8話
8話
美香子は揺れていた… 高校を出て18歳になれば施設には居られないことを告げられたからだった。そんな時、美香子の足はホームレス達の街に無意識に向かって居た。「大学入試なら住所が必要じゃろ」一人のホームレスが声を発すると「俺の家の住所を使ってくれ!」と、数人が申し出てくれ「廃屋だが住所はある!」と、言うもの「いやいや俺の持ってるアパートの部屋をただで使ってくれ!」と、言う者達まで、一体ここの街の住人達はどう言う人たちなのかと美香子は考えさせられた。
そして中には東京へ行くなら「ワシのマンションが空いてるから使えば良い」と、言ってくれるお父ちゃん達が大勢いたことで美香子は号泣して感謝した。そして「一体お父ちゃん達はどんな人達なの?」と、強く聞くとお父ちゃん達は「何処の誰でもないよ!美香子のおとうちゃん達やで!」と、励まされた。そして美香子は東大に合格すると街のお父ちゃんの持ち家のマンションに住み入学金やら学費やら生活費までもお父ちゃんから貰って通学している。一体、この街のお父ちゃん達の素性は。
そして街のリーダー格の山上が「美香子!東京へ行くならワシがみんなの話しを纏めて行かせちゃる!!」と、心強く言ったことで美香子の東京行は決まったようなモノだったが、街の人達って何者なのかと言う不思議な質問の答えは誰の口からも聞こえて来なかった。ただ解るのは「お父ちゃん達はただ者やない」と、言う事だけやった。そんな時、美香子は「そう言えば街に警察が来た時も警察の人達は強く出て来なかったし… 公園の横の道路の歩道なのに警察は街を撤去しなかった…」などと考えて居た。