5話
5話
東京の空にフワリと舞った雪を眺めた山上は心の中に大きな穴を抱えて生きていたが、それを見ていた数人の仲間たちも居た堪れない気持ちでいたことは間違いなかった。ただそんな時だった遠くから「おじちゃーん!! おじちゃーん!!」と言う声が山上の耳をつんざいた。山上は夢かと両目を擦り大きく両手を広げるとそこには暖かい美香子の姿があったことで山上は号泣した。
聞けば山上と会おうとする美香子を施設が監禁していたようで、今日はは偶々外に出られたから逃げて来たと言う。山上のブルーシートの家の中は大勢のホームレスと真ん中に山上と美香子の姿があってポカポカと暖かかった。すると美香子が「今夜はここに泊まりたい!」と、元気よく大声で周囲を沸かしたがそれではまた警察官との話が始まると考えた山上は無念にも美香子を施設に送り届けた。
山上と美香子を囲む複数のホームレス達まで涙をポタポタと白い雪の上に流し落とした。すると突然、美香子が「おじちゃん… お父ちゃんやアタシの!!」と、言い出し「お父ちゃんやから泣いてくれてるんやろ♪」と、ニッコリと微笑んで山上を見上げた。すると同行していたホームレス達は一斉に大号泣しその涙と白い雪を交わらせた。