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スクラップウォーズ  作者: 作シャーク
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第五話 腕の栄養がありすぎる男

 

 栗木山はニヤニヤとした笑みを浮かべていた、その顔は自分の考えたトラップで敵キャラが死ぬのを眺めるゲーマーのようだった高下駄のストッパーの金具、その数計8つを全て外し、

高下駄をストッパーモードからスピードモードに切り替えた、


 栗木山の高下駄は恐るべき鉄島バネを内蔵している為、

ウサイン・ボルトに匹敵する速度で移動することを可能としている。


 更には懐から第二の小型の人形を取り出して右手に装備し

左手には轢鞭糸(ひきべんし)という五本の糸の鞭を装備した、

この鞭はか細い糸で絡まりやすく使用難易度は極めて高いが

か細い糸の為、視認がほぼ不可能の故に

使いこなせば余程の武術の達人でも回避はほぼ不可能という恐るべき武器なのだ。


 以上をもって栗木山総司、第二形態となる。

 

「ありがとう文夫くん…君のおかげで難なく第二形態だ」

「この形態は次善策だから使いたくなかったが…まぁ良い」

「久方ぶりに実戦実験をしたかったんだ!」


 鉄島は栗木山に目を離したことを後悔し苦虫を

噛み潰したような表情を浮かべながら距離をあっという間に0にした。

(チっ!引き出しは開けさせねぇ!先手で押し切る)


 人形と義手が今、ぶつかる。


「無駄だぁ!スパイダーネットソリティア!」


「なにっ…!?」

 鉄島の拳は宙に静止した、よく目を凝らすと糸が張られていたそう、第二の攻防一体の技その名をスパイダーネットソリティア、


 スパイダーネットソリティアとは

左手の5つの糸を固定し、時に振り回し攻撃にも防御にも自在の技、片手操作で両手で違う武器を扱ったり、両手で使ったりかなり自由度もある

が扱うには緻密な操作が可能にする高い技量の才がいる技で

一度ハマれば相手を蜘蛛の巣にかかった、獲物のように一方的に勝つことも可能という恐るべき技なのだ。


 しかし、鉄島はニヤリと笑みをこぼし、全力ダッシュし義手を連結させ、ゼロ距離ギネスパンチを打ち出した。

宙に止まった拳は糸の壁を振り払った。

緻密な操作の必要なのが裏目に出た、

鉄島バネの予想外のパワーに対応できず

栗木山、顔面を負傷!。

「ウグァァァ!?」

「はっ!鼻血が!?」


「なんだぁずっと人形を盾にコソコソしてたから痛みに弱太くんかぁ〜」


「クソ!今度はこれだ」

 ジャラリと音を立てながら栗木山が人形を構える、

人形の顔は西洋の少女人形だったが、

人形の小さいお手々の左手にはキラリと鈍く輝く待ち針、右手はマイクのようなスタンガンになっており、バチバチと音を立てていた。


(馬鹿め…俺の手は雨の日でも自分のモーターで感電しないように絶縁加工している…俺の勝ちだ)


 同時に飛山の脳にまさにスタンガンの如き電流が走る。

(見つけた!これだスタンガンだ!)

(今度は電気属性であいつ(桜田文夫)をノックアウトだ勝った)


「さぁ見せてあげよう妖精人形(フェアリードール)の恐ろしさを」

「西洋において妖精は人外、化け物ということをお前に教えてやる」


「けっ、笑いもんだぜ、妖精とかぬかして武器がスタンガンとかいう文明の利器とかよぉ」


「普通にスタンガン持ったほうが強そうだぜ!」


「ああっ!?」

 

(ラッキー!隙あり!)


「危ねぇ!」


「ッッ!?」

栗木山を挑発し視線を飛山自身に向けさせ、

鉄島に正面から不意打ちを打とうとするも

桜田の酸砲により阻止される。

酸砲をカーテンガードで鉄島をギリギリで庇うことに成功するものの

またしても一進一退、つわもの四人の間に

下手な小細工など無意味だった。


「3人とも僕のこと忘れるなんて酷いなぁ〜」


「クソが!鉄島ッ!先に栗木山を倒したい!」

「あいつのスタンガンを奪って桜田にトドメを刺す」


「…オッケー…」

(クソ、ぶっちゃけゲロ吐きヤローが思ったよりウザい!)

(酸砲は飛山の防水シートが無いとガードできないのがヤバすぎだろ!?)

(オマケにコイツは胃酸を散弾で撃ちやがるからガードしても飛び散るせいで2割くらい当たって死ぬほど痛ぇよ)

(人形ヤローを倒せても桜田も倒さなければ意味がない…やるしかない!)


 鉄島は決意を決め拳を強く握り、

飛山は横槍の集中攻撃で数の有利を画策していた。

「今度はこれだ!千手(せんじゅ)!」

 飛山はヒラヒラとシートを揺らしながら、胃酸を牽制しながら一瞬の脱力からの片手で打つ乱撃、千手(せんじゅ)を放ち牽制。


(成る程ね…また僕たち二人を分断、そして横槍で集中攻撃RPGゲームの攻略と同じ手か…)

(ならこっちも同じ手でいこうか…)

 そう考えたのと同時にまたまた酸砲を吐き出す。


 「馬鹿め!どこを狙ってる?」


 飛山は酸砲を簡単に躱し、挑発しかし酸砲が当たらないのは当たり前だった、

何しろ飛山なんて狙っていないのだから


「熱っつ!?」


「なっ!?」


「隙あり!」


「ぐぅ!」

 そう狙いは鉄島だった桜田は自分たちにやられた横槍戦法を横槍戦法でやり返したのだった

胃酸が当たり怯んだ所を斬鞭糸で追撃を食らう

人形のスタンガンを注視し過ぎていた事を読まれたのだった。


「鉄島!?」


「その手のガードは他人を庇うのに向いてないよね?…」


「こっちも横槍戦法使えば僕のほうが上手だよ」

「手軽な遠距離持ちでこっちは放射線運動を描く曲射撃ち、素で読みにくい足狙い、風を利用すればカーブを撃つことも出来るそれも視認しづらい透明な胃酸でね…」

「防戦一方で…高難易度なのにたった数回のミスで君等は負けるんだよ…」


「っ!?…」


 圧倒的な特殊能力の強さだけで戦術をコピーするだけで簡単に盤面はひっくり返されてしまった。

飛山は冷や汗をかき

桜田はニヤニヤとほくそ笑んでいた。


「舐めるな!」

「俺が速攻すれば勝てるんだよ!」

「喰らえ!ギガルショット!!」


「スパイダーネットソリティア!」

 最強レベルの遠距離、ギガルショットを放つ

しかし止まってしまう、まるでトンボが蜘蛛の巣に引っかかるように、冷や汗をダラダラとかきながら栗木山は糸を蜘蛛の巣状に張り巡らし防ぎ切って見せたのだ、


「ハァハァ…届かないね…さっきの二段撃ちでゼロ距離ならともかく一発では崩せないよ」

「さっきのように二発目にゼロ距離以外なら問題無いようだね」

(死ぬかと思った…)

「君の十八番が通じない以上君に勝ち目は無い…」

敗者の宝石ブラッディ・ダイヤモンドは隙が無いと使えない以上君は終わりだハァハァ…」


「隙ありィ!」


「危ねえ!」

 鉄島への硬直狩りの酸砲を間一髪防水シートででまたしても防ぐ飛山は焦っていたツーマンセルの勝負をどんどん慣れて成長していく2人に!果たして飛山の起死回生の策は間に合うのか?


「…仕方ない…」


「降参かい?」


「レベルを上げる…馬力を4馬力までにな!」

「俺は義手なんでな手加減は出来んぞ!」

「大怪我しても金は出さないぞ」


「ファッ!馬鹿な!300キロのパワーだぞ!片手でッ!?」

「さっき馬力は!?」


「二馬力」


 圧倒的な力に歯ぎしりしながらも、視線を地面に落とし、ニヤリと笑みを浮かべた。

(フッ勝った確実に先手で勝てる)

(火力が異常に高いのはコチラも同じこと)

妖精人形(フェアリー・ドール)に仕込んだスタンガンは全力モードに切り替えれば…どんな

大男も失神(落とす)ハズだ…勝ったな)

「終わりだ!」


「お前がなぁ!」


 お互いに叫びあいながら栗木山は高下駄に仕込んだバネによる高速移動のサイドステップで撹乱する


「流石は俺と親父で作った鉄島バネ凄いスピードだ!」

「だが俺は腕の栄養が足に入ってるから異次元の健脚なんだよ!」


「かかったなダボがぁお前は俺の罠にかかったんだよぉ!」


 栗木山は胃酸で出来た水溜りに人形のスタンガンを押し当て、電撃の遠当て攻撃が炸裂した。

その技の名は|妖精魔剣(雷)《フェアリーソード(イカヅチ)》

鉄島は水溜りに誘導されていたのだ。

流石の鉄島の電撃で悶絶する。


「アッアッアーー〜〜!!!」


「フン…義手にはモーターが仕込んであるんだろ?だから電流が体に流れないように絶縁体が仕込まれている」

「だからフェアリードールに突撃出来たんだろ?」

「だからこそ足元が留守になると思ったのさフハハ!?」


「よく分かったな?…俺の義手に絶縁体があることを…」


「馬鹿な!何故!改造スタンガンを耐えれる!??」


「俺は腕の栄養が体に入ってるから精神力も強いんだよ」


「どぅ〜いう理屈だぁ〜!」


「あっ!?筋肉あれば痛みも弱まるし!疲れにくいから精神が消耗し辛いんだよ!?」


「チクショー!妖精の針槍(フェアリースピア)

 妖精人形の手に仕込んだ待ち針をキラリと光らせながら空を舞い襲いかからせた。

最後の攻防が今、始まる。


「針なぞ、効かねえよ!俺の義手は特殊合金だぁ!」


「しくじったなぁ!妖精人形は囮だぁ!」


(!?)


 妖精人形はブラフだった!

妖精人形を捕まえた瞬間、栗木山は糸を右腕の義手に絡ませ関節を固めてしまったのだ。


「これで右腕は使えなくなったなぁ!」


「バカが!手が2つあるのも知らんのか!?」


「ここで俺の高下駄のバネが火を吹くんだよ!」

 高速の高下駄なステップで鉄島がガード出来ない右側面のポジションに亜高速で回り込んだ。

「終わりだ!轢鞭糸(ひきべんし)!」

「鞭攻撃はやばいぞ!史実ではたった20回鞭に打たれただけでショック死した事例まであるからな」

「それを頭にモロだぞ!?」



 轢鞭糸ひきべんしの直撃を喰らい、頭から血を流しながら血を拭い払い鉄島は怯まず叫んでみせた。


「ハァハァ効かねえよ!俺は腕の栄養が頭に入ってるから石頭になんだよ!」


「ウオォォォ!!!お前!どんだけ腕の栄養あるんだよぉ!」


「今度こそ終わりだぁ!ギガルショット!」


「クッ!スパイダーネットソリティア!」


「馬鹿がぁぁぁ!!!止まらねぇ4馬力だぞぉぉ!」


(馬鹿め!隙を少し作れれば十分!2連撃は撃たせない)

「驚愕しろ!」


「なっ!人形が!?」


 妖精人形フェアリードール第三の機能が炸裂した、妖精人形にはビックリ箱と同じような仕組みが備わっていたのだ、もちろん使われているバネは鉄島バネだ。

 

 妖精人形はヘビの如く鉄島の頭目掛けて襲いかかった。



「あがぁぁぁ〜!!!」


 鉄島は悶絶し、妖精人形の顎に仕込まれている鉄を超える硬さの合金の牙が頭に刺さり、頭からは鍾乳石に滴る水滴のように血が滴った。


「これで終わりじゃないぞ!」

「フェアリードールの頭には単三電池が仕込まれている」

(ホントは単一を仕掛けたかったが威力は十分なハズ!?)

(音声入力で殺せと言えば電流が流れる!流石に終わりだ)

(頭だぞ頭!?)

「殺せ!妖精人形(フェアリードール)!」


「ヴッ!?」

 「痛ってぇ!痛ってぇ痛てぇなぁ!」

「ぶっ殺すぞ!」


「チキショォォォ!?どんだけ腕の栄養あるんだよぉぉ」


「当たり前だぁぁ!」


「うっわぁぁ!?」


 栗木山は最後の抵抗を試みた高下駄のバネの力を開放しての全力のゼロ距離シュートを放つ、その技の名は

怪人鉄脚(ジャックシュート)

ボルト並のスピードを出せる特性高下駄の蹴り

元世界1のボルトの足に蹴られる様なもの、

余程の力自慢すらワンパンするには十分すぎる火力、演技も十分

渾身の不意打ちが今、決まら………無かった。

 腕の栄養が頭脳にも行ってるため騙し合いすら強かった。

 真の鉄拳を持つ鉄製魔人、鉄島賢

蹴りが来ることすら読んでいた。


「そんな技如きに死ぬかよぉー!」


(あっ…終わった万策尽きた…死んだ…)


 鉄島の4馬力パンチは怪人鉄脚を破り、

不幸に高下駄のバネのせいで空にかち上げられ

地面に激突し、ボロ雑巾のように落ちたのであった。

 今までの全ての戦いを無傷で勝った男

人形儡り(にんぎょうぐり)の栗木山総司は

今、この日一敗地にまみれたのであった。

鉄島賢の勝利である。


(ありがとう…この世界最強の義手じゃなければ負けていた…)

(ありがとう…親父…マイクおじさん…マイケルおじさん…ケリー!!!!のおっさん…)

 鉄島は親父と遠いドイツの3人に想いを馳せたのであった。


「えっー!?負けたの!?なんでぇ!」

 桜田は驚愕し、倒れた栗木山に目を取られてしまったその隙飛山は逃さなかった。

飛山の自作暗器裏打ち(うらうち)が弁慶の泣き所を狙い打ち込む。

桜田、涙を流しながら悶絶!。


「お前によぉ〜スタンガンより良いトドメを今思いついたぜ!」

 飛山が叫んた瞬間、防水シートを雨で濡れた傘の如く、振りまわし溜めに溜めた胃酸を思いっきりぶち返した。

これが飛山がスタンガンの代わりに見つけた必殺の策だったのだ。


「ツツツツツ!?」


「更に!」


 飛山は悶える桜田に向かって走り桜田の膝を踏み台に顔面に膝蹴りを叩き込んだ。

その技の名は閃光魔術シャイニングウィザード

リアルにある必殺技として最強の技だ。


「ウッギャアァァァ!!?」


「「やったか!?」」


 飛山が最後に放ったカウンターとシャイニングウィザードを喰らい、ダメージ、痛み、初めての友が負けた精神ショックか重なり酸砲酸手の桜田文夫はやっと沈んた。



「スタンガンを盗もうかと思ったが要らなかったぜ!」

()()()やられてから急に弱くなったなコイツ…」

「ハァハァ、ハァ〜よくもまぁ意味不明な理由で襲ってきやがったなぁ〜死ねや!」

 

 ブチにブチ切れた飛山は残虐な死体蹴りを放とうとする。

しかし結局、蹴らなかった。

急に蹴る気が失せたのだ。

脳裏に一瞬、初めて友達が出来たとかいきなり言い出す桜田の顔が過ったから

飛山自身、自分の心境がよく、わからなかった。


 桜田の顔は胃酸で溶けてはいなかった。


「なんだぁ…お前も意外と甘い男だな」

 

「お前もな」


 勝った二人は負けた二人を川の近くの木陰にポイッと捨て、怪我の言い訳を考えながら夕日を見ながら

帰路についたのだった。









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