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「う、う…………ありゃりゃ?」


 俺はよくわからない場所に立ってた。

 草原のどまんなか。

 なんだか中くらいの背丈の木が一本ぽんと生えていて、俺はその根のそばで寝ていた。

 意味不明でしゅわ。

 なんでこんな草原で寝てたんだ俺は、何が起こったんだ。


「やばいな。何がなんだかさっぱりだ。俺何してたっけ? 筋トレしてたんだっけ? 俺筋トレ人生で一回もやったことないけど、筋トレしてたんだっけ、ああ、もうわからん」


 俺が人生最大の困惑期に陥っていてると、ぶるぶるとポケットが振動した。

 なんだ、なんだってばよ。

 あれ、何だ俺がきてる服、こんな服持ってたっけ、旅人風のちょっと昔を感じる服……まぁいい、今はそんなことよりズボンのぽけっとだ。


 俺はポッケから携帯を取り出した。

 備え付けの電話の受話器部分の形態をした代物だった。


「ん? なんじゃこりゃ」


「――こほん、聞こえるかのー!」


「うお! 音が出るところからなんだか声が」


「――儂じゃよ儂。神じゃよ」


「神? ああ、そういえばさっき会ったっけ?」


「――何とぼけとるんじゃ、お主は魔王を倒さねばならんのだぞ、もっとしゃきっとせい」


「なんで神様がこんなことを……というかここはどこなんだ?」


「――たわけええええいい!! そこは異世界ジャイ! 説明したじゃろう! ほう、こうもなるかと思って転生の間際に電話を仕込ませて良かったわい。お主になにかあればこの儂が軌道修正を図ってやるからの、安心して魔王討伐のたびにいそしむのじゃ」


 ああ、そういやそんな話になってたっけ?

 俺は地球で死んで、この異世界で魔王討伐の任務を請け負うことになったんだよな。

 そんなの俺に果たしてできるのか? いや、そんなの今更考えてもおそいのかな。


「――なにも聞こえんぞ……? おーい! まさか儂を無視しとるんじゃないじゃろうな!」


「いるよ。俺の姿は見えないのか?」


「――電話にそんな機能があるか! 聞こえるのは声だけじゃ! まぁよい、目的は思い出したじゃろ? ではさっそく魔王討伐の準備を始めるとしよう」


「ええ、いきなり? もっと最初はこう異世界を散策して回るとか、文化に触れてなんだか地球と違いに翻弄されながらもしっとりしてしまうとかそういう展開から始めたほうがいいんじゃないか?」


「――魔王の脅威は迫っておるのじゃ、言いたいことはわかるが、それはひとまず我慢じゃ。なに、魔王を討伐させすればお主も晴れて自由じゃ、好き勝手遊んで生きるが良い。ほれ、地球で言うところの受験生の要領じゃ、後で楽な思いをしながら遊ぶために、今必死に勉強するのとおんなじじゃ!」


 はぁ、うそだろめちゃ急かしてくるなぁ。俺本気出さないといけないってわけ? がちめにしどいぞこれ……


「まぁ仕方ないのかなぁ。そういう運命なのかなぁ」


「――それでは正時! まずは軽い戦闘指南から始めるぞい!」


「そんなのあるのか?」


「――当然じゃ。今のお主じゃそのへんのスライム一匹倒せんじゃろうからな。お主に眠る莫大な財宝の如き秘めたる潜在能力を引き出すところから始めねばならん。それではまずは魔法を使うところからじゃな」


「魔法? そんなの撃てるわけないだろ、俺は普通の地球人なんだ。そんな非科学的なこと逆立ちしたってできるわけない」


「――それができるのが異世界なんじゃ! 異世界舐めるでないぞい! そのための異世界なんじゃからな。よーし、ではまずは深呼吸じゃ。魔法は心技体が一体にならんと発動は不可能。まずは基礎の基礎からやっていくぞい」


 深呼吸って、そんな原始的なことで大丈夫なの? 深呼吸が魔法を撃つことにどうつながるというのだろうか。もしかして俺をおちょくってるだけなのか? その手には乗らんぞ、もう適当にやっちゃお、すっは! すっは! すはすはすは! ぜぇ、ぜぇ! すはすはすはすはすはすはすは!


「――……なんだか呼吸が荒い気がするが大丈夫か? まずは精神を安定させたら、そこから体の深部に熱いエネルギーのようなものを感じ取るのじゃ。これが一番むずかしい。第六感とも呼べる感覚でこの魔力を感じ取り、それを引き出しながら戦う、それが魔法の真髄なのじゃ」


 エネルギーだって? 意味わかんないな。体の深くって、お腹の付近のことを言ってるのか? まじで抽象的すぎるてわからん、教えるの下手くそすぎないか? よくそんなんで偉そうに神様やってるのやな。まぁもう適当でいいや、お腹だから胃とかを意識するのか? うぅ、ふんばってたらなんだか大便行きたくなってきたかも、これはやばいな、ここでガチ漏らしするか? 思いっきりやってみるか? もうやるなら中途半端じゃなくて振り切ったほうがいいよな?


「やばい神様、おれもう漏れちゃいそうだよ」


「――何を言っておるんじゃきしょいな、まぁなかなかうまくいかなくとも無理はない。なにせこの世界の原住民はその感覚を掴むために十年近くにも及ぶ修行をするからの。その修業を経たとしても、魔法を扱えるようになる人材は千人に一人ほどと言われておる。まぁそんな代物を流石にすぐに習得するのは無理じゃったか。これは数日かけてじっくりと教え込んでいくしかないかのう」


 うぅ、お腹いたいついでになんだかお腹に熱いものを感じる……お腹いたいときはどちらかといえば冷やしたいのになぁ。そんなこともないのかな? 熱い冷たいとかいう問題ではなく普通に出したいよな……でもこの不思議な感覚、なんだかうまいこと取り出せそうな気が……



 ぶぅううううううん



 俺は手のひらにその熱を持ってきた。

 光る光の玉が、手のひらの上に生成された。

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