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 俺は冒険者になることができた。

 どうしてなったのかはわからないけれど。


「いやー、どうしようかな。冒険者になったけど、これからマサトキは何をすればいんだろう」


「どうしようもないわね。私に相談すればいいじゃない。この私ハクナに相談することができれば、あなたはきっといい日の出を見ることになる。だからそうするべきよ」


「ふええ、しょうがないな。じゃあ相談してやるよ。俺はどうすればいいんだ」


「バカね、もちろん依頼を受けるべきよ、依頼をうけないと、お金が貰えないでしょ。なんのために冒険者になったと思ってるの? ちょっとは足りない頭を使いなさい」


 手厳しいなと思いながらも、それはそうだと思った。

 俺は依頼のいっぱい貼られてるボードの方まで赴いた。


「どれを選ぼう。俺が選べるのはFランクの依頼だけだったよな確か」


「そうなの? じゃあそうするべきよ。ルールには則って行動しないと、奇人扱いされちゃうし。そんなに悩んでるなら私が決めてあげるわよ」


 ハクナは貼られてる紙を一枚無造作に引きちぎった。


「これがいいわ。ええと、はぐれオークの討伐……ラランの村の近くにオークと思しき影を確認。集団性は見いだせないため、はぐれオークと認定、これを討伐すべし。だって」


 へー、まぁそれでお金が稼げるというのならわかりやすくていいんじゃないか。別に俺の希望とかもないし、適当でいいよな。


「というかあなたが選ばないでどうするの。私はあなたがどういうふうに生きていくのかを見定めたいんだけど」


「君が選んだんだろ。不可抗力だ。俺にはどうすることもできない。まぁいいよ。オークって要するに豚人間だろ? ちょっとどんな味がするかも気になるし、狩ったら食べてみようぜ」


「私は遠慮しておくわ。くさそうだから、あなた同様にね」


「ひどいなぁ」



 俺達は街の外にでることにした。

 冒険者としての初依頼、出発だ。



 ギルドで村の場所については聞いていたので、適当に歩いて、いい感じにたどり着いた。


「で、どうするわけ?」


「とりえあずはラランの村の人達に聞き込みをしようか。そうすることで情報が得られるはずだ」


 ということで村へと立ち入ることにする。

 もうそれっぽい村の近くまでやってきていた。

 素朴な木の柵で覆われている、いかにも村っぽい感じの村だった。


「あそこで畑仕事をしている人に聞いてみよう。すみませーん」


 俺はとりあえず畑仕事をしているおばあさんに近づいてみた。


「なにさね、よそもんがうちの村に近寄るんじゃないよ」


「ああ、そんな、別に僕は村に危害を加えるつもりできたわけじゃないんです。僕はむしろこの村を救おうとしてきたんですよ」


「嘘だね、こんな寒村に救いの手なんてきはしないよ。そんな希望がふってわくなら、こんなふうにどぶ仕事なんざしてないさね」


「いや、そう言われましても、本当に救いにきたんですよ。僕実は冒険者でしてね。依頼を受けてはぐれオークを討伐しにきたんですよ」


「ふん、確かに最近魔物やらなんやらが周辺をうろついているのは確かさ。でもなんでそれをあんたらが知ってんだい? おかしいじゃないか。やっぱり怪しいよ」


「そんな疑いの目を向けないでください。僕は本当にいい感じにこの村を救いたくてですね」


「もういいさね、さっておくれ、さもないと大声を出して村のものを呼ぶよ!」


「いや、そんなやめてください、本当に僕は怪しいものなんかじゃ」


「おーい!! だれかー……」


「きえええええええええええ!!」


 俺はおばあさんから桑を奪いとり、おばあさんの頭目掛け振り下ろした。

 桑は完璧にヒットし、おばあさんは土の上に倒れ込んだ。


「ふぅ、俺を手こずらせやがって……」


 俺は幾分かすっきりした。


「何殺してるの? 頭がおかしいの? でもそんなところも悪くないって思っちゃった自分がいるわ。どうしたものなのかしら。新しい感情を引き出されていく……」


 やばいな、これじきにバレるんじゃないか? こんなところに立ち尽くしていたら、いずれ誰かに気づかれて、俺達が疑われてしまうんじゃないか? 流石にそれはまずい気がするな。


「とりあえずここを離れよう、バレたらまずい」


「それもそうね」


「おーい! そこのお二人さん! 旅人かねー!?」


 遠くの方から、村民と思われる男がこちらに呼びかけていた。

 あ、やばい、早速ばれちまったかもしれない。

 もうこうなってしまえば、今から立ち去ったところで、このおばあさんを発見された瞬間、自動的に俺達が怪しいということになってしまう。そうなると、俺達の姿は見られてるわけだから、確実に足がつくだろう。相方なんて背中に翼が生えてるしな。そうなればこの世界で生きづらくなってしまう。ここはもう。


「ちょっと村人さん! こっちに来てもらえますか!」


「ん? なんだ?」


 村人の男を十分に引き付けた。


「こ、これは!?」


 村人の男が倒れてるおばあさんを視認した。


「電気ショおおおおおおおック!」


 俺は村人の男に高圧電流を流し込んだ。

 男はありえない震え方をしたあと、焦げ臭い匂いを残しながら、その場に崩れ落ちた。

 倒れた男をおばあさんの上に重ねておいた。


「うーん」

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