第十話 冷徹女王は気づかせたい。 四
「着いた。ここだよ。」
「え、ここって...。」
見上げて看板を見てみると、僕がよく通っているアニメや漫画グッズの店だった。
伏見さんもグッズが買いたいんだろうか。
「確かにここなら映画特典以外も手に入ると思うけど。」
「いやそうじゃなくて...まあ、それでいっか。」
「え?もしかして違う?」
「...堀田と来たいから来たんだよ。もう、いちいち言わせないでよ。」
「え、あ...ありがとう...。」
「...とりあえず行こっか。」
何となく気まずいけど、居心地がいい。そんな雰囲気になりながらも、店の中に入る。
中では色んなアニメの映像やグッズ紹介の音声が流れていた。
「...色んな物が多すぎて、よくわからない。」
「来たことあるから案内するよ。」
「あ、そうなの?じゃあお願いするね。」
まさか、ここに女の子とくることになるなんて、少し前の自分なら信じれなかっただろう。
「ここだと思うよ。あ、あった。」
「すごい、詳しいんだね。あ、これ。」
伏見さんが、二人のキャラクターの缶バッジを手に取る。
このアニメでのヒロインと主人公だ。
「これ、買わない?」
「あ、いいね。僕も買おうかな。」
「じゃあ、こっち買ってよ。」
伏見さんが、主人公の缶バッジを渡してくる。
「私は、これ付けるから。堀田はこれ付けて。」
「え!?」
「...これ買いたかったから来たんだけど、ダメ?」
「い、いやいや全然!むしろうれしいくらいだけど!」
でもなんで、色んなキャラがいるのに主人公とヒロインの缶バッジなんだろう。
...その答えは薄々気が付いていた、だけど...。
「じゃあ買おっか。」
「ねぇ...伏見さん。」
「どうしたの?」
「なんでその、こんなに僕に優しくしてくれるの?アニメのこととか、色々...伏見さんが元からこういうのに興味あったのかな。」
思わず聞いてしまった。もしかしたら聞いちゃいけなかったのかもしれない。
でも、答えが欲しかった。僕の勘違いかどうかを、知りたかった。
「...それは...。」
伏見さんが顔を背ける。...やっぱりあんまりいい理由じゃないのかもしれない。
やっぱり僕なんかが伏見さんに期待なんかしちゃいけないよな...。
「...堀田が助けてくれたから、堀田のことを、その...。」
「え...。」
「...やっぱり内緒。いつか言うから、待ってて。」
「え、え!?」
「ほら、買いに行くよ!」
「え、あ、いやえ!?」
伏見さんに無理やり手を掴まれ、そのままレジまで走り出す。
けれど僕の心は、それどころではなくなっていた。




