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赤髪の女勇者アンナ ~実は勇者だったので、義妹とともに旅に出ます~  作者: 木山楽斗
第六章 獣人達の王

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第91話 修行を終えて

 アンナ達は、教授の家にある地下修行場で、修行を行った。

 各々、教授に何をするか言われて、それを実行したのだ。


「さて、皆、これで僕の課題は終わりだ」


 今は全員修行を終え、地下修行場から出てきており、教授の前に並んでいる。既に、出発の準備もできており、教授からの最後の言葉を授かっているのだ。


「これで、これからの戦いをより有利に進めることができるだろう」

「はい、ありがとうございました、教授」


 たった一日程度の修行だったが、アンナ達のレベルは上がっていた。これで、次なる戦いも有利に進められるはずだ。


「アストリオン王国の王都、ネプロミスまでは、まだ少し時間がかかる。道中、気をつけるようにね」

「はい!」


 各々、別れの挨拶を交わし、教授の家を後にする。

 次にアンナ達が向かうのは、アストリオン王国の王都だ。そこで、狼魔団との戦いが待っている。


「それでは、教授、お元気で」

「ああ、頑張ってくれ」


 最後にアンナがそう言い、勇者一行は教授の家を去っていくのだった。





 アンナ達は、アストリオン王国の王都に向かっていた。

 アンナとカルーナは、御者席に座り、馬車をコントロールしている。


「ねえ、カルーナ?」

「うん? 何?」

「カルーナの修行って、どうだったの?」


 そこで、アンナはカルーナにそんなことを聞いてみた。

 地下から出てきて、すぐに出発の準備をしたため、アンナ達はお互い、修行の成果がどれ程だったか知らないのだ。


「うん。なんとか消滅呪文(フレア)を使えるようにはなったよ。すごく小規模でしかないから、まだまだだけど……」

「そっか、それなら、よかった……かな?」


 アンナの質問に、カルーナはそう答えてくる。

 カルーナは、新たなる魔法消滅呪文(フレア)の修行をしていた。それが小規模とはいえ、使えるようになったのなら、しっかりと成果は出ているようだ。


「お姉ちゃんは、どうだったの?」


 次にアンナは、カルーナから逆に質問される。

 カルーナも同じ条件なので、それも当然だ。


「うん。聖闘気がほぼ自由に出せるようになったよ。これで、次の戦いでは、聖闘気が活用できると思う」

「そうなんだ。それなら、よかったね」


 アンナは、教授との特訓で、聖闘気をほぼマスターしていた。

 こちらも、しっかりと成果が出ているのだ。


「……」

「……」


 そこまで話して、二人の姉妹は黙ってしまう。

 その原因は、教授から受けた言葉にある。

 教授は、愛によって人は強くなると言った。そして、それを深めれば深める程強くなると、力説していたのだ。


 その言葉の説得力は、教授との修行で増していた。なぜなら、教授が優れた指導者だと、二人が知ったからだ。


 二人にとって、愛を一番抱いているのは、お互いである。そのため、その人物と愛を深めるには、どうしたらいいか考えているのだった。


(お姉ちゃんと……)


 カルーナの方は、既にその答えに辿り着いている。なぜなら、それは毒魔団との戦いの後に気づいたことと一致しているからだ。

 しかし、カルーナはまだ勇気を出すことができなかった。この状況でも、怖いものは怖いのである。


(カルーナと……)


 一方、アンナはまだ何も考えられていなかった。

 今でもかなり愛しているカルーナと、どう愛情を深めればいいか、答えが出ていないのだ。


「アンナ、カルーナ」

「うん?」

「え?」


 そんな二人の思考を、遮る声があった。

 それは、ガルスの声である。

 ガルスは、馬車の窓を開け、アンナとカルーナに話しかけてきたのだ。


「ガルス、どうかしたの?」

「ああ、少し嫌な予感がして、それを伝えておきたくてな」

「……何か、あるんだね?」


 アンナは、ガルスの言葉に表情を変える。

 ガルスの予感は当たるため、聞いておきたいと思ったのだ。


「大きな気配を感じる……」

「大きな気配?」

「ああ、アストリオン王国内に、かなり強い奴がいるようだ。この気配、恐らく、ウォーレンス以上だろう」

「ウォーレンス以上……か」


 ガルスが感じたのは、狼魔将ウォーレンス以上の力を持った者の気配らしい。

 それは、かなり恐ろしいことである。敵側の最高戦力であるウォーレンス以上の力を持つ者が、魔族側にいるとなると、かなり厄介だろう。


 味方側にそれがいるのならありがたいが、ガルスの予感からして、まともなことにはならなそうだった。


「……俺の予感が、外れていれば、いいのだがな……」

「うん、ありがとう、伝えてくれて……」

「ああ……」


 それだけ言って、ガルスとの会話は終わる。


「お姉ちゃん……大丈夫かな?」


 そこで、カルーナがアンナに心配そうな声を出す。

 一連の話で、不安を覚えたようだ。


「大丈夫……かどうかはわからないけど、気にしすぎても駄目だ。今は、先を急ごう」

「……うん、そうだよね」


 アンナ達は、漠然とした不安を抱えながら、王都へと足を進める。

 この先にどのような敵が待っていても、アンナ達がやることは変わらない。全力で戦い、勝つだけなのだ。

 ただ、この発言は、気を引き締めることに繋がるのだった。

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