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ハーレムだがノットイージーモードの文芸部!  作者: なしあじ
Chapter-02 文芸部員と過ごす夏の日々
15/39

P.014 夏をエンジョイする前の話

前回P.013

https://ncode.syosetu.com/n8364gl/14/


〈生徒会会長代行・星谷悠李〉


 相も変わらずじわじわと照りつける日差し。しかしそんな日差しともこれからしばらく真っ向勝負をしなくてよくなる。なぜなら、今日は夏季休業前最後の登校日なのだから。俺は少し心躍るような気分がするのみだが、周りはもはやフェスティバル。なんと現金なことか。


 今は休業前集会。さながらサウナのようなアリーナに全校生徒を押し込むことでさらなる地獄へ。本当に学校というものは、フレキシブルさというものを知らない。


 さて、校長講話、部長講話など冗長で退屈な式次第の前に......あの人が取り上げられる。


「任命書、星谷悠李。あなたを桜ヶ丘高等学校生徒会会長代行に任命する。」


 会長ーいや、眞名田前会長との口撃後、生徒会本部会での決議を経て正式に会長職罷免となったそうだ。そのニュースは全校にとってショッキングなもので一時騒然となっていた。


 そして、現在の役員の任期満了の9月まで、眞名田を糾弾した副会長−星谷悠李が代行を務めるということになった。ただ、部の2年生によれば、10月からの新体制でも星谷さんは会長になるだろうということらしい。

オフィスにて眞名田を問い詰めたときには氷のようであった星谷さん。だけれども、普段は誰に対しても等しく情に厚く、それでいて不公正には厳しい、のだそう。話を聞く限りでは確かに生徒会長として皆に受けそうなキャラクターと言えよう。実際にその有り様をこの目で見たのだから。


 しかし、心の片隅で星谷さんを信用しきれていない俺が存在するのは事実だ。理由の一つは、好まれるキャラクターの裏にはおおよそ決まって、それを凌駕するような打算的で、悪役じみたキャラクターを孕んでいること。ただしこれはあくまでも俺の偏見にしか過ぎない。根拠としては全く機能しない。


 理由二つ目が重要だ。純粋に感謝を伝えた部長、つまり星谷さんの姉を冷たくあしらったこと。家族の問題も絡んでいるだろうから俺がとやかく考えていいことではないかもしれないが......部長のようなまっすぐな人間をいい加減にするというのは、生徒の(おさ)としていかがなものか。そう思ってしまう。


「こんにちわ、会長代行に就任した星谷です。9月末までの3ヶ月の任期にはなりますが、クリアーな生徒会運営を心がけて文化祭などを成功させていきたいと思っていますので、応援のほどよろしくお願いいたします!」


 校長による任命書授与の次は会長代行就任のあいさつが執り行われていた。『クリアーな生徒会運営』の一言で、周りの生徒たちが一瞬3年生の整列部に目を向けたようにも感じる。眞名田の残した負の遺産はこうしてヤツの首を絞めているということが分かるだろう。


 そして星谷さんは前任者同様、堂々と胸を張って力強く演説に臨んでいる。姿そのものは、リーダーとして申し分ないのだろう。


 それでも、俺の心からは怪しさを拭いきれない。俺たちステージ下の生徒たちにまっすぐな視線を送る人間は、何を考えているのだろうか。1人の関係者、関わった部のメンバーとして、彼の顛末を見届けることになりそうだ。



〈夏休みエンジョイ勢のプランニング〉


 夏休み前のホームルームも終わったところ、部長から招集がかかった。


「全員集合してもらえてとても助かるよ。早速だが寺矢先生から資料をもらったからそれに目を通してほしい。」


 全員がソファなりデスクなり定位置につくと、部長は食い気味に俺たちへ行動を促す。


「今年もやるんですね!」


「いいですね〜、楽しみぃ〜!」


 2年生ズは資料の内容を目にして、懐かしむように喜んでいる。俺も見出しを読んでみる。


『〜文化祭号缶詰め合宿について〜』


 しかし当然ながら、俺たち1年生はなんのことであるのかさっぱり。いや見出しを読めばおおよそ何をするかは分かる。それでも2年生のしみじみとしている様子の理由は計り知れない。


「1年生は初めてになるが、我が文芸部、今年も缶詰め合宿をする!」


「さ、さいですか。」


 テンションと拳を高く突き上げる部長に若干の困惑を覚えてしまう。缶詰め合宿と聞くと、液晶画面と対決してばかりで、先輩たちが喜ぶほどの良いイメージは思い浮かばない。というか......


「正直、缶詰めで作品かくってのもあまり効率的でないと思うんですが。」


「篤哉くんそんな正直に......」


「私もちょっと思います。自分のペースでかいたほうがいいものに仕上がりそうな気も。」


「ちょっ、光ちゃんまで......」


 缶詰め執筆が合う人ももちろん存在するだろうが、多くの場合缶詰めをやると時間と共に執筆効率は下がっていく。合宿まで催して缶詰めは果たしてどうなのだろう。


「もちろん南原君や本荘くんの考えも分かる。しかしだね......個人でどこかに閉じこもって缶詰め執筆することと、我が部の合宿とでは全く違うのだよ。とにかく一度行ってみればわかるだろう。」


「そうだよ〜、みんなの思ってる以上にたっのしいよぉ〜」


「あぁ、執筆するだけじゃないからいろいろと楽しめるぞ。それに個人的にも、今年はかなり楽しめそうだしな!」


 こうも先輩たちの圧が強いと缶詰め合宿に否定的な俺や光は簡単に気圧されてしまう。若干1名、俺の方に目を向けて不敵な笑みを浮かべる者もいるが......ひとまず、騙されたと思っての気持ちで取り組んでみた方が良さそうだ。


「ところで俺唯一の男子ですけど、それでも楽しめますか?」


「それは...................まぁ楽しめるんじゃないかな。うん。」


「だいぶ長い間があったんですが!?逆紅一点だと厳しいんですか!?」


 なお残る懸念について部長に尋ねてみたが、こちらについては部長の回答の歯切れわろし顔も背けられてしまう。男一人対女子五人って、どう転んでも孤立する未来しか見えない......!


「それと、缶詰め執筆のための合宿ではあるが夏休みの課題を進める時間も取るから忘れないようにしてほしい。」


 俺が燻っている間に部長が補足説明を始めてまとめにかかってしまっている。どうやら合宿期間中は、俺の基本的人権は剥奪されてしまいそうである......




「私から以上だ。次に寺矢先生の与しない海への小旅行について楠見くん、説明をよろしく。」


 あれ、また俺が疎外感を感じそうなイベントが......


「は〜い!1年生は初だけどね、缶詰め合宿の前にみんなで海に行って遊びま〜す!」


 合宿の説明を始めたときの部長同様、楠見先輩も実に楽しそうな雰囲気を醸し出している。ただし告げられたイベントは部長のものよりも、俺の戸惑いの度合いが、事案であるッ!


「いや合宿は百歩譲って分かりますよ?海って、それこそ本当に必要なんですかッ!」


「さっきからゴチャゴチャうるさいぞ南原。」


「いや理不尽!」


 合宿は寝食を共にする(無論寝ることに関しては別であるが)ということもあるからやるだけの意義は十分にあるだろう。しかし、部活の仲間と、それも俺以外の女性陣と海へ行くだなんて、意義あるものだろうか。そもそも......陰寄りの人間に海はハードルが高い上、女性陣について変に想像してしまって恥ずかしい。


「篤哉アンタ、変な想像してるんじゃないでしょうね。」


「南原、こんなに冷房が効いているのにそんなに汗をかくとは何事だ。」


 光は下から俺の顔を見つめ、椛島先輩は横顔を鋭く見つめる。二方向から攻められて焦りが加速する。釈明をせねばという意識に駆られる。


「そ、そんな想像なんてしてませんよぉ?」


「篤哉くん、鼻から血が......」 


「えっ」


 なんと俺はバカ野郎なのだろうと、強く思う。戸惑いを隠せずいると、ティッシュ箱が椛島先輩のもとから文字通り飛んでやって来た。放物線を描いて。


「あたっ、あ、ありがとうございま」


 額にヒットして落ちるところをどうにかキャッチできたのだが、それを見届ける椛島先輩の視線が、まるでゴミを見据えるようである。嫌なほどにデジャヴである。数日前のまりあへの粗相と違って、今回は俺が自制できるはずであったからそんな視線を向けられても被害者面はできないが......


 当然、椛島先輩が俺に対してこのようになっているということは光も......そういうことである。今回の光はどちらかというと穢らわしさを感じるものに対して悍ましさを抱いているような視線、ってこんなことはどうでもいいのだ!


「部長!」


「まぁまぁ南原君。こればっかりは私も合理的には説明できないが、いいじゃないか。ひと夏の思い出はたくさんあっていいだろう。」


「そうだそうだ〜、私も篤哉くんと思い出作りたいなぁ〜?」


「篤哉くんは、私たちと海に行きたくない?」


「うっ......」


 先程までの光や椛島先輩と違って、はにかみ笑いや甘い表情、上目遣いなど種類豊かな優しさと、誘い文句を部長たちから浴びる。つくづくこういう表情や優しさに弱いなとひどく感じる。


「そりゃあ、嫌じゃないですよ。だけど、女子が大多数の中で俺だけ男なのに、むしろみなさん嫌なんじゃないんですか?缶詰め合宿の方も含めて。」


「そういうことかい。ならば安心してくれ南原君。私たち女子が嫌だったらそもそも君のいる前で話したりしないさ。それに先生がいるかいないかの違いはあるがいずれも部としてやるもの。そこに男も女も関係ない。そうだろう?」


「いや、それはそうなんですけど............分かりましたよ、みなさんがよろしいなら。」


 部長の説得と実直な眼差しに押し負ける形となった。俺がかつて邪気を感じたことがあるとは思えないほどに、部長は至極純粋な人間である......


「みんなもそういうことで良いだろう?」


 部長が瞬く間にオフィスを見渡して、部員たちの意思確認。全員、首を縦に振ったりイエスを口にしたりなど肯定の反応を示した。


「だそうだ南原君。」


「オールオーケーです......」


「あぁ。では、説明を続けてくれ楠見くん。」


 そういうことで、俺も女性陣に随行することが改めて決定。何事も無かったかのようにミーティングに戻る。いや全員快くオーケーであるならもはやなんでもいいのではあるが、ただ一つ、当日俺の理性がどこまで保つか。これだけは心配である......

サブタイのルー○柴みがマッハ。そして次回は水着回か?イエス、水着回。(某クリニックのCMのノリやめれ) どうぞよろしくお願いします!


☆☆お読みいただきありがとうございます。ブックマーク・お気に入り登録よろしくお願いします!☆☆

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