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「あーあ、何やってるのよ、救助対象の彼女までやっちゃって何考えてるの、ドン引きよ正直」


 俺は勢い余って雷魔法で男と絡まれてた女の子もろともやってしまった。


「ああ、こんなつもりじゃなかったんだ。神様、どうか僕をお助けください。過ちをおかした自分をお許しください」


「私も一応神なんだけどね。ていうか今のどういうった魔法? 見たことないんだけど、すごすぎない? あんな速い魔法そうみたことないんだけど。まぁいいわ、彼女の様態によってはワンちゃんあるかもね」


 ハクナは黒焦げになってしまった少女に近づいていった。

 言葉どおり様態を探っている。


「まぁラッキーね。ラッキー中のラッキーね。ぎり生きてるじゃない。少しでも息があるというのならこっちのものよ。ハクナヒール」


 ハクナは何やらつぶやいた。

 するとハクナの差し出した右手が発光し始め、やがて少女を包みこんだ。

 なんだか知らないがすごい減少だ。今だけなら背中の翼と相まって、神に見えなくもない。いや、神というより天使か?


「こんなもんね」


 黒焦げになっていた少女はいつのまにか黒焦げじゃなくなっていた。

 ほんの少し前までの健康的な肌の色が戻っている。


「え、何したんだ。俺もう確実にやっちゃったかと思ってたのに、すごいすごい!」


「なに子供っぽいリアクションしてるのよ。気持ち悪いからやめてよね。私がゲロを撒き散らす姿なんて、見たくないでしょ? 私もそんなはしたない行為したくないもの」


「女の子がゲロなんていうなよ。全然だめだな」


「ところで大丈夫、痛いところはない?」


 ハクナが少女に問いかけていた。


「え? あれ? 私、今、なにを……」


 少し周りをキョロキョロしたところで、黒焦げになってしまってる大惨事な現場を見てひえ! と叫び声をあげた。


「そ、そうです! この人たちに私、連れ去られかけてて……」


「それならもう大丈夫よ。この私が助けてあげたからね」


「俺も助けてあげたぞ。俺がハクナで、こいつがマサトキだ」


「逆よ。私がハクナで、こっちがハクナよ。じゃなくてマサトキよ」


「もう! どっちかどっちかわからないよ! まぁもういいよどっちがどっちだって。でも本当に助かりました。悪い奴らをぶちのめしてくれて」


 女の子は笑顔になっていた。

 案外肝が座っているのかもしれない。


 その後少女が言うには、あの男たちは急にさらおうとしてきて、自分とはまるで面識がないとのことだった。


「そうだ! せっかく助けてもらったんだ、もしよかったらお二人をうちの旅館に案内しますよ!」


「え、旅館だって?」


「はい。実はうちの両親この街で旅館を運営してるんです。ひいおじいちゃんの代から続く、由緒正しき旅館なんですよ!」


 それは好都合じゃないか? 俺は今日泊まるところがどこかわからなかった。お金ももってないし、お礼に止めてくれるというならすごくありがたい話だ。


「まじかそれはもう泊めてもらうしかないな」


「その旅館には、温泉というものはあるのかしら。私まだあれに入ったことなかったのよね」


「はい、もちろんありますよ! 温泉のない旅館なんて、ゴミですから」


 やったー! 温泉だー! そう考えるとなんだか運動して疲れてきてたし、旅の疲れを癒やしたい気分になってきたな。


「じゃあええと、ぜひ案内してほしいんだけど、名前をまだ聞いてなかったね」


「私はキイって言います。すごくいい名前でしょ? なら早速案内しますよ」


 少女についていくと、旅館と思しきものがった。

 かなりでかいぞ。

 外観は少し年季が入っているが、それが逆に風情を感じさせるというか、すごく落ち着けそうな雰囲気だ。


「それではおあがりください。温泉をたのしんでください」


「ありがとうキイ」


「キイちゃんありがとうね。でもお部屋はあるのかしら。それがないと泊まりようがないと思うんだけど」


「もちろん、私がそんなドジなわけないじゃありませんか。私は確かに襲われてはいましたが、あれは不可抗力だったんですよ。ささ、入ってください」


 導かれ中に入ると、かなりいい雰囲気がただよっていた。木製のいい雰囲気だった。


「いらっしゃいませ」


 女将さんらしき人が案内てくれる。


「ママ、この方達は私の命の恩人とも言える人なんだよ。だから私連れてきちゃったんだ」


「まぁそうだったのね、それはぜひおもてなしさせもらわないといけないわね。それと人前でママっていっちゃだめって言ったでしょ。かっちゃまとお呼びなさい」


「あのー、私達どうすれば」


「ああ、ごめんなさいね。それではシュンギク亭にようこそ。うちはかなりの高級宿になっておりましてね。おもてなしには自信があるんですよ」


「へーそうなんだ」


「一泊金貨二枚になります。お二人でしたら金貨四枚にんります」


「え? 俺の聞き間違いか? 今俺からお金を取ろうとしてるように聞こえるんだけど」


「当然でございます」


「当然ですよ。むしろどうして高級宿にただで泊まれるとか思ってたの? 私一言でもそんなこと言った? 無理ですよ。高級宿にただは流石に。厳しいものがありますよ」


 ええー、てっきりただだと思ってたわ!

 そんなことあるのかよ、完全に騙されたわ。


「嘘でしょ……」


 ハクナもへこんでいた。それはそうだ。


「マサトキ、こうなったらもう」


「諦めるしかないよな」


「お金を稼ぐわよ! 私はなんとしても温泉に入りたいの。人生、いや、神生初の温泉に入りたいのよ」


「…………」


 お金を稼ぐ旅が始まった。



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