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「それでわざわざ呼び出したというのはどういうことなんでしょうか」


 俺は仕切り直して尋ねてみた。


「いや、さっき部下から報告を貰ったんだが、若い女の子二人がものすごい剣呑な雰囲気を纏っていたという目撃情報が相次いでるらしくて。もしかすると君たちのことなんじゃないかなと思って、一応事情を聞いておこうかと……そっちの子は? 今朝は見かけなかったと思うけど」


 ギルドマスターはレノンの方を見ていた。うん……そりゃそうだ。急になんか増えてるんだもんな。やばいなんて答えたらいいんだろう……


「まぁこの子はなんと言いますか……」


「なんかさっきから聞いておりましたが、この偉そうに喋ってる男は誰ですの? マサトキの彼女だったりするんですの?」


「そんなわけねぇだろ! 誰がおっさんなんかを彼女にするか、気持ち悪いわ想像するだけで。ええっと、まぁこの子は新入りの子で、まぁ見て通り普通の女の子です」


「そう、なのかい? うーん、まぁ確かにさっき耳に入ってきた情報からは想像できないくらい華奢な女の子だもんね、あるわけもないか」


「あるわけない? ……このわたくしに向かってそのような口を効くとは片腹痛いですわね。その貧相な脳に叩き込んで差し上げましょうか? 私は貴方がた劣等種とは違う。なんと言ったってかのレットドラゴンの一族にして――むぐ!?」


 イキり始めたレノンの口を慌てて塞いだ。


「いや、違います! これは違うくて」


 俺はレノンに耳打ちした。


「おい、ドラゴンなんて言ったらややこしくなるだろ……! なんのために変身してるんだよ」


「……はぁ、はぁ」


 口を抑えられていたレノンは何故か頬を紅葉させていた。


「気持ち悪っ!?」


「ふはぁ……な、なんですの?」


「……なんですのじゃねーわ! うまく誤魔化せって言ってるんだ。正体がバレたら面倒くさいことなるだろ」


「ええと、レッド……ドラゴンといったかな?」


 ギルドマスターは訝しむ目を向けてきていた。


「い、いえ、違いますわ! 今のは誤解でして……そ、そう! かの地上最強種族、レッドドラゴンと同等の力を有するとされる将来有望な人間なのですわ!」


 レノンはハッとした後、勢いよくまくし立てていた。


 ……うまくごまかしたな。


「そうなのかい? まぁマサトキくんの仲間と言うのならそれくらいやってもらわないと困るかもな。はっはっは!」


 良かったあほな人で。


「それで今回の報酬を私がじきじきに渡そうと思うんだが、結構特殊なケースの依頼だったからね。まぁ何もなかったとはいえ、調査自体は無事達成して貰ったということで、金貨二枚を支払おうと思う。相場的にもこのくらいが妥当だと思うんだけど、どうかな?」


「うーん、どう思うハクナ?」


「まぁ実質何もしてないも同義だし、そんなもんなんじゃない?」


 金貨二枚ってどのくらいなんだろう……今泊まってるシュンギク亭が一人金貨二枚だからそこまでいい額ってわけではないのか? でもあそこって高級宿だし、そう考えるとまぁ妥当なくらいか。確かに特に戦闘とかもやってないもんな。


「わかりました。それで手を打ちましょう」


「ありがとう。あとそっちの新しい子も冒険者登録はしないのかな? 実力の持ち主ということなら、ぜひとも我がギルドの戦力になってもらいたいものだが」


「登録? どういうことですの?」


「ああ、まぁいいですよ。こっちの子はただの部下なので」


「そうなのかい? 無論強制などはしないけれど、今後もマサトキくんと一緒に行動するとなれば色々利便性も上がるからオススメではあるけどね」


「例えば?」


「例えばそうだな、まず登録をすれば当然我がギルドの一員ということになるわけだ。それだけじゃない、冒険者ギルドは国家からは独立している超巨大組織でもあるから、その一員になれたということにもなるんだ。それにギルドの情報は世界のいたるところにあるギルドの支部と共有しているから、どんどん昇進していけばそのままその優秀さが認められるということになる。社会的地位の確立というやつだね」


「ふむふむ」


「そして当然そういった肩書があれば、ギルドの活動以外のところでも便利に働くことも多くなるだろう。ある意味で実力が証明されるわけだしね。そして一人よりも複数人のほうが当然戦力としてもカウントしやすいし、依頼を発注する依頼人だったりもより安心できる。『Dランク冒険者一人とその部下』ってよりも、Dランク冒険者三人と言ったほうが戦力としてわかりやすいだろう?」


 それはごもっともだ。


「あとは色々な特典もあるしね。名刺や身分証代わりになるのもそうだし、冒険に役立つ道具の支給を受けれたりだとか、行方不明になったときに探して貰えたりだとか」


 うーん、まぁ確かにそう言われるとメリットだらけにも思える。


「どうするふたりとも」


「どっちでも良いわよ。マサトキが決めれば」


「さ、さっきの口押さえるやつ、もう一度やっていただけないですの……」


 どうでも良さそうだったので、二人も一応登録させておくことにした。




 話は以上だったようで、また何かあれば声をかけさせて貰うよという締めで解散となった。


 ハクナとレノンが冒険者登録を済ませ、冒険者ギルドを出たところでこれからどうするかという話になった。ちなみに二人は今後次第でということで、一旦Fランクスタートとなった。


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