6話
6話
そしてあれから数か月したある日の事、山上達は朝からソワソワしていた。今日は美香子が小学校へ入学する日だたから山上の仲間達も眠れない夜を明かしたようだった。相変わらず汚いホームレスの家々も今日だけは綺麗に掃除されてて清々しい春の日だった。施設から出て来る美香子を一目見ようと大勢のホームレス達がスーツを着たり羽織袴だったり中にはモーニングまで様々なふくを着て施設の門の横にズラリと並んだ。
その数は「ザッ」と、40名と大所帯だった。頭の良い美香子は40人のホームレスの顔と名前を暗記していて門から出て来るなり門の横に並んだ者達に、両手を上げてピョンピョンと飛び跳ねて満面の笑みを浮かべたが施設の人間たちのゴミでもみるような目付きなんぞ気にする者は一人も居なかった。そして美香子の跡を付けて行くと知らない間に数人の警察官がその跡を追った。
そして祭りの様相をかもした美香子騒動とは小学校の門にまで到達して施設の数人と美香子は小学校へと入って行った。この日の気温は2度だった。そこはホームレスでブルーシートに身を寄せ合い暖をとっていたが制服姿で立ち尽くす警察官達の顔は真っ青だった。そして数時間が経過して小学校から出て来た美香子は新一年生になった顔つきをしていた。