夜空を彩る星座は88ありますが、これはグランドピアノの鍵盤の数と同じです。


季節の星や花をモチーフに詩を描かせていただきました。お読みいただき、ありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 海、デルフィニウム、イルカ、風鈴草と涼しさを感じる言葉が暑い夏に対して心地良さを感じられて素敵でした。 それに対して、歌見月やピアノの鍵盤数と同じ八十八の星座も登場することで楽しさを感じら…
[良い点] 7月は「歌見月」ともいうのですね。 暑さばかり感じる毎日ですが、夏の情景の中で奏でられる音に耳を傾けてみようと思わせる詩でした。 一音一音を大事に聴き、毎日毎日を大切に過ごせたらいいなと思…
[良い点] 美しい詩です。音楽に関わる部分がとても印象的だったのでそこを抜き出して再構成してみました。 ーーー 海鳥の鳴き声 風の奏でる音 いるか雲の泳ぐ朝焼けと ラベンダー色の海とのハーモニー …
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