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ハーレムだがノットイージーモードの文芸部!  作者: なしあじ
Chapter-01 出会いとvs.生徒会長
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P.007 文芸部顧問について


〈放課後小話〉


 放課後の掃除タイム。至る所掃除機の音なり男子たちのリアクションなどで騒がしい。そんな喧騒を横目に、俺は廊下の窓ガラスに身体を重々しく委ねて、スマホとにらめっこー

「おっす篤哉!」


「おっーす。」


 陽気にやって来た弥に対して、この塩対応ぶり。長年の付き合いがあるからこそ許されるのである。


「今日俺部活ねぇし帰ろうぜ?」


「悪いな弥、この後二者面入ってるんだ。先に光とでも帰ってくれよ。」


 我が高校、新年度開始から1ヶ月半経つと担任と生徒一人一人とで放課後に面談を行うという期間がある。表立った目的は生徒の不安や疑問を共有したり進路についての考えをヒアリングする、というものらしい。もっとも俺にはそんなことよりもやることがあるのだが。


「えぇ......絶対マウント取られて殴られるわ......」


「いやお前が光の癪に触る行いを改めればいいんだがな?おっと......」


「どうしたよ?後ろになにかーおっと......」


 不自然に発言を止めた俺に影響され、弥が振り向いた先には件の人物、光が。予想されるここから先の流れがもはや予定調和、様式美と化しており俺は今にも噴き出しそうだ。


「高丘弥、あんたまた何か......」


「光お嬢様!お荷物を」


「媚びへつらいはいい吐けっ!」


「イエッサー......」


「あとそこ、堪えようとしても笑ってんのバレバレなのよ。」


「はいすみませんッ!」


 油断していたところに光の急襲がやってくる。下手なことを言えば精神的に全治3日の傷を負うことになるため、平謝りする他には道はない。


「さて、掃除と行きましょうかね。弥、来なさい。」


「は?掃除ってお前、そんな帰る準備整えてるのにか?」


「あんたはホント脳内お花畑ね。」


 某見た目は子供の科学者のように光が囁くと、その次には弥の肩に手を軽く添えて一言が続く。


あんた(・・・)を掃除すると行きましょうかねぇ。」


「ははっ、光さんそんなご冗談を〜」


「いや弥、未だかつて光が冗談だったことあるか?」


「いやぁそんなのあるわけ無いじゃないっすか〜」


「行くわよクソガキ。」


 光の語気がさらに強くなった。また不用意な発言をしてしまい、完全に弥は悪手を踏んでいる。そして弥はこちらを子犬のような眼差しでこちらを見る。


「なぁ篤哉ぁ〜」


「悪いな弥、今からの面談は一人用なんだ。」


 助けを請う弥であるが、光からとばっちりを喰らいたくもないため、骨と川の人お得意の文句でそれを受け流す。掃除当番が無い人間に待ち受ける末路は、自らが掃除されることだったのである......



「あっそうだ。」


 何か思い出したように光が回れ右をしてこちらに舞い戻ってきた。つい身構えてしまう。


「なによ......」


「別に......んで何だ?」


「昨日短歌の方少し書いてみたから、夜少し見てもらいたいなって。」


「あぁそれか。ちょうどいい、こっちも少し練り直ししたから見てくれよ。」


「良いわよ、じゃあまた後で。」


 内容は業務連絡だった。文芸部各位、絶賛提出のための作品を制作中であるが、コンスタントに互いの途中経過をチェックしている。光との業務連絡も、その一環である。


 各種の嵐も過ぎ去ったころ、教室では二者面談が始まる時間となっていた。



〈顧問も大変イカれとーよ〉


「はいはいいらっしゃい南原ー。」


「失礼します。」


 自分の教室なのだから『失礼します』という言葉も不要であるとは思うが、今から一対一(サシ)で話し合う空間になるかと思うと、なんとなく普段の教室が異質なものに感じられる。


「さて......そろそろ5月も末だけれども、調子はどうよ?高校生活慣れたけ?」


 俺が席に着くや否や、担任・寺矢 千種(てらや ちぐさ)は軽い口調で話を切り出す。


「そうですね、もうすっかり。」


「ほう〜それじゃあそのままの調子で頑張っていこう。」


 最初は、まぁ淡々と進む。男性の割には比較的高い声、コミュ力高めの運動部にいそうな先輩という特徴以外は、全てが平々凡々と言えよう。


「進路とか、将来とかはどう考えてたりするんかね?」


「まぁあまり明確なビジョンがあるわけでも無いですけど、とりあえず家庭の方針として国公立であるのと、就職のためにそれなりにネームバリューと偏差値があれば問題ないだろう、ってところです。」


「そうかそうか、まぁそういうことならしっかり計画立てて、勉強頑張って!」


 俺の、下手をすれば無気力とも取られかねない目標に対して、あくまで先生は肯定も否定もすることなく、実直に俺に激励を投げかける。


「まぁ......どこかの先生が星谷先輩に情報流した所為......おかげで思い描いていたライフコースが乱れつつありますけどねぇ!」


「おっとついにバレてしまいましたねぇ、ほんま草。」


 ついにというか、勧誘の段階でバレていた、というように訂正をしたい。そしてシンプルに草を生やさないでほしい。笑い事であるかもしれないが笑ってはいられない。

 

 そしてここで互いの化けの皮が剥がれたことで、担任と生徒がいる場から、悪徳業者とその被害者がいるような場に教室が変貌していく。


「成り行き上今ある懸案が解決するまではやりきりって決めましたけどね......いくらなんでも成績情報横流しはまずいでしょう!?」


「いいかい南原、世の中バレなきゃ犯罪じゃないわけでなぁ?」


「いやだから俺にはバレてるんですって。というかそれ教師の発言なんすか。」


「教師にもいろんな形があっていいじゃのいか、人間だもの。ちぐを。」


「う......」


 心からの『ウゼェ』が漏れ出るところであったが、舌を噛み切るような思いで堪える。世の中舐め回しているような表情と発言......ヤベェ人材を教育委員会が野放しにしているようでならない。


「まあまあ、星谷のような信頼に足るやつに情報を流しているのであって、そうじゃなかったら俺も情報流すのは慎むわけよ。」


「いや......」


 再び真面目な雰囲気で語る。内容は確かに一理あるのかもしれないが......リスクヘッジを確実に行わなければならないであろう社会人として、その方針はいかがなものかと考えてしまう。とはいえ、それを今さら必要以上に糾弾することが建設的ではないのもまた事実ではあるが。


「まぁ分かりましたよ......もうやめてくださいよ?」


「御意!」


 これは後悔も反省もしていないわ。そう悟って応答する気も失せた。


「それにしても、こんな感じで無理矢理勧誘したのによく入部してくれたよな。」


「まぁ、さっきも言った通り成り行き上そうせざるを得なかったので、仕方なしです。」


 先生や先輩たちから強い圧力があろうとも、結局どうするかを決めるのは俺自身である。まどろこしく不平を述べたところでライフコースを乱したのは他でもない、俺だ。


「アレだろう?眞名田の部活財政改革。」


「えっ、なんですそれ?」


「あぁそうか......いや、生徒会長の眞名田、去年の会長選挙で『部活動予算の有効活用のために今年実績を出せていない部活は来年度になったら即刻廃部』、だなんて公約を掲げて立候補したんだわ。」


「へぇ......」


 数日前の会長の主張と全く同じ内容である。実行力があるという意味では評価に値するだろうが、やはり強引だ。


「それで、昨年度実績が出せなかったから会長に目をつけられていると。」


「生徒会でなにかとゴタゴタがあったらしく、正しくは今年度の4月までに、ということにはなったんだがな。まぁそういうこと。」


「なるほど......」


「ただ、いくら予算の有効利用とはいえ、1年実績を出せないから廃部というのもちとやり過ぎな感じはするがね。」


 初めて先生と共感を覚えた。聞くところによるとうちの高校は毎年実績を残している部活が大多数ということで会長もその公約を掲げるに至ったのだろうが、どう理屈に準えて考えても基準が厳しすぎる。なぜそこまで強硬するのか......分からない。

 

「コンクール作品の提出締め切りは6月入ってすぐだよな。大変かもしれんけど、一丁(いっちょ)部活存続させたってーや!」


「それはもちろん。やれるだけのことはやりますよ。」


 俺が先陣を切って戦いに臨んでいる以上、無理矢理な勧誘の末の入部などは気にしていられない。少しぶっ飛んでいる先生とはいえ、先生と意志を共有できたのは心強い。そう噛み締めて、俺は席を立った。

気晴らしとか言いつつ、気づけばまたもや次の話が完成してしまっていたのは俺だ。勉強せぇ。


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