表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
赤髪の女勇者アンナ ~実は勇者だったので、義妹とともに旅に出ます~  作者: 木山楽斗
第四章 毒々しき心

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/160

第59話 毒魔団副団長ピュリシス

 カルーナは、ピュリシスと対峙していた。

 洞窟の中でも、ピュリシスによって、周囲には風が吹いている。


「ふふ、この私の風……躱せるか!?」

「くっ……!」


 ピュリシスは、翼を羽ばたかせ飛び上がった。

 洞窟のために天井はあるが、それでもそれなりの高さだ。


風の刃(ウィンド・カッター)!」


 ピュリシスは空中で、風を集め、それを打ち出した。


「うっ!」


 カルーナは身を翻し、それを躱す。

 カルーナの後ろにある壁が切り裂かれ、崩れていく。


「くっ! 紅蓮の火球(ファイアー・ボール)!」


 カルーナは、その手に炎を集中し、解き放つ。


「ふっ! その程度!」


 ピュリシスは、再び風を集中させる。


風の壁(ウィンド・ウォール)!」

「何!?」


 風が集まってできた壁によって、カルーナの火球が遮られた。

 その様子を見て、ピュリシスは不敵に笑う。


「ふふ、この私に遠距離技など通用しない。風による障壁で、全て防げるからな」

「……それはどうかな?」


 それに対して、カルーナも笑い返す。


「あなたの障壁は、確かに強力かもしれない……でも、私は先日、あなたよりよっぽど魔法が効かない敵達と戦ったばかりなんだ……」

「……何が言いたい?」

「あなたの障壁なんて、大したものではないってこと!」


 カルーナは手に魔力を集中させる。

 剛魔団魔術師ボゼーズ、竜魔将ガルス、鎧魔団副団長プラチナス、カルーナが今まで戦った相手に、まともに魔法が効く相手などいなかった。

 そのため、風による障壁など、取るに足らないものなのだ。


紅蓮の火球(ファイアー・ボール)――」

「何度やっても無駄だ!」


 カルーナが火球を放つと同時に、ピュリシスが風を集めていく。


風の壁(ウィンド・ウォール)!」


 ピュリシスの前に、風による障壁が現れる。

 ピュリシスは、不敵な笑みを浮かべながら、火球を待つ。


双火(ツイン)!」


 しかし、そこで火球に変化が起こる。

 カルーナの合図とともに、火球は二つにわかれ、ピュリシスの後方に回り込んだ。


「くっ!」


 ピュリシスは、それを認識し、咄嗟に体を回転させた。


風の回転(ウィンド・スピニング)!」


 ピュリシスの回転により、周囲に風が巻き起こる。

 その風圧によって、二つの火球は消え去ってしまった。


「あ、危なかった。なんという攻撃……!」

「くっ……これじゃあ駄目か……」


 ピュリシスは、冷や汗をかきながら、カルーナを見つめていた。

 カルーナは、己の攻撃の失敗を悔しがる。

 カルーナとしては、相手が油断している内に、一撃くらいは入れておきたかったのだ。


「なるほど……お前の力を侮らない方がいいようだな……」

「私としては、侮ってくれた方がありがたいんだけどね……」

「だが、もう油断することはない……風の刃(ウィンド・カッター)!」


 ピュリシスの周囲から、風の刃が解き放たれる。


「くっ!」


 無数の風が、カルーナに襲い掛かってきた。

 カルーナは、必死で体を動かし、その攻撃を躱していく。


「まだ、まだ!」


 ピュリシスから、次々と風の刃が放たれる。


「うっ!」


 風の刃が、カルーナの体を掠めた。

 カルーナの服と皮膚が切り裂かれ、そこから血が流れる。


「ふふ、まだだ!」

「くっ……!」


 さらなる攻撃に、カルーナは身を転がして、それを躱していく。


「まずい……」


 ピュリシスが攻撃を続ける限り、カルーナは中々反撃できない。

 さらに、単純な攻撃の場合は、風の障壁で防がれてしまう。


「ここは……」


 カルーナは、手に魔力を集中させる。

 躱しながらでは、正確なコントロールができない。

 そのため、狙いは大雑把だ。


小さな(リトル)紅蓮の火球(ファイアー・ボール)!」

「はっ!? どこを狙っている!?」


 火球は、ピュリシスから大きく外れていた。

 しかし、ピュリシスはすぐにそちらに目を向ける。これは、カルーナのことを侮っていない故だろう。


「まさか! 天井!?」


 カルーナの狙いは洞窟の天井であった。

 ピュリシスは、それを見て、すぐに攻撃を中断する。天井が崩れてくると、思ったからだろう。

 しかし、それはカルーナの狙い通り。


「何!? 崩れない!?」

「かかったね!」


 カルーナは、火球の威力をかなり弱めていた。天井を壊してしまうと、最悪の場合、洞窟が崩れ、ここにいる全員が生き埋めになりかねないからだ。

 そして、一番の狙いは、ピュリシスの攻撃を中断させることだった。


「喰らえ! 紅蓮の火球(ファイアー・ボール)!」


 カルーナの手から、火球が放たれる。


「くっ! しかし、結果は同じだ! 風の壁(ウィンド・ウォール)!」


 だが、ピュリシスもすぐに風の障壁を展開していく。


双火(ツイン)!」


 カルーナの火球が、二つにわかれた。

 それに合わせて、ピュリシスは体を回転させる。


風の回転(ウィンド・スピニング)!」


 その風によって、炎が消え去っていく。

 しかし、カルーナは、その隙に魔力を練っていた。

 それは、カルーナの考えた最大級の魔法を放つためだ。 


 カルーナは、鎧魔団との戦いの後、自身が強くなる方法を考えていた。

 そのこともあって、エスラティオ王国で書物を漁り、新たなる魔法を探していたのだ。

 

 そこで、カルーナはいくつかの魔法を見つけられた。

 その中でも、今から放つのは、一番強力なものである。


「なんだ!?」


 カルーナから迸る魔力は、回転を終えたピュリシスさえ驚かせた。

 カルーナは、杖を地面に突き刺し、両手を構える。


紅蓮の不死鳥ファイア・フェニックス!」


 カルーナの手から、炎が鳥の形となって、ピュリシスに飛んでいく。


「くっ!」


 その魔力に、ピュリシスは風の障壁では防げないと判断した。

 そのため、回避することを選ぶ。


「何!?」


 だが、火の鳥はピュリシスを追跡していく。

 ピュリシスは、それを見て、体を回転させる。


風の回転(ウィンド・スピニング)!」


 その回転によって、火の鳥は散らばってしまった。


「ふふ! どうやら、私の力で対処できる威力だったようだな!」

「……それは、どうかな?」

「何!?」


 そこでピュリシスは、目を丸くした。

 回転によって、散らばった火の粉が、一つに纏まっていくのだ。

 火の粉は集まり、だんだんと鳥の形に戻っていった。


「なんだ! これは!?」


 火の鳥は、そのままピュリシスに襲い掛かってくる。

 ピュリシスは、体をもう一度回転させて、火の鳥を払う。


風の回転(ウィンド・スピニング)!」


 その行動で、またも火の鳥は散らばっていく。

 しかし、火の粉は、再び集まって、鳥の形に戻っていった。


「ば、馬鹿な!?」

「不死鳥は、何度でも蘇る!」


 カルーナの放った言葉は、はったりである。

 火の鳥は、何度かは元の形に戻るが、流石にそれは無限大ではない。

 だが、それをわざわざピュリシスに教える必要など、どこにもないのだ。


「くっ!」


 その言葉に、一瞬だけピュリシスの思考が停止する。

 本当にそうなのかもしれないという疑念が、ピュリシスの体を止めたのだ。


「ぐわああああああっ!」


 ピュリシスの体が火の鳥に包まれ、燃え上がった。

 その熱量と、激しい痛みに、ピュリシスは大きな声をあげる。


「ぐうううっ!」


 ピュリシスは、どんどんと高度を下げていく。


「今!」


 カルーナは、その手に魔力を手中させる。

 ここで、一気に決着をつけるためだ。


紅蓮の火球(ファイアー・ボール)!」

「ぬううううっ!」


 ピュリシスの体に、火球が着弾し爆発する。

 その体が、ぼろぼろと崩れていくのが、カルーナには見えた。


「……やった?」


 カルーナの目には、燃えながら崩れ落ちるピュリシス。

 しかし、その姿にカルーナは何故か違和感を覚えていた。


「一つ、お前の言葉を訂正しよう。私は……ハーピィではない」

「え?」

「私はセイレーン。そして、セイレーンは二つの姿を持つ」


 ピュリシスの体が、炎の中で変化していく。

 羽が落ち、鳥のような下半身が、魚のように変化する。


「これが、私のもう一つの姿!」


 炎が弾け、その中からピュリシスが現れた。

 その姿を見て、カルーナは声をあげる。


「マーメイド!?」

「さあ、第二ラウンドといこうか!」


 カルーナとピュリシスの戦いは続いていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ