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第十三話 冷徹女王に黒い影。

 昼休み、僕は質問攻めに遭っていた。


「ねぇねぇ二人はどういう関係なの!?」

「この前駅前で手つないでたらしいけど本当!?」

「い、いやぁ、あはは...。」


普段女子と関わることがなかったのに、まさかそれを超えて囲まれるなんて...。

伏見さんのほうに目を向けると、あちらも囲まれていた。特に男子に。



「あ、そういえば何て呼べばいい?私は山田。」

「堀田君ってさー。普段何してるの?」


女子のうちの一人が、僕の机まで椅子を持ってきて対面に座ってくる。

わかりやすくギャルというような見た目で、金髪のサイドテールに、

僕でもわかる濃いメイクをしていた。


「え、あーえっと、漫画読んだりとか...。」

「へー...趣味があってるとかでもなさそうだし、もしかして伏見さんと付き合ってるの?」

「あ、えーと。実は伏見さんが僕の読んでた小説が好きらしくて...。それで買い物に付き合ってただけだよ。」

「嘘、そうなの!?」


何とか説得を続けていると、あちらから大声が聞こえてくる。


「伏見さんあいつと付き合ってんの!?」

「...いや、まだ別に。」

「ふーん。てか伏見さんあいつが誘っても断るのに、あんなやつとは行くんだ。ウケる。」

「趣味わりー。弄ぶタイプじゃん。」

「...は?」


どうやら口ぶりからして以前誘ってきた男の知り合いたちらしい。

助けに入るべきか悩んだが、その前に伏見さんが席を立った。


「あのさぁ。あんたらが堀田のことを、あんなやつとか言うの意味わからないでしょ。」

「はぁ?なんで?」

「少なくとも人のことを大声で悪く言うようなあんたらよりずっと優しいよ。」

「優しいって。さすがにウケるんだけど。」

「あんな根暗そうな奴、優しいの前に見た目がダメでしょ。」

「はぁ!?あんたらさぁ!」


正しく一触即発の雰囲気だった。

止めに入ろうと思ったが、自分の周りにいた女子たちが伏見さんのほうへ向かっていた。


「ちょっとそれはひどくない?」

「はぁ?お前らに関係ねぇだろ!」

「いや一応同じクラスだし。ていうか自分たちが誘っても断られるからって他の人に当たるのダサすぎでしょ。」

「てめぇ...!」


男が思わず拳を振り上げる。

が、ちょうど教師が帰ってきていた。


「おい!何の騒ぎだ!」

「この人が殴ろうとしてましたー。」

「はぁ!?殴ってねぇよ!」

「おい、またお前らか、ちょっと来い!」

「くそっ!」


そのまま男たちが教師に連行されていった。


「あぶなー、ガチで殴られてたかも。」

「えっと、ありがとう。」


伏見さんが頭を下げる。


「いやいいよ。だって見ててむかついたし。それよりさー。堀田くんと付き合ってるの?」

「いやその、まだ、そういうのは...。」

「ふーん?まだ、ねぇ。もしかしたら横取りされちゃうかもよ?私みたいなのに。」

「は、え!?」

「あはは、ジョーダンだってー。伏見さんって反応可愛いね。」

「...いやでも、まだそういうのじゃ...。」

「はいはいわかりましたよー。」


そのまま山田さんは別の教室へ行ってしまった。

...まだという言葉に、僕の心臓の鼓動が止まらなくなっていた。


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