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赤髪の女勇者アンナ ~実は勇者だったので、義妹とともに旅に出ます~  作者: 木山楽斗
第五章 水面に映るもの

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第76話 心強い援軍

 カルーナは、オルフィーニ王国の中心都市ブームルド内を駆け抜けていた。

 カルーナの目的は、都市を浸水させている即席(インスタント・)水没器(ウォーター)を破壊することだ。

 水魔団の兵士には、なんとか見つからず、目的地まで着くことができた。あまり、この辺りには、兵が配置されていなかったようだ。


「あれは……!」


 走っているカルーナは、青い球体を捉えた。

 あれこそが、即席(インスタント・)水没器(ウォーター)である。


「あの! 助けて……」

「……人間?」


 その近くには、若い女性が立っていた。その人物が、カルーナを呼んでいる。どうやら、助けを求めているようだ。

 

「待って……?」


 そこで、カルーナは違和感を覚えて、足を止める。

 この都市に住んでおり、魔族の手から逃れた人間が、こんな所にいるだろうか。少なくとも、隠れていると考えるのが普通だ。


「どうしたんですか!? 助けてください!」


 よく考えれば、周りに魔族がいないのもおかしい。

 即席(インスタント・)水没器(ウォーター)の護衛に、一人や二人くらいはいるはずである。


「あなたは……何者?」

「ふっ……」


 カルーナが放った言葉に、女性は笑う。

 それは、邪悪な笑みであり、とても助けを求める人間には見えなかった。


「ばれていたなら、仕方ないわね……」


 そこで、女性が指を鳴らす。

 それを合図に、物陰から何人もの魔族が現れた。


「罠のつもりだったの?」

「余興よ。あなたが引っかかってくれなくて残念だったけどね」


 女性が身を翻し、その姿を変える。

 その姿は、カルーナにとって見覚えがあるものだった。


「セイレーン?」


 人間と同じ上半身に、魚の下半身。

 それは、カルーナが以前戦ったセイレーンのピュリシスとよく似た姿だった。


「違うわ。私はメロウ……メロウのトーレノ」


 しかし、トーレノと名乗った女の放った言葉が、それを否定する。 

 カルーナに違いはわからないが、別の種族のようだ。


「あなたの命は、ここで終わり……いきなさい! 我が兵達よ!」

「くっ……!」


 トーレノの合図で、現れた魔族達が、カルーナに襲い掛かってくる。

 カルーナは大きく後退し、それから逃げ出す。


「逃げるか……!」


 カルーナでも、流石にその人数を相手するのはきつかった。

 そのため、逃げながら攻撃し、数を減らそうと思ったのだ。

 そう思い、カルーナが手に魔力を込めていた時だった。


「魔力はまだ取っておいた方がいいぞ!」

「え?」


 カルーナの後方から、声が聞こえる。

 その声は、カルーナもよく知っている声だった。


白金の衝撃(プラチナ・ブラスト)!」


 カルーナの前に、白金の鎧が現れ、その剣を振るう。

 白金色の衝撃波が、カルーナの前方にいる魔族達を吹き飛ばす。

 カルーナは目を丸くしながら、声をあげる。


「プラチナス!」

「久し振りだな……カルーナ」


 カルーナを助けたのは、鎧魔団副団長であったはずのプラチナスだった。


「そやつだけではないぞ……」

「え?」


 またもよく知る声を聞き、カルーナは後ろを振り返る。


「じょ、女王様!?」


 そこには、エスラティオ王国の女王レミレアが立っていた。


「レミレア女王、下がっているように言ったはずです……」

「そう言うな、プラチナス。妾も、戦えるのだぞ?」

「……そもそも、私は同行するのも反対だったんです。どうか、大人しくして頂けませんか?」

「そなたも手厳しいな……」


 レミレアとプラチナスは、そんな風な会話をする。

 その様子に、カルーナは困惑するばかりだった。


「どうして、ここに……?」

「少し前に、オルフィーニ共和国の危機を聞いてな。イルドニア王国は戦闘の後処理で援軍を送るのが困難、アストリオン王国は、現在侵攻されておる。故に、妾の国が力を貸すことになったのだ」

「ということは……!」


 レミレアの言葉に、カルーナは喜んだ。

 その言葉の通りなら、このブームルドに援軍が駆け付けたということである。

 これで、水魔団との戦いが、かなり楽になるのだ。


「でも、どうしてプラチナスが……」

「そやつは、人質として捕まえていたが、特に抵抗もせずおとなしかったのでな。なら、いっそのこと戦力として使うかと思い、ここに連れてきた訳だ」

「私は、ツヴァイ様に忠誠を誓っている。故に、君達に手を貸すのはまったく問題ない」


 プラチナスが手を貸しているのは、ツヴァイが勇者側についたからのようだ。

 カルーナは、プラチナスの強さをよく知っているため、これ程心強い味方はいなかった。


「カルーナ、ここは私に任せて、君は先に行け」

「え?」

「水魔将は強い。勇者を助けるんだ……」

「……わかった、よろしく!」


 プラチナスの言葉で、カルーナは駆け出す。

 その提案は、カルーナにとっても受け入れやすいものだった。


「行かせるわけには……」

「……邪魔はさせない」


 そのカルーナを、トーレノが妨害しようとしたが、プラチナスが迫ったことで、それを中断せざるを得なかった。


「裏切り者が、鬱陶しいわね……」

「先にツヴァイ様の心を裏切ったのは、魔族の方だ。私は、ただ主君とともにあったまで……」


 そこで、プラチナスが剣を大きく振るう。


「くっ!」


 トーレノは、再び人間の姿に変身し、それを躱した。


「なるほど、まだ君の得意な水中ではないからか」

「く……」


 現在、地面は水で浸かっているが、それは足元だけであり、泳ぐことは到底できない。

 そのため、トーレノは機動力がある人間の姿に変身したのだろう。

 プラチナスは、それを追うとしたが、そこでトーレノが手を構えた。


水の弾丸(ウォーター・バレット)!」


 その手から、水の球体が放たれる。

 プラチナスは、一度そこで足を止め、体を輝かせた。


反射(リフレクト)!」


 プラチナスに当たった球体が、そのまま跳ね返り、トーレノに向かっていく。

 魔法(マジック・)反射リフレクト・装甲アーマー、魔法を跳ね返すプラチナスの持つ強力な武器だ。


「くっ!」


 トーレノは、跳ね返った水の球体を躱しながら、声をあげる。


「厄介な体だ……」

「そうだろう、君達魔法使いにとって、この体は脅威となる……」

「くっ……ならば……」


 そこでトーレノは再び手を構えた。


水の弾丸(ウォーター・バレット)!」


 その手から、水の球体が放たれる。


「ふん!」

「何!?」


 そこで、プラチナスは魔法(マジック・)反射リフレクト・装甲アーマーを使わず、その球体を躱した。

 さらに、そのままの勢いでトーレノに迫っていく。


「ば、馬鹿な、何故反射(リフレクト)を使わない!?」

「私が、反射(リフレクト)できることを知っていながら、魔法攻撃をする。それには何か意図があるはずだ。つまり、わざわざ使う必要はない!」


 プラチナスは、カルーナとの戦いによって、そんな結論にいきついたのだ。魔法使いであっても、決して油断しない。それが今のプラチナスである。


「だ、だが、それでも……水の牢獄(ウォーター・プリズン)!」

「何!?」


 そこで、プラチナスの周りが水によって包まれる。

 そのことで、プラチナスの体が停止した。


「……ふふふふ! その牢獄は体が重いあなたでは抜け出せない! これで終わりよ!」


 トーレノはそう言って笑う。

 確かに、プラチナスは動けなかった。まるで、水の中に沈んでいくような感覚だ。

 体が重いリビングアーマーにとって、水中は天敵だった。水の動きが速かったため、反射(リフレクト)が間に合わなかったが、これは窮地なのだろう。


「以前までの私なら……このまま動けなかっただろうな」

「何……?」

「私の体は、ツヴァイ様によって再構成された。つまり、今の私はリビングアーマーを超越した存在なのだ」


 プラチナスの体が光輝き、変化する。

 輝きが止むと、そこには白金色の髪をした男性が現れていた。男性は、角と羽、さらには尻尾が生えており、肌色の肌をしている。


「これが、私の半人半魔(ハーフ)の姿!」

「な、何!?」


 半人半魔(ハーフ)となったプラチナスは、水を軽々と通り抜け、その剣を振るう。 


白金の衝撃(プラチナ・ブラスト)!」

「ぐぎゃあああ!」


 魔法と闘気が混ざった白金色の衝撃は、トーレノの体を破壊するのだった。

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