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「なんだかずいぶん複雑な依頼じゃないか。調査ってぱっとしないな。いっそのこと討伐とかにしてもらったほうがわかりやすいんだけど」


「まぁ高ランクの依頼にもなってくれば多少入り組んでもくるんだ。こういった微妙な依頼は本当は信頼のおけるCランク以上の実績ある冒険者に依頼するのが常なんだけどね、まあ現状そこまでの脅威はないということで後回しになってる節はあるし、だれかやってくれないかなで一応依頼として並べてた節はあるんだ」


「つまりそれってただ厄介事を押し付けられたに過ぎないってことのような」


「はは、そんなことないよ。現に達成報酬はすばらしいものだよ。そもそも君が一番稼げる依頼はどれっていうからそのベスト回答を言ったまでで、他意なんて発生する余地がないよ。そうだろ?」


 まぁその通りなのかもしれなかった。


「どうする? 報酬は一番いいってことだけど」


「それでいいんじゃない? ドラゴンなんてすぐでしょ。むしろちゃんと居てくれればいんだけど」


 ということで俺達はドラゴン退治(仮)に出かけることになった。



 俺達二人は街の外に出た。


「で、これからドラゴン退治に行くんだろ。でも場所は全くわからないぞ、もうハクナに全部頼んだからな」


「さっきギルドマスターの男から聞いたばっかりでしょ。まぁそういうかと思って私が完璧に覚えてきたから大丈夫だけど。昨日の埋め合わせもあるし、仕方がない、私が案内してあげるわ。どうせドラゴンのいる場所すら覚えてないでしょうから」


「なんとか山ってことだけは覚えてるぞ。とにかく高い位置に登ればいいんだろ。もう高い位置めがけれっつーごー! ですわ!」


「はぁ」


 もういい感じにいい感じだったかもしれない。

 この作戦はもう本当に完璧だと思う。

 たぶんこの方法でもちゃんとドラゴンのもとにたどり着けるとは思うけど、まぁ仕方がないから今回はハクナさんについて行ってやるとしよう。


「で、まさかとは思うけど徒歩でいくとかはないよな。流石に山登りを徒歩とかマジで無理だから。仕方がないから、俺が大型の猫になって高速で移動していくか? まぁ四足歩行はあんまり慣れてないからもしかしたら少しぎこちない走り方になるかもしれないからな、そこは覚悟しとけよ」


「よくわからないけど、そんな危ない橋渡る必要があるのかしら。まぁ……こうなったら仕方がないと言うか、ちょうどいいかしら。言った通り私なりに反省してるからね、誠意は行動で見せるべきだと思うし。いいわ、私が連れて行ってあげる」


「連れて行ってあげるってどういうことだ? もしかして走る感じなのか? 俺を引きづってどんどんすすんでいく感じなのかな? そうだとしたら痛いと思うからガチでいやなんだけども」


「まぁもう少し離れたところにいきましょう」


 俺達は近くのちょっとした林に来た。


「ちょっとまってて」


 ハクナはそう言うと俺から少し離れた位置で静止した。

 何をしようと言うのだろう。


 そう思って言うと、突如としてハクナが光り輝いた。

 そしてどんどん姿が大きくなっていく。

 気付いたときには、純白の鱗に覆われたドラゴンがそこにいた。


「どひぇえええええええええええええええええええ!!」


 俺は目玉をひん剥いて尻もちをついてしまった。


「私よ、なにをそんなに驚いているの」


「ハクナは、ハクナはどこだ! まさかお前が食べたのか! 返せ! 俺のハクナを返せ!」


「あなたのものになったつもりはないんだけど。まぁ一蓮托生でいきたいとは思ってるから、どちらかといえばありがたい言葉なのかしら」


「お、俺も食うのか?」


「食べないわよ、冗談言ってないで、さぁ、背中に乗りなさい。私が空を駆けて連れて行ってあげるから」


 ドラゴンは体勢を低くし、背中に乗りやすい高さまで下げてくれた。


「うへええええええええ!! ……まぁもういいや、じゃあまぁ遠慮せずに乗っけていってもらいますか。飛び方が雑で俺が宙に投げ出されるとかなった日には俺は確実に君を殺すと思うから」


「もちろん安全飛行でいくわよ。もしあなたが落ちるということがあれば、それはあなたの鍛錬不足ね」


 俺はハクナの背中にひょいっと乗った。

 うーん、鱗が硬い。白い鱗がすごく硬いよう。でもなんだかすべすべだなぁきもちい気もする。爬虫類を触ったときのひんやりとした感覚……だから爬虫類はやめられないんだよ。爬虫類って普通に可愛いと思うんだけど、なんであんなに人気でないのかな。もっと飼う人とかがいっぱいいてもおかしくないと思ってるんですよ僕。まぁでもペットで主流なのはやっぱり猫とか犬とかだろうから、そのへんはまぁわからなくはないって感じもするけどな。でもやっぱり爬虫類は可愛い。これだけは譲れない。まぁ俺は別に爬虫類そんな好きなわけじゃないけど。猫のほうが普通にかわいいわ。なんだよヘビとか、まじで害虫とか思ってないから。あんなの飼う人の気がしれんわ。


「…………」


 背中を撫でられてる最中なぜかハクナはじっとしたままだった。


「おい、出発しないのかよ。俺が重すぎて飛べないとか言わないよな?」


「大丈夫よ。それじゃいくわ」


 翼をはためかせ、ハクナと俺は飛び立った。この大空に翼を広げ、飛んでいきたいよ。

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