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 オークたちがいた。

 このうちの一体でも倒せばクエスト完了だろ? その死体を持ち帰って、とりあえず一匹でしたとか言っておけばいい。


「あいつらどこ行ってるんだ? もしかしてあの先に巣があるとかか? だとしたら一網打尽にできるチャンスだが……」


「何欲張ろうとしてるの? 依頼に集中したほうがいいんじゃないかしら。いや、でもお金を稼ぐという意味では全部狩るというのもありかもしれないわね」


「いっぱい狩ったらお金もらえるのか?」


「当然よ、魔物は人類の敵。依頼で出てなくとも報奨金はもらえるはずよ」


 まじかよ、だとしたらいい感じに追跡して、巣ごとやったほうがお金をがっぽがっぽに稼げるってわけか?


「なるほど、ナイス情報。追跡しよう」


「私はあなたを追跡するわ」



 そして俺がオークの後を、ハクナは俺の後を追って歩みを進めた。



「おい、あいつら穴に入っていったぞ。洞穴的な感じか?」


「もしかしたらあの中に巣があるかもしれないわね。でも暗いからかなり危険は多そうよ」


 確かに俺は夜目は効かない。そんな状況でつっこんでいくのはさすがに無謀かな?


「出入り口はあそこだけかな?」


「うん? さぁ、他にもあるかもしれないけど、ないかもしれないわね」


「どうせ中には入れないんだ。ここは俺に作戦があるぜ」


「危ない!」


 突如としてハクナの叫び声が聞こえた。

 なんだ、いきなり叫んでキャラじゃないな、などと思って振り返ると、俺の顔の数センチ先で矢が静止していた。空中に浮いている形だ。まるで見えない壁に刺さっているかのようだった。

 その矢がぽとりと地面に落ちる。


「え……え!?」


「何してるのよ。いや、そんなことよりあっち見て」


 ハクナが目配せした方を向くと、そこには一人分の人影が見えた。


「だ、誰? 何が起こったんだ」


「私達が狩られる寸前だったってことよ」


 俺が警戒していると、森の奥から何人かがぞろぞろとこちらに向かってきた。

 総勢四人。全員が剣なり弓なりで武装している。


「へぇ、思ったよりやるようだね」


 不敵な笑みを浮かべるのは、先頭を歩く一人の少年だ。背は低く俺よりも年下に見える。


「どういうことなんだ? 俺達を襲ってきたってことか?」


「まぁそうだね、本来こんなことを答える必要もなかったんだけどね」


「誰なんだよお前ら」


「四獣の会って聞いたことないかい?」


 なんだろうそれ……当然聞いたことも影も形も知らない。


「はは、恐れおののいてるって顔だね。そうさ、リンドの街でもナンバーワンの呼び声高いギルド。そこに所属してるだけでもすごいのに、僕はその幹部なんだよ。どうだい? ビビって泣き出しそうになったかい? まぁそんなことはいいんだ。ひとつどうしても気になるんだけど、どうやってデリルの弓を防いだのかな?」


 なんだこいつは……よくわからない組織のやつらが俺を襲ってきたってことだよな? しかもあの矢の感じ、確実に俺を殺しにきてた。


「訳がわからない。訳がわからなすぎるよ。そんなひとを襲うなんて最低の行為じゃないか、どうしてそんなことをするんだよゴミのすることだよそんなこと」


「ははは、君はいい子なんだね。あのね、世の中はサバイバルなんだよ。奪いたいものは力付くで奪う。それがこの世の摂理ってものだ」


「奪いたいもの?」


「ああ、どうして君にないついてるのか知らないけど、そっちのレディ。僕の目はごまかせないよ、君龍神族だろ? 旅と途中で出会ったことがある。確か八年くらい前だったかな? ディレクトで魔族狩りをしてたときに見たことあるんだ。その種族に間違いない」


 え? なんだ、ハクナのことを言ってる? 龍人族って言った? 確かに変な翼あるなとか思ってたけど、どっちかというと天使とかそういう部類に見えるけど……


「ハクナ、お前龍人族だったのかよ!」


「……意味分かってないでしょ?」


「世にも珍しい龍人族、しかもその外観も……うん、実に素晴らしい。君は僕の愛人候補の一人にしてあげてもいいよ。それだけの価値がある」


 少年はなんだか下卑た目でハクナを舐め回すように見えていた。えぇ、なんだかこいつ見た目のわりにませてね? ショタ系でも結構アグレッシブに攻めていくタイプのショタだな。


「さぁ、そいつとどういう関係なのかはわからないけど安心して。僕が安心安全に処分しといてあげるから。遠慮なく僕の胸元にくるといい」


 少年はもうハクナを手に入れたも同然の様子だった。


「そうか……でも俺は死ぬわけにはいかないんだよな」


 大人しく処分してやられるつもりはない。ここは戦うしかないのか?


「どうしよう。別にこいつは勝手についてきてるだけだから煮るなり焼くなりって感じだけど、俺は死にたくないぞ」


「普通はお前は渡さないとかいう場面でしょ。はぁ、まあさっき私が助けないと重症負ってたと思うし、別にあなたについてく意味もなくなってきたかも。なんか面白いもの見れそうと思ってたけど、結局なぞの魔法がすごいだけの変な人でしょ」


 ハクナももう俺のことはどうでもいいみたいだ。じゃあここでお別れってことなのかな?


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