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「やぁここはギルドマスタールームだよ。すごいだろ」
俺達はギルドマスターとなのるおっさんにとある部屋に案内された。
かなり質のいい調度品がたくさん置かれていて、なんというか物凄かった。高そうなやりとかけんとかたてとかがあるぞ。
「とりあえずかけてくれたまえ。そうかしこまる必要はないぞ」
俺とハクナは大人しくソファーに腰掛けた。それなりに良い素材を使っているのか、地球にいたときにあったソファーとなんら遜色はないと感じた。
「それで俺達になんの用があるっていうんだ。ここまでしておいて、しょうもないあれだったら、本当にぶちぎれちゃいますよ」
「それなんだけどね、君たちにはできる限りこの街にいい感じに居付いてもらいたいと思っているんだ。何不自由ない生活をしてもらいたいと思ってるんだよ」
「それはどうしてですか?」
「それは君たちを取り込みたいというのが本音だね。君たちがこの街で快適に暮らせるようになってくれれば、それはそれは当ギルドへの貢献度はあがることだろう。そうなればギルドの評価はうなぎのぼり! 僕はすごくいい感じに出世していくという塩梅かな。ごめんちょっとぶっちゃけすぎたかな。これはキモイと思われるかもしれないね、ごめんね。僕はいち早く本部のギルドに食い込んでいい感じに出世していく必要があるんだよ。すごく成り上がりたいんだよ」
「はぁ、なるほどな」
ぶっちゃけるなぁ。まぁそれなら納得はするかなあ一定数。正直に言うことって諸刃の剣だと思うけど、今回はかなり刺さってる感じかな。
「それで、それを伝えるためだけにこんなふうに呼び出したのか」
「そんなまさか。君たちには融通を図りたいと思ってるんだよ。君たちみたいな強さの人間なら今のランク帯で狩りをするのはさぞかし窮屈だろ? そこで君たちが望むのであれば、ギルドマスター権限でランクを飛び級させて上げてもいいかなと考えているんだ」
「え、まじで」
それは嬉しいことなのだろうか。喜んでいいことなのだろうか。俺にはいまいちわからなかった。
「ハクナ、どう思う?」
「いいんじゃない? より稼ぐためにはやっぱりレベルの高い依頼を受けていったほうがいいと思うし、少なからず規制がゆるくなって自由が効くにようになるというのはメリットしかないとは思うわよ」
なるほど、それはそうか、確かにメリットくらいしか存在しなそうだよな。
「ふふ、話は決まったようだね。ならマサトキくんのランクを私の権限で特別に引き上げようと思う。それだけじゃない。もし何か君たちに困ったことなどがあれば、ぜひとも私を名指しで頼ってもらって構わない。どうだい? こんなことなかなかないからね普通は」
「名指しって、まだあなたの名前もよく分かってないんだけども」
「おっとこれは失礼。私はギルバルクだ。泣く子もだまるギルバルクと聞けば、思いあたるフシもあるんじゃないかな?」
いや、知らないですけど。そもそもそんなビックネームの割には全然痩せてて弱そうだけどな。なんかいろいろ矛盾してる気がして少しもやもやしちゃうなぁ。
「ギルバルクさんですね。まぁ一応覚えておいてあげますよ。それでランクの件に関してはどうなるんだ?」
「それに関してはまぁ君が今Fランクということだから、まぁ2つくらいはあげちゃっていいのかなと思うんだ。つまりDランクくらいまで飛び級させてあげようかと考えているんだ」
「うーんなるほどなぁ」
Dランク……そう聞くと別になんだか大したことないような気がしてくるんだけど。まぁそもそも俺がFランクだっていう自覚もそんなになかったし、昨日入ったばかりのよくわからない組織で昇格したってなっても全然モチベもあがらないわな。
「あれ、あんまり喜んでいないようだね、でも私としても流石にこれが限界なんだ。冒険者ギルドの規定としてもギルマス権限で認められるのはDランク以下の範囲内というふうに決まってるし、これでも最大限の配慮をしたつもりなんだよ。もちろんこれだけというわけじゃなくて、さっきも言ったように君たちに何か悩みがあれば率先して聞こうと思ってるから、それもプラスに考えてもらえるとありがたいな」
「まぁ別にいいですよ。そんなに気にしてはないといくか、これだけしてもらって感謝という思いしかありませんので」
そもそも最初は何もない状態だったのだ。それをいきなりこの人が話しかけてきてこういう状況にまでなったのだから、それは棚からぼた餅って感じでぜんぜんハッピーでしかないよな。
「そう言ってもらえるとこちらとしても助かるよ。君たちのご機嫌を損ねたくはないからね」
「まぁギルドマスターさんの誠意はすごく伝わりましたよ。それに免じて当分はこの街で狩りを続けてみようかと思います」
そもそもまだ世界についてイマイチ分かってないからな。とりあえずはこの始まりの街でいい感じに情勢やら常識やらを把握して、ある程度知識を蓄えた状態で次のステップについて考えていくでも問題ないtおもうし。当初のプランとはあまり乖離はしないはずだ。
「やー、本当に君たちには期待しているからね……それで、気になってはいたんだけど、そっちの子はギルドに登録したりはしないのかい?」
ハクナの方を見てギルドマスターは疑問を呈していた。