3話
3話
女の子の名前は原田美香子と言う5歳の子だと山下は聞かされ「美香ちゃんはなんで孤児院が嫌なの?」と、聞くとどうやら虐めっ子が居るらしく居ても辛いだけだと言う。美香子は虐めっ子の事を辛そうに話し始めたが話した事で少し気が晴れたのか山下に笑顔を始めて見せた。
「おじちゃん何で歩道に住んでいるの?」と、山下から視線を外して聞くと山下は少し困った顔して「おじさんはホームレスだからね…」と、歯切れの悪い声で美香子に話をした。すると美香子は「ホームレスッって何?」と、山下に聞き山下は困った顔して「おじさん家が無いんだよ」と、言葉を濁らせた。
「じゃあアタシとおんなじだね♪」と、美香子は山下に微笑んだ。山下は美香子の手前笑ってごまかした。すると「今度遊びに行ってもいい?」と、山下を見上げ微笑むと山下は「いや… あはははは… 汚いし暑いからもう少し涼しくなってからだね」と、歯切れ悪く話から逃げた。
山下は今までで一番の恥を美香子の前に晒した気分だった。実際、山下の家は歩道の壁際にブルーシートとダンボールで作って居てそのホームレスの家々は数十件も並んで居た。夏は酷暑で冬は極寒のブルーシートの家には美香子を入れたくなかった山下だった。